理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

歳を経て まるく なる

Mです。

 持論を振りかざして、ガンガン攻めて来る。学生の頃はそんな印象だったのに、何十年か経って久しぶりの同窓会で会ったら、ビックリするほど穏やかで聞き上手になっていた。なんてこと、耳にしたり、あるいは実際に経験することがあると思う。あいつも、ずいぶん丸くなったよなぁ、と離れた席でつぶやく人も、同じように物わかりの良い初老のグレーエイジだったりするのだ。

 自分の世界を作ろうと肩を張って頑張っていた時期から、仕事の世界に入って揉まれ、いろいろな相手と接して世渡りしていくうちに、物事をまとめ上げていく手練手管を身につけてくる。その結果、押すだけでなく引き技を身につけて「大人」になった、というのが「丸くなった」ということなのだろう。

 「歳を経て丸くなる」のは、人間だけではない。動物たちも、きっと同じような変化を起こしているはずだが、カタチとして見た目が丸くなるのが、植物だ。
 一年草のように毎年生まれ変わってしまう植物では起こらないが、何十年、いや何百年も生き続ける樹木には、そんな変化を見せてくれるものがいる。
 例えば、イチョウの葉もそうだ。若木の頃は切り込みが深くて大振りだったのに、樹齢が増していくうちに、葉はむしろ小振りになっていき、端の切り込みが浅くなっていくことが多い。
 生まれ育った地域に大きな神宮があって、その境内にある大イチョウは、秋になるたびギンナン拾いに出向いた場所だった。最近そこを訪れてみたら、ガキの頃に見た葉と比べて大木の葉は、だいぶ小さくなっていた。東京都のマークほどにもくびれておらず、なかには団扇のような形のものも混じっていた。ほんとに丸くなっていたのである。

 だが、そんなもんじゃないほどの変化を見せるものもいる。ヒイラギである。

f:id:otto-M:20200410184241j:plain Wikiさんから拝借

 節分に、鰯の頭とセットにして鬼除けに使われる、あの棘だらけの葉っぱが特徴の木だ。
 泥棒が入りにくいからという理由なのか、農家だった母方の実家近くでは、生け垣に結構使われていた。ただ、歩いていて触れただけでも痛いから、さすがに生け垣全部がヒイラギという家はなくて、門近くだけとか、敷地裏側だけとか、特定の場所に植えられていた。常緑で育ちが遅いから、ミッシリと枝を密にして塀のように刈り込むことが容易なのだ。隙間から手を入れることも出来ないほど、とにかく痛くて嫌な木だった。

 ただ、この樹の花はとても良い香りがする。

 だいぶ後になって知ったことだが、キンモクセイの仲間だったので、さも有りなんだ。年末近くになって咲く小さな白い花は、目立たないが、その香りは人を引きつける。木偏に冬と書いて「ひいらぎ」とされているのは、この花の時期を言い表しているのだろう。
 そのヒイラギ、古木になると全く棘が無くなってしまう。見ただけでは、ヒイラギと判らない。
 実は昨年の11月末、行動範囲の中に、その古木があるのを発見したのである。
 場所は、台東区鳥越。由緒ある神社、鳥越神社の鳥居脇に、その古木はある。

f:id:otto-M:20200410185020j:plain 下の色の濃いのがヒイラギ

 小さな濃い緑色の細かな葉を付けた、3mほどの細い木。存在は知っていたが、何の木だろうと思っていたが判らないままだった。覆うように茂っている梅の木の下に、ひっそりと居る。
 発見のきっかけは、夕方鳥居脇で信号待ちしていたときに、ふわぁ~~っとキンモクセイに似た香りが漂ってきたことだった。あれ?このあたりにキンモクセイはなかったはず、とキョロキョロ。信号が変わってしまったが、気になって香りがする方に移動して探すこと数分。なんと、キンモクセイとは似てもにつかぬ樹型の古木に白い花がちらほら。においは頭上から降りてきていた。近寄って枝を引いてみてようやく判った。ちょっとだけ棘のある葉も混じっているから間違いない。ヒイラギが咲いていたのである。キンモクセイほど強烈ではない落ち着いた芳香が、白い花から漂っていた。
 よく観てみても棘のある葉はごくわずか。殆どの葉は小振りな茶の葉を平らにしたような形で、柘植(ツゲ)の葉を大きくしたような感じがする。とにかく、見た目には全然ヒイラギじゃないのだ。

f:id:otto-M:20200410185313j:plain つるんとした丸い葉ばかり

 

 よくもこんなに「まるくなる」ものだと思う。
 なにもかも達観してしまったカタチなのかも知れない。まさに、神社にふさわしい変化だと感じた。

 ググッてみたら、特徴的な葉の形態が全く異なるカタチに変化する現象を、植物学では「異形葉性」と呼ぶのだそうだ。植物体が自身の成熟を関知した結果、それまで抑制されていた異形葉性をもたらす遺伝子群が活性化し、そのはたらきが強まって新しく出来る葉の形を変化させるのだという。だから、成熟を関知した植物体から枝を切り取ってしまったりすると、そのあとに出てくる若い枝からは、幼若期のようなトゲトゲの葉っぱが生えてくるのだそうだ。

 ◆日本植物生理学会の解説ページ(東大大学院 塚谷さん)は、ココ
→ https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=4479&key=&target=

 そんな仕組みを知ると、人間が歳をとって丸くなる、というのも、案外同じような仕組みがあるからなのか、と思ってしまう。
 成熟して来ると、無駄な行動を抑えて命を長らえる方向に有利な遺伝子群の発現が高まり、脳の活動が穏やかに変化していく。ということではないか、と想像するのだ。
 若い頃の急進的な発想と行動が歳と共に減弱していくとき、筋力・持久力の低下が伴っている。そんな状況で激しい行動をすれば、生命維持の面からはデメリットになる。だから、危険な行動を避けさせ、延命させるための自己防衛手段が、まるくなること、なのかも知れない。

 一方で、老いてもなおアグレッシブなアーティストなどは、身体が成熟していることを脳が無視して、まるくなる遺伝子群の活性化を起こさせないのかも知れない。
 バタッと逝ってしまうかも知れないが、最期までガンガン生きていく。それはそれで、羨ましいことでもある。

 平凡な人間ほど、丸くなってゆっくりと老いていく。ヒイラギ人生こそ、平穏、ということなのだろう。
 
 そう言いながら、オレは嫌だ、と言っている自分がここにいる。
 COVID-19への政府対応の鈍重さといいかんげんさに、心底立腹しているここ数日。とても「まるく」なんてなれない!!

まさか秋月さんまで休業とは ・・・ アキバも非常事態

Mです。

 電子パーツで「あそぶ」人なら知らない者はいないメッカのような存在、秋月電子通商さんがコロナで休業!!

 今日の昼、PCのスイッチ付近に使うLEDを数個買いに秋月さんに出向いたら、なんと、緊急事態宣言を受けて、7日から一ヶ月間休業との張り紙!
 お隣の千石さんで必要な部材は揃えたものの、コロナ休業とは驚いた。最近は、細かな買い物もすべて秋月さんのネットショップの方で手に入るから、必要ならばそちらでお願いします、ということなのだろう。とはいえ、部品に精通した店員さんが、細かなことでもすべて即座に回答してくれる秋葉原店は、素人に毛が生えたくらいのMレベルには替えがたい場所だ。となりの千石さんもなかなかの店だが、扱う物で棲み分けているので、細かな部材になると数段の差がある。電子パーツを組み合わせた数々のキットアイテムを開発して提供しているという点でも、秋月さんは特殊なのだ。

 以前、鉄道コンテナの中で、明かりのない中、輸送中の荷物の動きを把握したいという相談に、赤外線撮影装置と振動センサーを組み合わせて試験装置をこしらえたことがある。そのときも、秋月さんのキットをいくつか購入し、それらを組み合わせて利用した。手作りの3次元振動記録装置と、赤外線LEDを200個つけた暗視照明と、赤外線感度に強いデジタルビデオを組み合わせた仕組みを使ったが、ビデオカメラを除く部材はほとんど秋月さんで手に入れた。とにかく、何か作らないと、となった時に真っ先に頭に浮かぶ店なのだ。

 そんな人が多いのだろう、ものすごく狭い店舗内で、客どうしが背中合わせでカニ歩きしていることが珍しくない。だから、3密厳禁を原則にする感染症対策から見て、あり得ないほどリスキー。休業も止む無し、かも知れない。

  f:id:otto-M:20200408224547j:plain 秋月さんHPから拝借

 ついでに、これも秋葉原の老舗のひとつであるラジオデパートも覗いてみたら、こちらでも、いくつもの店がシャッターを下ろしているのが見えた。必ずしも緊急事態宣言を受けてのことなのかどうかは判らなかったが、人出がいつもの1/3程になっている秋葉原の状況からすると、開けても客が来ないので閉めている、ということなのかも知れない。
 ひと通り、4階まで上がってからぐるり回りながら降りてきたが、どの階にも閉まっている店が目立った。開いている店では、話し込んでいる客もいたが、流しで歩いているような客は見受けられなかったから、商売にならない厳しい状態なのかもしれない。

 1階まで降りて、必ず見ておかなくてはならない地下1階のジャンク屋さんを覗こうと降りてみると、なんと、目当ての店は閉まっていた。仕方なく階段で地上へ出ようと歩いて行くと、さっきエスカレーターで降りた時には気にしていなかった新しい店舗がある。なにやらPCパーツをいろいろと箱に詰めて並べてある。店の人も今まで見たことのない人だったが、覗いてみるとなかなか面白い。

 ジャンクパーツの箱には、「決して回さないでください」と書いて、汚れたままの大小様々なDCファンがゴチャゴチャと入れられている。価格は50円とか100円とか。ちゃんと動くのだろうけれど、手を掛けていないからあとは自己責任でどうぞ、という代物だ。ちょうど欲しい機能の120mmファンが入っていたから、100円でほこりだらけのファンを1つ。

 ついでに周りを見たら、あるわあるわ、使えそうなPCパーツがゴロゴロと。ヤフオクなどで5,000円は下らないだろうグラフィックボードが1,000円程度で売られていたりする。それらはみんな綺麗にクリーニングされていて、動作チェック&梱包済みと書いてあるから良心的。結局、DDR3-10600 ECCモリー 2G×3枚組を600円(嘘みたい!)、1G DDR3クラスのグラフィックボードを2枚(@300円)も手にして、計1,300円の買い物となった。

 帰ってからレシートを見て大笑い。なんと、店名が「秋葉原最終処分場」となっていた。

 参りました・・・

 秋葉原を歩いている人が、だいぶ昔の雰囲気に近い。アキバではなく、秋葉原を目指して集まってくる電気人間が多い感じだ。それが以前の主流だった。

 最近の秋葉原は、アソビのアキバに様変わりしていたが、そのアキバがほとんど姿を消してしまっている。ジャンク街でメイド喫茶の勧誘に立っているおねえちゃんたちは、誘えそうな相手が歩いてこないので手持ちぶさた状態だった。

 この様相は、やはり異常と言うしかない。

 電気人間とアソビ人間がゴチャゴチャ混じり合える状態に、早く戻したいものだ。

 そのためにも、無駄な外出はやめてジワジワと集団免疫を獲得させ、ウイルスとやんわり共存出来る状況を作るしかない、と思う。

軽症患者さんは防護服を着てホテルに移動 なんていかが?

Mです。

 

小池さん、軽症患者ホテル移送 英断です!

東京都民の皆さん、小池知事で良かったですね。

 これまでの方々では、こんな事態にキビキビと決断して行動に移ることはできなかったのではないだろうか。

 政権与党との関係、財界との関係、等々で、要らぬご意見、はたまた横槍、いろんな外圧がかかって、マスク2枚なんていうトンデモな忠言?によろめいては本筋から離れてしまう結果に陥ったのではないか、と想像するのである。

 ところが小池さんは一味違っている。

 そもそも、男どもに負けない自分を創っていけるようにと、単身エジプトに飛び出して、独自の世界観を作ってきた人だ。記憶に残っているのは、テレビ東京WBSのキャスターを務めていたころの姿だ。いろんな専門家を招いては、なかなか鋭い切り込みでキャスティングしていた。聞き上手でありながら、言いたい事はちゃんと言う。若かりしころの姿に、Mにはちょっと厚化粧じゃん、と見えていたが、それも痣があったからという理由をだいぶ後になって知って、ごめんなさい、と詫びた。

 その小池さん、爆発的にCOVIDー19患者が増える可能性のある状況下で、軽症の患者さんたちを、病院から都が借り上げたホテルに移って個別静養してもらうと決断した。協力するホテル側もエライと思う。先日期待を込めて発言したあとで、ちゃんと協力に踏み切ってくれたAPAさん、この仕組みに入ってくれているのでしょうか?

 とにかく、重症患者の管理は、既存のICUで管理するしかなく、その数も限られているのだから、大きな病院が多い東京とはいえ医療崩壊までの時間的猶予はそれほど長くない。それでなくとも、検査を行えば行うだけ陽性患者が増えるのは当然なのだから、トリアージを効率よく実施して、重症患者を死なせない医療に傾注しなくてはいけない。

 感染したからといって、エボラ出血熱のような致死率の高いウイルスではないのだから、重症化しないように、通常の肺炎予防措置などで十分に対応可能なのだ。そのような患者さんたちは、重くならないように静かにシングルルームで過ごして回復してもらう。実に理にかなった対応だと思う。

あさって7日から実施に移る、という速度感も十分だと思う。

と、それを聞いてから、その実施方法について、Y子と話をした。
移送はどうするのだろうか、という点について話し合ったのである。

 「軽症患者さんは自分でタクシーかなんかで移動してね、○×ホテルの□△号室ですからね」 なんてことはあり得ないから、公的な組織の車両なんかで移ってもらうのか、と考えたが、それだと、毎回使用した車両をはじめ数々の物、設備などで消毒措置が必要になって効率が悪い。

 結論から言って、いちばん良いのは、患者さんに防護服を着てもらって、警察車両とか、借り上げたバスなんかで移ってもらう方法だろう、という手法に帰結した。

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 普通に移動してもらうのでは、使用した車両を毎回消毒する必要が生じる。受け入れるホテル側も、患者さんたちが触れたものに気をつけておいて、あとから消毒処理するなどの煩雑な作業が生じてしまう。                           

 一方、患者さんたちに防護服を着てもらえば、たとえば一般タクシーで移動してもらっても問題はない。普通の医療施設での感覚と逆にすればよいのだ。医療従事者が防護服を着るのではなく、感染封じ込め、の目的で防護服を使うのだ。
 もしタクシーを使ったとしても、タクシーの運転手は、そのまま次のお客を乗せることも可能だ。なにしろ、患者さんが防護服を着てくれているのだから、室内にウイルスは出てきていない。まあ、実際のところそれでは効率が悪すぎるから、移送患者さんのいる病院毎に特定の車両をまわして、都が用意した防護服を着てもらった患者さんに乗り込んでもらい、協力ホテルに行ってもらう。手荷物は、これも都が用意する丈夫なトランクかプラスチック袋に入れて運べば、感染管理上、問題は無いはずだ。患者さんも荷物も、受け入れ先のホテルの部屋に入ってもらってから、防護服を取り、荷物を出してもらい、治療生活してもらう。
 食事、治療資材など、必要なものは、これもまた、すべてプラスチック袋等で個別管理して運び込み、ごみなどの回収も袋で回収、というように工夫すれば、受け入れホテル内の動線管理上も、汚染区域と非汚染区域を分ける、などという煩雑な作業がなくて済む。クルーズ船内で感染が広まってしまったのは、こういった個別管理がまったく行えていなかったからに他ならない、と思うのである。

 こうしてホテルで過ごしてもらいながら、症状が治まったなら、必要な検査をしてOKになり次第、消毒処理をしてもらってから、ご苦労様プレゼントとして支給される洋服一式を着て帰宅してもらう、なんていうのは如何でしょう。

とにかく、知恵を絞ってこの難局を乗り越えなくてはならない。
頭の柔らかい小池さんなら、こだわりなく、良いことは良い、と判断してくれると期待している。

スズメ は いずこ !

Mです。

 雨戸の隙間から朝の光が差し込んで、チュンチュン チッチッ というスズメの声で目が覚める・・・ などというシーン。昔の映画や漫画なら、朝を象徴する一コマとして、ごく当たり前に使われていた。しかも誰もがしっかりとその情景を脳みそにインプットできた「共通の記憶」だった。

  f:id:otto-M:20200402132106j:plain Wikiさんから拝借

 そんな情景が、とんと消え去ってしまった。

 田舎でさえ、昔はうるさいほどだったスズメの声を、このところなかなか聞けない。
 生まれ育った利根川近辺では、夏でも冬でも、河原のアシ原に行けば、風に揺れるアシの茎にスズメが沢山とまっていて、それはそれは賑やかだった。夕暮れ時になると一斉に飛び立って、ねぐらの竹林に移動する。竹林は、闇が迫る中、スズメたちの日報会議の喧噪がつづき、暗闇が訪れるとパタッと静かになる。そんな光景を、何度も、何度も見てきたのだが・・・

 調べてみたら、スズメはこの50年ほどの間に全国的、それどころか、世界的に激減しているというデータが明らかになっていると判った。
「びおの珠玉記事」というサイトに、読みやすく紹介してあったが、環境変化による棲み家の不足、えさの不足で、もはや回復はあり得ないと思わせる。
  参考→  http://www.bionet.jp/2018/02/13/suzume/

 

 ほかにもいろいろな論評が数多あったが、どれも深刻な内容で、冒頭の様な光景はどこに行っても見られなくなってしまったのだと、とても寂しくなる。

 都市型野鳥として一番威勢を誇っているハシブトガラス。その逞しさの中には、ほかの小鳥たちの巣を襲うという行為も入っているから、カラスの隆盛がスズメの衰退に大きく影響していることも確かなことかも知れない。

 そもそも、スズメたちは、家屋の軒下の隙間、電柱の電線カバーの中、停めっぱなしのトラックの荷台隙間、等々、小さな隙間でヘビが来ない場所ならどこでも営巣した。巣作りから2ヶ月足らずで巣離れしてしまうという、まるで鳥界のハツカネズミのような高速繁殖をおこなう。暖かい地域だと年に3回繁殖すると判っているから、外敵に襲われたりする損耗率を考えに入れても、あの大群を維持するのはそれほど難しくはない生態だったのだ。
 しかし、そんな彼らにとって、都会、田舎問わずに進んだ住宅構造の変化、つまり、隙間がない密閉構造の家屋に変化した事が、営巣場所を減らしてしまったらしい。電柱も昔ほどゴテゴテした装置がついておらず、すっきりとしてしまった。電線カバーも、昔は太いフレキシブルチューブが被さっていただけだったのに、今ではモールド型の覆いになっているから隙間がない。建物の壁にある大きな空間だと、カラスが入ってこれるから、とても巣作りなど出来ない。
 そんな状況で、人の生息域にちゃっかり住み着いていられたスズメたちは、棲み家を失ってしまった、ということなのだろう。

 稲作地帯では、米が熟す寸前の時期に、ついばんで乳汁を舐めてしまうため、稲穂をダメにしてしまう害鳥として嫌われていた。スズメよけのネットや、赤と銀色が表裏になったテープを田んぼに張り巡らしてスズメを追い払っていた光景も、そういえば最近目にしない。ドーンッ、ドーンッと空砲を鳴らしてスズメを追い払っていた情景も、気がつけばもう何年も耳にしていない。

 脚を左交互に踏み出すことはせず、ピョンピョンと跳びはねる歩き方が愛らしい彼らを、孫たちにも見せてやりたいと思うのだが、その場所が思いつかない、ということにハタと気づいてしまった。

 そういえば、花見客のいない桜並木の光景でも、スズメがいなくなってしまった事を判らせる現象がある。
 10年ほど前だろうか、桜が花びらではなく花ごと落ちてくる、という事が話題になったことがあった。その原因は、桜の蜜をなめることを知ってしまったスズメたちが、蜜腺のある花の基部をついばんでいたことにあった。強く噛むので、結果として花が元の部分から切れてしまい、そのまま軸を下にして回転しながら落下してきたのである。「花吹雪」ならぬ「落下傘桜」になってしまっていたのである。その光景が、今は無くなっている。
 隅田河畔では、いまサクラの満開を迎え、そろそろ散り始めている。ハラハラと風に舞う花びらは、儚さの象徴でじつに情緒たっぷり。でも、「なんだよ、花ごと落とすんじゃないよ!」と見上げた先でサクラをついばんでいたスズメたちが全くいない現実は、生きものたちが生きづらくなっている世界を見せつけせつけられて、ひどく寂しい。

 荒川沿いのアシ原や多摩川河畔の草地なら、スズメたちが今でも棲んでいられるのだろうか?

APAさん コロナ対策に打って出ては!?

Mです。

 週に1度は、郵便局に行く。
 入るところはおおむね4ケ所で、その時の動きに合わせて寄りやすいところに入る。昨日も、蔵前付近の郵便局に切手を買いに入った。

 と、この前までは、あのド派手な帽子をかぶった社長の写真入りパネルに現物が添えてあった「アパ社長カレー」が、今度はイラストのボックスタイプになっているのに気づいた。 う~~む、保険でイメージダウンしている日本郵便がアパ頼みしているのか、それともアパ社長が半分公的な組織に「てこ入れ」を表現することで社会的地位をアッピールしているのか、どちらともつかない。 が、本気で売っているらしいことはわかる。ちまたの商品と一緒にされることのない、ゼッタイに目立つ方法を選ぶのも、なかなか目の付け所が良い。

さすが である。

 そのアパさん、秋葉原周辺をチャリで動き回っていると、あっここにもアパ!、が増えてきた。細い路地を走っていたら、あれっと見上げるとアパさんが出来ていた、なんて感じで、秋葉原駅間近だけでも2ケ所ある。

 つい最近、浅草橋駅付近にも、ペンシルビルのようにしてアパホテルが稼働した。オリンピック関連で同駅周辺には数年前からビジネスホテルが出来て、コロナ騒ぎになるまでは、多くの中国系旅行者が列をなして出入りしていた界隈。そこに、1年もかからずにポッと現れて営業を始めた。

 ↓ 街路灯と並べて撮ってみた。細い !

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 ちょっと調べてみたら、アパさんは、なんと東京都内だけで76ケ所あるのだ !!   八王子以西の5ケ所を除いても、中心付近に71ケ所。どこを歩いていても、気づけばそこにAPA、くらいあるのだとわかった。
 案内に6月開店とされているところもあるから、明らかにオリンピック関連のホテル不足対応で急増したのではないかと推測する。いずれにしろ、それだけの資力と決断力があることに敬服するしかない。

 が、現状のCOVID-19騒ぎの推移を見れば、最低でも1年先送りになったオリンピック需要が期待できなくなった今年度は、さぞかし先行投資の重荷がキツイのではないか、と想像してしまう。

ならば、いっそのこと、持ち前の行動力で打って出てはいかがか。

 医療施設パニック寸前の東京で、アパグループ挙げて病室提供契約を小池さんと交わしてはどうだろうか、と思う。
 現状は、医療施設に感染者を隔離しようにも、早晩空きがなくなることは目に見えている。しかも、多くの場合、1つの室内に複数の患者が一緒に入らなければならないことになると想像され、感染拡大の要因にもなる。
 一方で、感染はしても重篤化する人はごく一部なのだから、感染ありで比較的元気な人が個別管理環境で快復してもらう場所として、シングルルーム主体のビジネスホテルはうってつけだと思うのだ。

 1年先送りになってしまった収益見込みをゼロにするよりは、最低費用を東京都に負担してもらって社会貢献する。

 ついでに、ご自慢の「アパ社長カレー」、旨そうだから隔離患者のメニューに加えて欲しい。

悪くないと思いますが・・・ いかがでしょう。
小池さんも、その方が助かるかも。

あっ、ふざけた事言うなっ! って、怒られそうだ・・・・・・

サクラ2020 今年は個体ごとの差が大きい

Mです。

 3月半ばから急に暖かな日が現れて、東京では一気にソメイヨシノが咲き始めた。

 とはいえ、場所によってだいぶ咲き始め日に差があるようだし、同じ地域でも個体ごとに大きく異なっている。

 気象庁が東京のソメイヨシノ標準木(靖国神社にあるそうだ)で開花宣言をしたのが3月14日で、その後10日ほどで満開になるという予想だった。
 ところが、実際には一気に咲き進む、ということは無くて、28日時点でも隅田川付近の樹々は、早いものは5分を超えているように見えるものの、まだ殆ど蕾のままの樹もあって差が大きい。

 ↓28日時点で満開近い場所

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 昨年10月から暖かめの日が多かったため、今年のソメイヨシノにとって、寒気にさらされることでしっかり休眠することができなかったようだ。そうなると、いつ暖かくなったのか判らない、という現象が起こってしまい、樹によって3月に入ってからの暖かな日を春だと感じることに迷いが発生してしまったのかもしれない。”休眠打破”と呼ばれるソメイヨシノの生理現象が不十分なのである。
 しっかりと寒い冬は、ソメイヨシノにとって、春を待つきっかけを明確に与えてくれる。しかし、それがないと「今って、冬だっけ?」と迷っているうちに本当に暖かい日が訪れて、慌てて花芽を膨らませて咲きだす、ということになる。
 人間にたとえれば、そそっかしいタイプは「あっ、暖かくなったじゃん!」と咲き始めるが、おっとりタイプは「まだちゃんと冬してないんですけど」と咲き出しが遅れてしまう、なんてことなのかもしれない。

 そんな様子を、同じように感じている人がいた。いつもお世話になっている駐車場の人と、今年のソメイヨシノはちょっと変だ、という話になった。
 Mが、今年のサクラは香らないよね、と話しかけたら、そうそう、いきなり咲きだして色も薄いよね、と返ってきた。そうなのだ、あまり桜色を感じさせない樹が多いということは、Mも感じていた。
 彼曰く、埼玉県の三郷市に住んでいてその付近では5分咲き程度なのだが、全体が白っぽくていつもほど綺麗だと感じないのだという。
 ソメイヨシノの開花は、咲く前に赤い皮を被った蕾が大きく膨らんできて、樹全体が赤っぽくなることから始まる。ところが、今年は咲く前の赤さを感じないままポツポツと咲き始めてパッと咲き進む、というパターンに感じる。サクラ色を強く感じさせてくれるのは、あの膨らんだ蕾の赤と咲き始めた花の白が合わさっているためなのだと思う。その合わせ技が、今年の場合は不十分なのだ。

 じつは、香りも同じなのではないかと思っている。そもそも、ソメイヨシノは香りがとても弱い。咲き始めの時期だけ、近づくと「ほんのり香っている」程度だ。咲きそめた頃は顔を近づけると確かに香りを感じるものの、満開の頃になると殆ど感じない。それが例年の実感だ。Mは「大きく膨らんだ蕾が、あの香りを出す助っ人なのではないか」と想像している。

 咲く時期を見極めようと大きな蕾が満を持している、という期間が不十分な今年は、準備不足で香りも不十分なのだ、と感じている。

 COVID2019騒ぎで落ち着かない日々、せめてサクラに癒やされたいと思うのはMだけではないだろう。

 そうだ、まだ食したことのない隅田河畔長命寺の桜餅、今年こそ買ってみよう!
 香りの不足分は、桜餅で!!

外付けUSBサウンドカード

Mです。

 デスクトップ派のオッサンMは、40年くらい前のLPレコードを中心に、気に入ったアルバムをHard Offさんなどのジャンク・コンテナから見つけだしては集めている。

 溜まっている方がはるかに多いから、いつかクリーニングしてデジタル収録しなくてはならない。 しかし、レコードを中性洗剤でクリーニング、プレーヤーで再生してDATテープ録音、デジタルフィルターユニットで処理してPCに取り込む、という作業は、結構時間がかかるので、なかなか進まないのである。

 そんな作業で酷使するのが、PCのサウンド装置。

 元値は数十万円する外付け装置をジャンクで手に入れて整備してもあるが、チャチャっと確認したいときは、そのままPCのステレオピンジャック(φ3.5)にイヤホンを繋いで確認する方がずっと多い。外付け装置は、ノイズ除去と音質調整でしか使っていない。

 そんなわけで、PCのマザーボード備え付け、あるいはPCIサウンドカードのピンジャックは、何度も何度もピンを抜き差しされている。どなたも経験があると思うのだが、ピンジャックに繋いだとき、ピンを回したりするとザザザッとノイズが発生することがある。これは、外部からのゴミが原因の時もあるが、実際は、コネクタ表面のメッキ剥がれやピンを固定するためのバネ鋼のヘタリで、差し込んだピンが接触不良を起こすときにノイズになっていることが殆どだと思う。だから、接点改良剤なんかを吹き付けても、一度痛んだコネクタ接点は生き返らない。

 以前は、PCのオーディオコネクタそのものを取り外して、同等のものに半田付けで取り替えたり、サウンドカードを買い換えて交換、などでしのいできた。
 ところが、マザーボードの変遷の中で、もはや音声出力コネクタがボードに付随していないことも多いし、PCIカードでオーディオデバイスを拡張する、ということもなくなってしまった。今では、ジャンク屋さんでさえ、PCIサウンドカードは殆ど扱っていない。

 ↓ PCIサウンドカード ; こんなのをマザーに差し込んで使っていた。

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 そんな中、つい最近、メインで使っているデスクトップの出力ジャックがひどい状態になってしまった。ピンを動かして音声がうまく出るところを探さないとステレオにならない。大丈夫かと思って作業を始めると、すぐにまた左右どちらかが消音してしまう。もはや処置無し、と諦めて、今まで使っていなかったUSBの外付けサウンドカードなるものを試すことにした。

 外付けサウンドカード、とは言いながら、形状はカードではない。

 昔、PCIカードとして存在していたものをUBSメモリーのような小さな身体に収納し、名前だけカードと称している。つまり、Mのようなオッサンでもその機能が推し量れるように、メーカーさんが優しく配慮してくれているのである。

USBメモリーのようにスティック状で、尻に入力、出力のピンジャックが付いているものと、

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②ノイズ防御の金属網をまとったピンジャックケーブルを持つものがある。

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①は、USBポートが前面に付いているマシンに便利で、②は背面にしかないマシンでもピンジャックコネクタを後ろから引き回してこられる便利さがある。

 Mはどちらのタイプのマシンも使っているので、アマゾンさんで①と②の両タイプを購入してみた。いずれも1000円未満というお値打ちで、能書きはどちらもちゃんとしていた。

 入手には若干日数がかかったが、届いてすぐに、その性能を見てみた。いや、聴いてみた。
マシンの差が出ると困るので、同じマシンに両方とも繋いで、ステレオイヤホンを取っ替え引っ替えして'80ポップスなんぞを聴いてみたのである。

 と、明らかに差がある。

 メーカーも違うのだから同じでなくて当然なのだが、①のタイプの方が音のバランスがよい。②は、高音域が強く低音が効いていない。ケーブルで引き回すという構造のせいで、外部ノイズを拾いやすいから高音域側に比重をかけているのかも知れない。しかし、PC側のオーディオ設定で音域毎に調整していくと、どちらも同じような音にすることが出来たから、装置自体のデフォルト設定が違うのだと分かった。
 一度分かれば、タイプ毎の設定値を保存しておけば、どちらを使っても同じような音で聞くことが出来る。違う製品を買っても、同じように調整すればよいのだ。

 どうやら、デスクトップPCのサウンド問題は、これで解決だ。


 ピンジャックは消耗品だから、USB外付けオーディオカードは、実に有用なツールだと分かった。
 今様の機器を使いこなしている方々には用無しだろうが、オッサンたちにとって救いのツールのひとつだと思う。