理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

今様アナログ回帰はホンモノ? その1;アナログオヤジ、うごめく

Mです。

PCオタクなのに、音に対しては完全なアナログ派。普段聞いている音はmp3グレードなのに、ちゃんと聴きたいモノはレコード盤になってしまう。デジタルで、ということになるとアナログ版から抽出したDATの96kHzデジタル化データから再生する。機械類もだいぶ昔の奴らばかり。今回は論外だが、78回転(rpm)SPレコード用の蓄音機も健在である。

 ↓ 40年以上前から使っているDENON DPー37F

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どうしてもCDやメモリーカードに落とし込むときは、そのデジタルデータをPCに取り込んでから44.1kHzで変換してファイル化する。そのときも思うのだが、アナログ盤から抽出した音と、CD盤から持ってきた音ではmp3になってもその雰囲気が違うことに驚くのである。クリアさに関しては明らかにアナログ盤origin<CD盤originなのだが、雑味も含めて柔らかく好ましい音と感じるのはその逆になる。その感覚的な差が、じつに面白いのである。

mp3なんぞに落としてしまうのは、クルマがカセットデッキを載せなくなったための苦肉の策。アナログ版の音を頭の中にストアしておいて、耳から入るmp3グレードまで圧縮した音から、脳みそで脚色して聴いている、というおかしなオッサンなのである。

私は、今でこそだいぶ高音域の聞こえ方が衰えてきたが、それでもまだ20kHzが聴き取れている。自分では意識していなかったのだが、もともと高温域の聞こえが良かったらしく、30年前に我が家の愛犬を田んぼで放していたとき呼ぶための犬笛が、吹いている自分自身で聴こえていた。頭のてっぺんに響く音で、あまり気分の良いものではなかった。呼ばれる方も、ほんとうのところは嫌な音だと思っていたのかも知れない。

そのせいか、80年代からどんどん普及してきたCDを聴いたときに、クリアな音、高出力迫力、と宣伝していたCDの音楽が、はっきり言ってチンチャカ響いて好きになれなかった。同じ楽曲が当時はまだアナログレコードでも並行して出されていて、そちらの方がはるかに耳に心地よかったのである。イメージで言うと、CDの音はクリアだが浅く、アナログの音は柔らかで奥行きがある、という感じだ。

しかし悲しいかな世の流れ、アナログレコードはどんどん減って、そのうちゼロになった。同時に、音楽ソフトを一度も買わない時期に突入し、音はもっぱら旧いものか、TVやFMラジオから流れてくる音をDAT録音するだけになっていった。

そんななか、2000年以降になってハードオフという巷のジャンク屋が流行りだし、そこに足を踏み入れたのがきっかけで、すっかりご無沙汰していたレコードの世界に舞い戻った。ジャンクレコード物色オヤジになってしまったのだ。

好きだったアーティストや聴いてみたかったアーティスト、彼らのLP、EPレコード探しである。CD化の波でCDしかないアルバムは、仕方なくジャンクCDで手に入れた。ごちゃ混ぜに放り込まれたコンテナケースから、かなりの速さで一枚一枚めくってはめぼしいものを探していく。箱の中は高くて200円、ほとんどは100円の世界。行動範囲内に6店舗のハードオフがあり、3年ほど漁ると、アナログ盤はもう全て見てしまってそれ以降新しいものは出てこない。それはそうだよ、だって、もう作られていなかったのだから。

 ↓ 未分類は横積みのままで、クリーニングを待っているLPたち。

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そうやって集めたものがLPで300枚ほどはありそうだ。ちゃんと数えてもいないし、クリーニングしてないものも数多い。プレーヤーにかけてダメなものは排除した結果でそれだから、いつかちゃんとクリーニングもするつもりだ。

そのために、専用の手回しハンドル式LP洗浄槽も作ってあるのだ。

家庭用洗剤とアルコールを加えて洗浄水をこさえ、LPレコードを側壁のプラスチックブラシ(極細)に擦りつけながら回して洗浄する。そのあとは流水でよく流して壁に立てかけて陰干し。要するに、レコード盤の洗濯だ。

  ↓ LPレコード洗濯機;ハンドルを手回しして洗浄する

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レコード盤全盛期には、クリーナーなる手持ちのパッドがあった。スプレー式の帯電防止をうたうクリーナーと一緒に使うと効果的、ということだったが、使ってみても効果は低く、むしろ細かなほこりは取りきれずにかえって溝にこびりつき、ノイズが発生したから、やはり水洗いだ、と気づいて結局捨ててしまった。

→ その2につづく

孫と公園。その1[砧公園] [二子玉川公園] [錦糸公園]

薬剤師Y子です。

先日、夫Mと共に、3才の孫娘を都内の広い公園で思いっきり遊ばせました。

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昨今のように暑さが厳しいと幼児を屋外で遊ばせる際に必ず、子どもと自分の熱中症リスクを考慮しなくてはなりません。

www.yakuzaishi-y-co.work

 

そこで今回は日陰の多い「砧公園」を選び、ペットボトルに水を入れて前日から冷凍しておいたものを何本も持参しました。

東京都公園協会のサイト 砧公園|公園へ行こう! を見ると、ここは都営のゴルフ場として解放されていた時期もあるそうで、樹木が「多くて、しかも大きい」のが特徴です。園内を移動している時も木陰を選んで歩くことが出来たので助かりました。

同サイトの園内マップにある「アスレチック広場」には数多くの遊具があり、うちの孫娘も「次は、これ。今度は、あれ」と走り回っていたので、かなりの運動量になりました。

3才の彼女は「船型複合遊具」と「スプリングシーソー」が、お気に入り。「丸太渡り」と「複合平均台」は「大人が一緒に遊んでいても変じゃない遊具」なので、還暦を過ぎた私たち夫婦も、空いていて貸し切り状態の時に使わせてもらいました。ただ静かに見守っているだけだと「子守り係」の側が欲求不満になりますが、今回は自分たちも運動できたので、とても気分が良かったです。

こちらのサイトに、これらの遊具の鮮明な写真があります。 

kinuta-park.mixj.net

 

上記の砧公園で遊んだのは8月中旬のこと。

その約2週間前、7月末には、同じメンバーで「二子玉川公園」(ニコタマ公園)へ行きました。

二子玉川公園 | 世田谷区ホームページ 

上の公式サイトにある「遊具の遊び場」を孫娘が大いに気に入り、また冷房の効いた「ビジターセンター」の1階と3階で休憩したり、よく手入れされ小川もある日本庭園の中を歩き回ったりしました。

tokyo-greenlife.com

 

田舎で育った私たち夫婦にとってニコタマ公園は「子供時代には見たことのない都市型の清潔な公園」ですが、ここの唯一の欠点は「日陰が少ない」こと。

他の点では本当に素晴らしい公園でしたが、まだ3才の孫娘に遊びを中断させてビジターセンターに誘い込むのは容易でなく、外気温が高い日には文字通り致命的な欠点です。次に行くのは、涼しくなってからにしたいと思います。

 

同じように「遊具がある場所は日陰が少ない」ので真夏に幼児を連れて行くには不向きかも知れませんが、うちの孫娘が大好きな公園の1つ、錦糸公園のことも書いておきたいと思います。

錦糸公園(錦糸四丁目15番1号) 墨田区公式ウェブサイト

 

錦糸公園の「幼児に適した遊具があるエリア」は日陰が少なめですが、近くに商業施設「オリナス錦糸町」があるので、そちらも上手に使えば、利便性がグッと高まります。

www.olinas.jp

 

オリナス錦糸公園」に初めて行った時、まだ2才だった孫娘は、この下のサイトの写真にある「超豪華すべり台」に夢中になり、疲れてフラフラになってからも最上部を目指して登っていきました。子供にとって魅力的な仕掛けが多数あり、この遊具で繰り返し遊ぶ子が大勢いました。

1000enpark.com

 

下調べをして必要な物を持って行けば無料で何時間でも遊べる公園は、都会で子育て・孫育てをする人たちの強い味方です。

3才の孫娘には今年、弟が誕生しました。当分は上の孫だけを連れて、その後は2人とも連れて、これからも色々な公園に行ってみたいと思います。

そして良い公園に出会ったら、このブログで皆さんに報告します! 

 

USBメモリーを冷やせ!! アルミ洗濯ばさみの驚くべき実力!

Mです。

データの一時保存と移動に重宝しているUSBメモリー。ポートに差し込むだけで簡単に使えるツールだけに、頻繁に使っている。でも、ハードディスクへのデータ書き込みとは根本的に異なる技術で、絶縁膜で仕切られた半導体に高電圧をかけて電子の移動を起こさせるために、絶縁膜の寿命がデータ保持の限界になるという性質がある。
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※興味のある方は、Logitecさんが解説ページを設けているのでごらんいただきたい。かなり解りやすく説明してくれている。
https://www.logitec.co.jp/data_recovery/column/vol_002
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ハードディスクや磁気テープのデジタルデータは、磁気ヘッドを用いた磁性体の磁気状態の変更で行われるので、エネルギーが小さくて済み劣化しにくい。それに比べると、USBメモリーなどのフラッシュメモリーは、絶縁膜の基本性能、読み書きのコントローラー性能によってその寿命が違ってくるのだという。

同じ容量のメモリーでも、値段にもの凄い差があることをご存じの方もいるだろう。いわゆるブランド品が高いのは、読み書きの実効速度だけではなく寿命にも関係している、と言われると、なるほどと思う。長期保存するつもりのツールではないが、いつ突然死するかわからない、ということを覚悟しておく必要はある。

4月に、USBメモリーが結構な熱を持つことを書いた。半導体の劣化は熱によることは確実だから、通電状態で挿しっぱなしは良くないと記した。その理由は、読み書きを行っていなくても、ポートに挿しているだけでUSBメモリーは発熱し続けていて、それが長い目で見ると寿命を短くする要因になるからだ。

モリー屋さんのセールストークを見ると、金属(アルミ)容器で放熱性能が良いことをうたっている製品もかなりある。つまりは、放熱性能を高くした方が良いと、メーカー側も最初から解っているのだ。なのに、中には奇をてらって果物や生き物の形態に飾ったメモリーも出回るなど、本質を追究するものがある一方で、どうせ長期保存するためのツールじゃないのだから遊び心重視、という物もたくさんあるという状況。

ならば、本当のところどれくらい熱くなるんだろうか、と興味があったので調べてみた。

試験対象には、3年ほど使い続けているHIDISCさんの64G USB3.0(スライド式)を使った。平坦な面が放熱面なのでセンサーが付けやすいし、熱くなるのも感覚でよく判る構造だからだ。

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このメモリーは、平たく大きな面が2面あるが、片方はヘアラインを入れたプラスチック板で、ごく小さな透明部分が中央にあって、アクセスの際に小さな赤色LEDがチカチカ見える(上画像の上面がヘアライン面)。反対側はつるんとしたプラスチック面になっていて、使用中はこちらの面の方が熱くなる。

 

試験は2通り行った。
まずは通常状態で30Gbの映像データをPCから書き込み、室温に対して側面の温度がどの程度上がるかを調べた。
その結果は、思っていたより大きな発熱だと感じた。書き込み終了まで25分強かかったが、10分ほどで外気温プラス10℃以上の領域に達して、終了までそのままの温度になっていたことが解った。(下図の青線グラフ、横軸目盛の1は10秒、縦軸の温度は外気温との差)

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プラスチック表面が10℃以上高くなるということは、熱伝導率の悪い素材でそうなのだから内部のチップ表面はその倍以上の温度上昇だと思う。挿しっぱなしにしていたときに感じた不安がさらに増大した結果だった。

となると、セールストークに放熱性をうたう商品が多くあるのも見逃せなくなる。だったら、放熱性を上げてやればよいのだと、昔のオートバイ乗りの手法を思い出した。

 

昔のオートバイは、大排気量でも空冷だけだったから、エンジンの放熱襞(フィン)を増やして放熱効果を上げようとした。とはいえ、襞を高くすると見た目の容積ばかり大きくなって跨れなくなってしまう。そこで、襞は低いが数で勝負、と、細かな襞を芸術的な配置で作る工夫をしていた。

ただ、それだけでは夏場のツーリングだとオーバーヒートしてきて出力が落ちるという経験を多くのライダーが知っていた。そんな彼らの中に、エンジンの襞にアルミの洗濯ばさみをくっつけて放熱効率を上げるという技が生まれた。洗濯ばさみなら、軽くて薄く、しかも熱伝導率がよいから工夫次第で効果を感じることが出来た。空気の流れを読んで、しかもカッコ良く配置した洗濯ばさみエンジンをいくつも見た記憶がある。

 

ということで、2つ目の試験は、アルミ洗濯ばさみを付けて果たして放熱効果が上がるかどうか、を見てみたのである。

アルミの洗濯ばさみはなかなか見かけなくなっているので、ネットで探した。なるべく平らな口を持っていて、平面にフィットしやすい物がよい。そうして見つけたのが下の代物。36本一袋で900円は、ちょっと高かったが、イタズラには少々カネがかかるのは覚悟しなくてはならない。上手くいけば、長く使えるし。

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折角だから、メモリーの長さ方向に並べて6個挟み付けてみた。

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その状態で、1つ目の試験と同じことを行ってみた。
結果は、予想を超えるものすごい効果。なんと、洗濯ばさみ無しのとき11℃以上だった温度上昇が、2℃にまで抑えられたのである。(上記グラフの茶色ライン)
放熱効率5倍アップである。

 

モリーのメーカーは、容器材料に工夫をして放熱を良くしているのだろうが、それだけでは限界がある。表面が平らなメモリーならば、放熱面に金属を追加して表面積を増やすだけで、驚くほどの効果があると解った。薄いヒートシンクをカットしてUSBメモリーを挟み込むなどしたら、さらに効果が高いかも知れない。

 

 ↓ 下のようなアルミヒートシンクを鋸で切って、なんてことも有りだ。

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平坦でないメモリーだとやりにくいが、とにかく、熱伝導の良い素材で表面積を増やしてやる工夫、あるいは、風を当ててやる工夫、などで、かんたんにUSBメモリーの寿命延長が図れるかも知れないと思われる事実をつかんだのは大きかった。

Mが使うUSBメモリーは、これから先、いつも洗濯ばさみと一緒に移動することになりそうだ。

 

 

オフィス街の韋駄天 アオスジアゲハ

Mです。

前回、トンボがめっきり少なくなったと、嘆き節を記した。

東京のオフィス街ということで言えば、所々にある公園くらいでは、なかなか虫には出会えない。トンボもそうだが、チョウチョもまた滅多に出会えない。

大規模な公園だと、完全に管理された芝生だけでなくいろいろな野草も生えているところがあるから、そういうところだとウスバキトンボとシオカラトンボ程度なら出会えるし、この季節なら例外なく蝉の大合唱には出会える。

ところが、花壇に花は十分にあるし、草地にシロツメクサなどがたくさん咲いていても、チョウには滅多に出会えない。これは、チョウの場合、それぞれの種毎に幼虫時代の食草がハッキリとしているため、食草がない場所では発生していないから、仕方のないこと。

もちろん、東京であっても、郊外で野菜畑のあるところに行けば、アブラナ科の野菜を食草にするモンシロチョウやモンキチョウに出会えるし、河原を歩いていれば、土手に生えているイネ科植物を食草にするセセリチョウの仲間たちに 出会うことが出来る。ただ、チョウたちは普通あまり広い範囲を飛び回ってはいない。羽化した地域内で、好みの花を見つけて飛び回っているだけだ。だから、産卵すべき草や樹のない都心部の公園では、チョウチョの密度が非常に低くなっているのは当然なのだ。

ところが、路面付近の温度が40℃を越えているだろう東京駅周辺のオフィス街なのに、かなりの頻度で出会うチョウがいる。アオスジアゲハである。

 ↓ 吸蜜するアオスジアゲハ (Wikiさんより転載)

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アゲハ、というと誰もが思い浮かべるだろう華やかな模様のキアゲハや、ちょっと地味だが渋い豪華さのナミアゲハとはだいぶ印象が違う。もちろんキアゲハたちとはちょっと離れた系統にいるのだが。

 ↓ キアゲハ (Wikiさんより転載)

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アオスジアゲハは、細身の羽にブルーの太線がくっきりと映えるスポーティーな容姿。その精悍な姿は伊達じゃなく、アスリートそのものの俊敏な飛翔でクルマの流れをかわしながら飛び去っていく。以前流行った自転車メール便屋さんのように、人とクルマでごった返している繁華なオフィス街をスイスイと通り抜けていく姿は、思わず追いかけたくなる衝動を駆るのである。

他のチョウたちと違ってなぜアオスジアゲハが草木の少ないビル街にいるのかというと、彼らの食草がオフィス街にもちゃんとあるから。クスノキの仲間を食草としているからなのだ。

ちょっとした公園にもクスノキはあることが多いし、それだけでなく、街路樹としてクスノキがかなり使われているため、ビル街でもアオスジアゲハは産卵する場所に困らないのである。

 ↓ クスノキ:葉を潰すとスウッと香る (樹木図鑑 植木ペディアさんより転載)

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クスノキが都会で好まれているのは、樹型が良いことに加え、葉の密度が高いためしっかりとした日陰が作れるためだという。そのうえ、葉に含まれるカンフル、つまり樟脳の成分が清涼感を与えてくれることも好まれる要因だろう。
が、あの樟脳成分を含む葉を食する、というのもまた、ずいぶん物好きなヤツだと思う。蓼食う虫も好きずき、とは言うが、防虫成分を摂り込んで成長していくしたたかさはなかなかのものだ。矢のように飛んでいく成虫の俊敏さに、どこか通じているように思えて面白い。

 ↓ アオスジアゲハの5齢幼虫 (玉川学園さんHPから転載)

f:id:otto-M:20190815232340j:plain樟脳

スズメが激減して、都心部で見る鳥はカラスとハトばかりになってしまったが、アオスジアゲハはそんな空間に一服の清涼剤。

せめて、成虫の糧になる花がなくならないよう、小さくても花のある公園を確保して欲しいと思う。

赤とんぼ じゃなくって ウスバキトンボです、たぶん

Mです。

トンボは夏の風物詩。群れて飛ぶトンボに夏を感じるひとは多いに違いない。うるさい蝉とはちがって、見て楽しめる奴らだからトンボの方がすき、という人も多いかも。

あっ、赤とんぼが群れてる、と思ったあなた、多分それはウスバキトンボです。

 ↓ ウィキペディアさんから転載 体は、赤ではなくて黄色です

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虫と魚で日々暮らしていたMの小学生時代は、半世紀以上前。その頃は、気温が30℃を超えると、今日はあっついねぇ、と話題になった。母親は、外に遊びに出かけようとするわが子を見て、帽子 ボオシッ !と大声を上げていた。

それが今や、夏に30℃なんて当たり前、35℃を超えないと暑いうちに入らない、というほどになっている。北海道で38℃超え、とか、もう日本列島は熱帯から亜熱帯になったかのような具合だ。

海の中も然りで、房総半島の磯場にチョウチョウウオが住み着いているとか、はてまたエラブウミヘビもいるとか。

気候の温暖化、いや、むしろ暖化傾向は確実で、それがいろいろな形で顕在化してきている。

岩波新書の「日本列島」を高校時分に繰り返し読んだが、地球史から見て今の地球が温暖化のピークに近い時期にあるらしいことが記されていた。

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人間史などほんのひと摘まみにしかならない地球史で見れば、「産業革命以降の急速な温暖化」という表現も、いささか迫力が削がれてしまうのは気のせいだろうか。CO2削減条約に背を向けるトランプさんの肩を持つわけではないが、地球のもつ長期的な気候変動の波から見ると、今いくら騒いだところで、人間ごときが地球の動きを変えられるわけがない、と思う気持ちがあるのも正直なところだ。

その温暖化をジワジワと、そして感覚的に確実に感じさせるものの一つに、関東地域でのトンボの変化がある。

半世紀前の夏休みに、Mが生息していた関東東部の田畑を飛翔していたトンボといえば、シオカラトンボ(♀;ムギワラトンボ)を筆頭に、シオヤ、オオシオカラ、ナツアカネ、ウチワヤンマ、ギンヤンマ、オニヤンマたちだった。たまに、カトリヤンマ、サナエトンボやコシアキトンボなども見かけたが、時間帯も短いし場所も特定されていたので、前述のトンボたちが主役だった。

それが、田んぼの耕地整理でため池がどんどん消えていき、田んぼの間を流れていた小さな用水路がコンクリート製のU字溝に変わると、田んぼは秋から完全に乾いてしまうという事態に陥り、夏の終わりに産み落とされたはずのトンボの卵は、ヤゴになったはずの時期に渇水に見舞われることになった。当然のこと、そんな田んぼで孵化した幼体は死に絶える。

そんな時代の流れの中で、トンボたちの生息域はどんどん狭められていき、残っているのは流れの緩い里山の奥の水場や、そこここに残された比較的大きな池周辺の水草まわりに限られてしまった。

トンボを見始める時期はそれほど変わらないものの、見かけられる場所は悲しいほどに減ってしまったのである。しかも、むかし筆頭だったシオカラトンボ(ムギワラトンボ)だけは確実に毎年現れるものの、その他のトンボたちは見ようと思って出かけない限り見つけられない。ウチワヤンマにいたっては、もう30年は見ていない。畑に立っているキュウリ棚の突端を探せば難なく見つけられたあの姿が、もうセピア色の光景でしかない。

↓ ウチワヤンマ(ウィキペディアさんから転載)腹の先の膨らみがまさに団扇

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そんなトンボ界の激変の中、相も変わらず相当数見つけられるのがウスバキトンボである。

甲子園大会の時期に群れて飛ぶ赤とんぼとして誤認識されたこともあるが、彼らだけは東京でさえしばしば目にできる。それは、彼らが短期成熟型の熱帯性トンボで、産卵(卵の数も多い)から一月ほどで羽化するという特性を持ち、日本列島の南端付近で5月頃に現れ始めると、真夏には北海道にまで拡散していくことが分かっている。

北上と同時に各地でいろいろな水場(プールさえも使う!)で繁殖を重ね、飛ぶことに特化した超軽量グライダーのような体で北へ北へと飛び拡がっていくのである。

ところが、彼らには大きな弱点がある。熱帯、亜熱帯性の生き物で温度低下に弱い。日本のトンボたちが各地でヤゴの状態で越冬できるのに対し、水温が5℃を下回ると死に始めてしまうのだ。限界は4℃とされている。

 ↓ ウスバキトンボのヤゴ(出典;ヤゴペディア さん)成体と似た色姿

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したがって、多産卵で世代を継ぎながら北を目指したものの、冬を前に成虫がいなくなると、その子たちは温泉でもない限り越冬できずに死滅する。つまり、ウスバキトンボの日本縦断旅行は、南から北へのワンウェイ・ツアーなのだ。そして、次の年には、また南から新しいグループがやって来るというわけ。

今年もウスバキトンボが生まれてきた、と思っているのは、九州までならあり得るものの、それ以北では間違い、ということになっている。生まれてきた、のではなくて、またやって来た、と言うべきなのである。

同個体のツバメが何回も渡来するのとは違って、種は同じでも去年のグループとは縁もゆかりもない群がやって来ているのかも知れない、ということに気づいているひとは少ないのではないだろうか。

ただ、関東でも、5月頃に少数のウスバキトンボがキラキラとした羽根で飛び回るのを見ることがある。その頃羽化できるとすれば、そのヤゴは越冬できた、としか考えられない。まさか、九州から飛来したのではないはずだ。まだ柔らかく輝くあの羽根は、いくら飛翔性能が高いとは言え、1000Km以上の距離を上層の気流に乗ってやって来たとは思えないのだ。

温暖化で、ウスバキトンボの越冬可能地域が徐々に北進しているのではないか、と思っている。

北海道がうまいコメの産地になっている昨今、もはや日本列島は総温帯、関東以南は亜熱帯なのかも知れないから、そのうち東北でもウスバキトンボが夏前から現れるという現象が起こるかも知れないと思うのだ。

鳩の目が怖い!?

Mです。

”とり”と”め”もない話題ですが・・・

 焼けるような暑さで、舗装道路の表面は50℃を超えているに違いない。

 東京の道路は、打ち水をしてくれる人もないから、バーベキューの鉄板のような様相だ。土の地面がある小さな公園は、そんな界隈でわずかなオアシス。わずかばかりの木々の日陰に、鳩たちが日向ぼっこ、ではなく、日陰涼みでハァハァとくちばしを開けて息をしている。人間が歩いてきても、たぶん捕って食われることはないだろうと、飛び立とうともせずに荒い息をつづけている。水をあまり必要としない鳥たちとはいえ、あの呼吸では、水が欲しいのではないだろうかと心配になった。

 そんな弱っちい鳩なのだが、虹彩の色が金色に近い個体の目だけはどうも苦手だ。

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 ヒトの虹彩も人種の違いだけでなく、アジア人程度の皮膚色の民族だと、黒に近いひとから薄い茶色のひとまでいろいろだが、さすがに金色のひとはいない。金色の虹彩というと、あのドラキュラ映画を思い出すが、白人系統のひとたちでもあそこまで金色の人は見たことがない。金色虹彩の鳩は、ドラキュラを連想させるのだろうか。

 金色の虹彩といえば、イエネコの中にはかなりの頻度で金色に近い個体がいる。とはいえ、ネコの目が怖いと感じることはあまり無く、むしろ、不気味なのは瞳孔の形、あの縦に閉じる紡錘形の瞳の方である。

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 同じ色なのに、なぜ鳥の目の方が怖いと感じるのかと考えてみた。そして思いついたのが、感情のあらわれ、だった。鳥の目は、感情を感じさせてくれないのだ。もちろん、私見としてだが。

 ネコは、ヒトと対峙したとき面と向かって、つまり、正面から顔を見合わす。すると、目そのものだけでなく顔全体の表情がわかる。目は口ほどにものを言う、とはいうが、実は顔のそれ以外の部分が感情を表現しているから相手の心の動きが見えるのだ。だから、目だけを選択して見てしまうことがない。目だけが気味悪いとか、怖いとか思わなくてすむのだと思う。
 これは、イヌなどの動物も含め、正面から目と目を見つめ合う構造のいきもの全般にいえることかも知れない。そういえば、鳥でありながらフクロウ、ミミズクたちは正面を向いて見つめ合えるので、目だけを注視しなくてすむからだろう、怖いと感じない。

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 一方で、鳩を含む鳥たちは、人間と目線を交わすときどうしても片目で見つめることになる。顔面の構造から、両目で同じ方向を見ることが出来ないからだ。

 ステレオ写真のことを記したときにも関連することを書いたが、これは、より広い角度を一度に捉えるためには好都合の目の配置で、空を飛ぶ、という特殊な行動をする彼らにとって、前後左右すべてが見えるようにするための仕組みでもある。しかし、ひとが鳥と目線を合わせようとしたとき、顔全体がわからず片目だけが自分を見ている、という構図ができてしまうことで、ひとは鳥の感情の動きを見極められない。そのうえ、金色の目立つ色の目玉のやつがいる。思わず身構えてしまう自分が、そこにいるのだ。
 その一瞬を越えると、鳩はなかなかにかわいいヤツらなのだが、いつまで経ってもあの目でじっと見られることには、慣れることが出来ないでいる。

 これと全く異なった印象を与える目が、馬や牛の目だ。彼らの目は、もの悲しい、というか、慈悲深いというか、静かな湖面のような印象を与える。

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 虹彩の色は黒っぽかったり茶っぽかったりで静かな色調だが、それ以上に、瞳を通して目の奥が深い淵のように迫ってくる。そして、その深さが、落ち着くのである。

 彼らはあまり顔の表情が細やかでないし、目も正面を向いていないので、イヌやネコのような表情は判別できないのだが、片方の目だけなのに、何か語りかけているように見えてしまう。ただの錯覚なのだろうと思うのだが、面白い現象だと思っている。

 むかーしむかし、堀内孝夫さんのヒット曲に「君のひとみは10000ボルト」というのがあった。
 彼女はどんな目をしているのだろう。

 怖い相手じゃなくて救世主のような存在なのだろうが、はてさて、虹彩は何色だったのだろう。もしかして、金色?

加熱式タバコも有害です! 禁煙のススメ

薬剤師Y子です。

私は子供の頃からタバコの煙が苦手で、喫煙する人と同席するのが苦痛でした。

せっかく同窓会に出ても「吸ってる人」に近づくことは出来ないので、その人たちとは最後まで一言も話せずに帰ってきたことがあります。

 

子育て中には、息子たちを他人のタバコの煙から守るために、よく外出先でキョロキョロ、ウロウロしました。

だから「ここは禁煙」と明記された場所が長い年月を経て少しずつ増えてきたことを、心から歓迎しています。

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でも最近、従来の「煙が出るタバコ」を吸っている人が誰もいない場所で「煙は出ないけれど、本人にも周囲の人にも有害な加熱式タバコ」を吸っている人を、ちらほら見かけます。

そして、その中には「加熱式タバコを選んで吸っている自分をカッコイイと思い込んでいるように見える人」が、含まれています。

そういう人たちに対して薬剤師Y子は「あなた、どちらかと言えばカッコ悪いです! 『実は私、ニコチン依存症なんです』という『告白』をする場所は、そこじゃないですよ!」と、声を大にして伝えたいです。

 

加熱式タバコの害に関しては、こちらの記事がオススメです。 

news.yahoo.co.jp

 

日本呼吸器学会も「非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに対する日本呼吸器学会の見解」として、このような文書を公開しています。

http://www.jrs.or.jp/uploads/uploads/files/photos/hikanetsu_kenkai.pdf

 

これらを読んでいただければ明らかなように、加熱式タバコを吸いたい方は、まず、そのタバコが自分にも他人にも有害であることを認識し、もし「それでも吸う」のなら、外にいるときには必ず喫煙所に移動する必要があります。そして、ご自宅でも「喫煙しない人や動物の受動喫煙を防ぐ」ための対策を、しっかりと考える必要があります。

たとえ煙が見えなくても、ニオイが少なくても、タバコを吸えば、あなたは「加害者」になる可能性があるのです。

 

「だったら禁煙しようかな?」と思った方、まず、こちら日本医師会の「禁煙は愛」サイトで、ご自身がニコチン依存症かどうか、チェックしてみませんか?

そして「禁煙治療を受ける」という選択肢についても、ぜひ考えてみて下さい。 

www.med.or.jp

 

こちら国立循環器病研究センターのサイトには、ニコチン離脱症状を克服する方法も詳しく書かれています。

www.ncvc.go.jp

 

思い立ったら禁煙。

その時は「今」かも知れません。

 

そして子育て・孫育て中の皆さん、大事な子供さんが「タバコを吸わない人」になるように、気を配ってあげて下さいね。