理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

留守宅チェック かなり簡単になってきた

Mです。

 アイ・オー・データさんから、今日はハードの紹介が来た。
 見守りネットワークカメラ Qwatch(クウォッチ)の新型だという。WiFi通信で自宅内の無線LANにつなげ、リアルタイム画像をスマートフォンタブレットからインターネット経由で簡単に見に行ける仕組み。PCからだと一度に複数個のカメラを同時観察できるという。まるで、小売店舗内各所に設置した防犯カメラの監視室のようだ。

 もちろん、アイテム自体は、これまでにも色々な企業が提供してきているので、それほど珍しいものではない。
 送られてきた情報で興味を持ったのは、無線ルーターとの接続方法が実に簡単で、スマートフォンやPCでカメラ情報を見るためのアプリケーションソフトも使いやすそうだという点。当然、アプリは無料の付属品となっている。
 下の写真が、紹介された新発売の簡単エントリーモデルだが、首が回って室内を360度遠隔監視できるモデルや、屋外用の監視カメラスタイルなど、いくつもの種類がある。ネットへの入り口は、家庭内WiFiモデムとの接続が基本だが、有線タイプも1機種あった。

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      7月末発売のTS-NS110W なんと11,100円で買える。

  実は、スマートスピーカーが出始めたとき、実家で一人暮らしをしている母親の様子をチェックする目的で、Google Homeの購入を考えたことがある。実家にはWiFiルーターを設置してあるので、リンクさせておけば、その利用状況から無事の確認が出来ると考えたのだ。ただ、どう考えても母親は機械に話しかけるような人間ではないし、確実に「そんな訳の分からないものは要らない」と拒絶されるだろうから、すぐにこの案は自己却下した。
 その際、Webカメラを実家のどこかに設置して画像取得、ということも当然出来るので考えた。だが、その説明をしたらこれも拒絶されるのは確実だし、言わずに設置して後でばれたらそれこそ大喧嘩になりそうだから、これも結局あきらめた。
 どう理由付けしようと、これらの行為は「監視」に他ならないのだから、たとえ家族であっても、簡単に受け入れられる筈はないのだ。

 しかし一方、ペットと暮らしている人が、留守中の様子を確認したい、などというケースは多いように思う。上記のモデルは、スピーカーも備えているから、遠隔で音声を送ることも出来る。ペットがいたずらしていたら「コラッ」と叱ったりも出来る。ペットの側は、えらくビックリするだろうが。

 また、屋外設置型は、留守中の外回り監視という意味で、いわば私設監視カメラとして使えるから、防犯効果が高い。ついに法制化されたあおり運転の証拠にドラレコ映像が使われるように、留守宅に異変があったときは、このカメラの映像が後々、証拠として役立つこともあるだろう。

 いずれにしても、IoT 関連アイテムの普及は、ますます速度を上げてきている。
 優れたツールが、どんどん廉価で入手しやすくなる流れは、とどまることがない。

 正しく、そして有益に使う方法を、誰もがしっかりと考えなくてはいけない時期に来ていると思う。

こだわりの先に ; CDにレコード雰囲気を再現

Mです。

 新製品のお知らせメールがアイ・オー・データさんから届いた。いつもはPC周辺機器の知らせが多いのだが、今回は若干色合いが違っていて、レトロ趣味の生CDとジャケットデザイン用アプリの抱き合わせ商品だった。
 レコードデザインの CD-R「Phono-R®」という商品で、生CDが黒くて、中心付近のレーベル印刷面をあしらっている。大きさを知らなければ、見た目はレコード盤そのものの顔をしている。

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  音楽用CDと、データ用CDの二通り用意されていて、外観は同じで、5、10、30枚入りのラインナップ。右図のように、レーベル面が自分でインクジェット印刷できる白いままのものもある。

 商品名のRは、Retro、Recollection、Remember、Reminiscence、あたりから持ってきたのか? まさかRe-cycleではないだろう。

 ところで、このCDメディアは黒い。CDの記録ディスクが黒いプラスチックというのは、最近は見たことがない。実は、20年前くらいに、データの読み書きエラーを防ぐという謳い文句で、黒いプラスチックを採用したものがあった。ところが、データの読み書きをするCDドライブは、レーザー光の強度と読み取りセンサーの感受性に製品差があるため、黒CDで読み書きがうまくいくものとそうでないものが存在することが分かり、結局、その後、見かけなくなってしまった。
 黒プラスチックは、光が透過しにくいため、散乱光発生によるデータエラーは防げるものの、反射してくる光量も減るため、CDドライブの性能が高くないと読み書きがうまくいかない、ということが起こったようだ。
 Mは、当時、黒CDを多用していた。たまたま自作していたDesktop PCのCDドライブが高密度レーザーを使っていたものだったので、幸運にも問題なく使えていた。ところが、知り合いにその黒CD でデータを渡したら読めなかった、ということがあって、それ以降は通常の透明CDにしたという経験がある。黒CDが思ったほど受け入れられず、ほとんどジャンク扱いで超廉価販売(1枚数円レベル)されているのを見つけ、自分用に100枚単位で購入したことも覚えている。

 ただ、その後は、データ持ち運びツールがUSBメモリーやメモリーカードへと移り変わってしまい、書き込み済みの黒CDは、データだけ取り出されて用済みになってしまった。

 なかなかシックなメディアだったが、今では懐かしい、というだけの記憶でしかない。

 そんな黒CDが、今度はレコード盤を模すための道具として生き返ってきたのかと思うと、ちょっと感動的だ。
 この商品を開発提供しているのが昔のVerbatim(ヴァーべイタム)だと知って、実はもう一度驚いた。DVDが主流になるまでは、性能がちゃんとしていて秋葉原で安く買い求められる製品として、Verbatimはよく目にしていたし、事実購入もしていた。そんな懐かしさも手伝って、今回のお知らせは感じ入るものがあったのだ。当時買った黒CDも、もしかするとこの会社の製品だったのかもしれない。

 ただ、この商品、どれだけ売れるかな、という点では少々疑問がある。
 購入者は、たぶん50代以上の人たちだろうな、と思うが、こだわりの強い人がどれだけいるか、そこが問題だろう。

 CDにしてしまえば、音質にこだわって編集したものでない限り、今様のCD音になってしまうから、この商品を購入する方々には、是非とも記録するデータにこだわって欲しいと思う。
 記録する対象を吟味して、こだわりの音にして入れてもらいたいと思うのだ。市販CDから単純にこの商品にコピーするなんてことは、出来ればやめて欲しいものだ。
 せっかく良い雰囲気の外観を持っているのだから、昔のレコードから非圧縮でPCに取り込み、CDプレーヤーでも再生できる周波数変換だけを行って書き込む、など、こだわりの編集をしてみてもらいたい。CD1枚に入れられる曲数は少なくなってしまうが、ノイズ込みのデータでも良いから、アナログプレーヤーで再生しているような雰囲気の音入れにこだわってみて欲しいと思うのだ。

 レコードっぽい外見だけでなく、中身もレコードっぽい、というのが「粋」だろうと思う。

 とはいえ、「かたち」を気にしないMにとっては、おもしろいとは思うものの、食指を動かす対象ではないかも知れない・・・ (アイ・オー・データさん ゴメン!)

 

SATAコネクタの破損 こんなこと、起こるんだ!

Mです。

 メインで使っているDesktop PCが、駄々をこねた。

 作業中に数十秒フリーズした。マウスをクリックしたり、リターンキーを押したり、色々やってみたが何の反応もない。強制再起動か、と思っていたら、フッと元に戻った。

いったい何だったんだ!?

 そのまま作業に戻って、ファイルをセーブしようとしたところで?? どこに保存するかと聞いてくる。何言ってんの、上書きだろうが! と悪態をついてからはハッと気がついた。上書きしようにも、ファイル保存場所が消えているのだった。

 内心大慌てでPC環境を調べてみると、なんと、データ用ディスクが認識されていない。マイコンピューターから、DATAドライブが消失していたのだった。

 作業していたファイルは、朝方、このDATAドライブにあるDocumentsフォルダーから引っ張り出してきたもの。アプリでそのファイルの中身に追加や変更を加えて、プリントアウトしたりPDF化して送信したり、かれこれ2時間ほど作業していた。その間は、自動保存設定で、30分ごとに上書き保存させていた。だから、作業していたファイル自体は、ワークエリアに持ち出されていて、その場所で加工されていたのである。

 ところが、フリーズが発生した時点から最大30分以内にマシントラブルが起こっていて、データドライブが無くなっていることを知らずに作業を続けていたのだ。

 消えたドライブはデータ格納庫だから、作業しているときは必要とされていない。しかし、アプリが、設定してある30分ごとの自動保存をしようと動いたとたん、「書き込み出来ませ~~ん」と、フリーズしてしまった、ということだった。

 これは一大事、と、シャットダウンしてサイドパネルを開け、HDドライブを調べていくと、5台積み込んであるHDDの内、データ用に使っている3台の中の1台でデータケーブルがグラついていることに気づいた。おや、と思って引っ張ってみたら、既に外れていたかのように、スッととれた。よく見ると、コネクタの壁にひびが入っていて浮き上がっている。浮き上がった壁を押したら、簡単にペリッとはがれ落ちてしまった。

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 ドライブとマザーボードがパラレル接続だった頃は、80ピンのごついコネクタと幅広のケーブルでPC内部は風が通り抜けられないほどの混雑状態だった。そこにシリアルのSATAケーブルが登場して、PCの箱内部は一気にスッキリした。その立役者が、細くて薄いこのSATAケーブル。一方で、ごついコネクタをグイッと差し込んでいた頃に比べて、こんな薄っぺたいコネクタで、外れたりしないのかと心配だったことも記憶している。
 止め金具付きのSATAケーブルもあるから、コネクタが外れやすいのは最初からわかっていたのだろう。とはいえ、そもそも、PCは置きっ放しである。特にDesktopなんて、時たま置き場所を移動するくらいで、ガタゴト運ぶわけではないから、コネクタが外れるような衝撃は考えられない。
 だから、安心していた、という面もあった。

 でも、やはり、壊れるのだ。そして外れるのだ!

 よく調べてみると、他のHDDのコネクタからも1本、上の画像と同じ部分のプラスチック壁にヒビが見つかった。

 SATAケーブルは高純度の銅線を絶縁して堅いPVC膜で平たく固めてある。画像の赤いのがそのPVC膜だ。この材質は折れ曲がっても内部の線を保護してくれているので断線とかは考えられないが、一方で、堅いだけに緩く曲げてセットすると元に戻ろうとする力が結構強い。だから、PC内部で配線を整えたりしていく中で、コネクタ部から出た後に必ずたわみ、そこは元に戻ろうとしている。

 そもそも、直線的に配線は出来ないので、どこかで大きく曲げざるを得ない。そのため、元に戻ろうとする力は、HDDなどの雄コネクタを覆うように差し込むプラスチック枠(画像の黒部分)に溜まる。その結果として、薄い壁部分にひずみがかかり続けてヒビが入った、ということなのだろう。

 ヒビが入ってしまうと、コネクタ部の口が広がって接点が甘くなり、ついに通信が出来なくなった。
 あれれ、DATAディスクが居なくなっちゃった!
というのが、今回の出来事だったのだろう。

 ちなみに、生きていた頃のコネクタ端部は下の画像。

 壁はしっかりしているように見えるのだが・・・   

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 結局、ヒビが入っていたものも含め、2本の新しいケーブルと交換して、マシンは正常復帰した。ケーブルは、秋葉原のジャンク屋さんで1本100円以下。目につくと買い集めていて、各種形状を10本以上備蓄している。

 最近のNote PCなどは、CPUの熱発生もかなり少ないしHDDも使っていないから軽量薄型。配線もごくごく短く設計されているので、今回Mのマシンで起こったようなトラブルは起こりえないだろう。

 まあ、Desktopにいつまでもしがみついている輩だから、これも良い経験だと思うしかない。
 とはいえ、このスタイルは変えられないから、これからは、定期的にSATAケーブルのチェックもしていかなくてはいけないなぁ、と思っている。

ウェアラブルVR-PC 見過ごしていた進歩に 今更びっくり!

 

Mです。

 VR(ヴァーチャル・リアリティー)機器の宣伝が画面に現れて、何の気なしに周辺の関連情報を眺めていたら、おかしなリュックスタイルが目に入った。
 クルマの周辺に男女がいて、背中には薄いリュックが。VRヘッドセットを装着していて、なにやら作業している雰囲気だ。

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 出元をたどってみたら、もう3年も前の情報に行き着いた。

 HPさんの、HP VR Backpack G2 という装着型VR-PCだったのだ。

 VRにはそれほど興味がなかったので世の中の動きに完全に遅れていた。この紹介ページを眺めていて、そうか、遊びじゃないんだ! と、今更ながらに驚いた。というか、具体的な利用方法を考えてみたこともなかった、と思い知らされた。
 この装置、米軍の耐久試験も経ている。つまり軍事利用も想定した装置なのだ。

 背中の黒ケースの中には、かなり高性能なワークステーション型のPC(WS-PC)が収まっている。それは、クレードルに載せればそのまま高性能なワークステーションになる。

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  写真は、あらかじめ作業内容をVR情報としてWS-PCにセッティングしておき、現物のクルマを前にヘッドセットのVR情報を映し出して、メンテや改造をしようとしている、というイメージを表現していたのである。

 VR装置なのだから当然だが、高性能の無線通信機能も備えていて、画像解像度もかなり高い。リアルタイムに、詳細な情報を取り出しながら作業できるという触れ込みだ。

 となると、これはもはや娯楽とは全く異なった世界に展開している。

 通信の格段アップを謳う5G時代到来の流れは、まさにこの装置の利用方法にも大いに関わってくる。

 たとえば、5G通信時代になれば格段に進むだろうと言われている外科手術の遠隔作業。

 実際の患者は僻地にいても、ドクターヘリが熟練医師と看護師を機材ごと現場に運ぶ。モニター機器すべてを運ぶことは出来ないから、各種センサーだけを持ち込んで患者にセット。端末は5G通信端末につないで中枢の医療機関にある高性能診断機器とリンクさせる。野戦病院程度の簡易手術室が、まるで高度医療センターの手術室にヴァーチャル対応する。
 援護のスタッフたちは、現場からの情報を映像とともに見ながら、医療センター内で現場さながらの状況を目に、現場術者とあれこれ話しながら手術をすすめていく・・・
 そんな状況が、このリュック型PCを背にしながら、いとも簡単に実現してしまう気さえする。

 それだけではない。

 これは、親方にしか出来ない加工なんだ、と後継者が日々研鑽を積もうと必死になっている町工場。NASA御用達で、ここでしか出来ない精密パーツがある。そんなことが、たとえば大田区の町工場にはいくつもあると聞く。
 そんな技術継承に、今後はリュック型PCが大きな手助けをしてくれるかもしれないと思う。
 鼻の脂、とはよく言われるが、同じようにやっているはずなのに、親方にはいとも簡単にできてしまうことが、弟子には90%しか出来ない、なんてことはざらにあるだろう。

 その鼻の脂は、作業時の目の置き方、タイミング、力の抜き方、などなど、リアルタイムの動きの中では追いたくてもついて行けない部分が影響しているはずだ。そんな領域の情報を、精密映像で多方向から記録し、出来る人と出来ない人の違いを克明に解析していけば、どこかに「鼻の脂」のエッセンスが見えてくる気がする。
 その検証画像データを元に、「これならできる」パターンを教育VRにまとめて、現物作業時にVRヘッドセットを使って作業過程を何度も試していく。そのうちに、口で言われてもわからなかった勘所が、ある日突然、自分の手の動きになって身についている。
 そんなことが実現するような気がするのだ。

 3D映像でワオ~と興奮する世界とはちょっと方向が違うが、技術用VRは、実は既にすごい世界に進化しているのかもしれない。

ついに来たか!? 冬眠誘導

Mです。

 新型コロナ騒ぎで、いろんなことがトコトン嫌になってしまっている方々も多いのではないか。
 出来れば社会活動ごとフリーズさせて、ほとぼりが冷めたらチンして元に戻せたらどんなに良いだろうか、と思ってしまう。

 そんな、タイムマシンのような都合の良いお話はあり得ないが、ほ乳類の一部が行う「冬眠」を、人為的にコントロールできるかも知れない発見があった。
 筑波大学の櫻井教授と大学院の髙橋氏が、理化学研究所の砂川氏らとの共同研究の結果として、6月11日付で大学から発表した。大まかな説明は、下記筑波大のリンクを参照願いたい。

 http://www.tsukuba.ac.jp/attention-research/p202006111800.html

 クマやヤマネが食物がなくて雪に閉ざされてしまう冬山で、穴にこもって春を待つ行動を、冬眠と呼んでいる。ただし、クマでは代謝が極端に落ちる事はなくて、半眠り状態でエネルギーを消費しながらどうにか冬場を凌いでいるので、本格的な冬眠とは言えない。一方で、ヤマネやリスたちのように体温を極端に低下させるまでエネルギー消費を抑えて、活動停止状態になるのが本格的な冬眠である。
 冬眠の逆で、夏に代謝を落として眠ってしまう行動様式を夏眠と呼んでいる。日本ではあまり知られていないけれども、雨のない時期にカタツムリが粘液を固まらせて木の幹や岩の裏などにひっついて動かない状態も、夏眠の一種とされている。こども図鑑などで有名なのは、ハイギョの夏眠だ。乾期に水がなくなって動けなくなってしまう時期に、ハイギョは自らの粘液で泥のなかに室をつくって籠もる。これが有名な夏眠状態。水がない中で、ハイギョは穴のなかで最低限の肺呼吸をしている。水陸両用動物始まりの姿で、まさに太古の姿を引き継いでいるスゴイ輩である。

 こんな動物たちの行動の中で、ほ乳類の冬眠については、神経支配とそれに伴うホルモンなどの情報伝達物質によって、身体じゅうの機能が低くコントロールされているのだろう、と想像されいるものの、実のところはあまりよく解っていない。冬眠遺伝子を突き止めようとする仕事もあるが、いまのところ、こちらの方向も明確なものが見つかっていない。

 そんななか、冬眠とは縁の無い齧歯類(ネズミたち)でも、脳の視床下部という場所の特定の神経群を刺激すると、眠るはずのないネズミが冬眠状態になってしまうことを発見したのだから、これは画期的なことだ!
 視床下部は、成長ホルモンにも関わる場所で、脳の底、上顎の中央上方にある奥まった小さな場所。代謝と深い関係にある成長ホルモンに関わる場所なだけに、代謝調節そのものとも言える冬眠とも関わるのだとすれば、さもありなん、と思える。

 下の画像は、櫻井さんたちが示した、代謝が落ちたネズミと通常のネズミのサーモグラフ比較を示している。(一部文字を入れさせていただいた)
 右の処置ネズミは、普通なら死んでいると思われるくらいの体温だとわかる。とても動く事は出来ないレベルだ。

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 ところで、筑波大グループの科学研究費申請資料によると、2019年に研究費が交付された研究題目は、「絶食による休眠誘導の神経回路の同定と人工冬眠の誘導」、となっていた。どうやら、絶食という手段でマウスが飢餓状態になったときに、代謝を抑えて生き残ろうと身体が反応して休眠状態になる現象を利用して、その時、脳神経のどこが活動するかを分析しようというのが、当初の目的だったのだろう。次いで、その場所が解ったら今度はそこを適切に刺激してやることで、飢餓にしなくとも休眠状態を作り出せるか、と考えたのだろう。つまり、この段階では、冬眠ではなく、休眠だったのである。
 その実験の中で、はっきりと休眠に関係する神経組織の場所をつかんで、今回発表した成果につながったと推測する。そして、思っていたよりもずっとしっかりしたレベルの休眠状態を誘導する事が出来て、それがあたかも「冬眠」に匹敵するレベルだった、という流れだったのだろう。

 冬眠という現象は、夏眠も含めて、動物が自分の身体を生きていける最低の状態に落としている現象だ。世界が5ヶ月近く時間経過していても、その個体にとっては2~3日分のエネルギーしか消費していないという程のエコモードである。常に食べ続けていないと生きていられない齧歯類にとっては、自分の時間を何百分の一の速さにスローダウンした状態を作っているのだ。

 これは、SFの世界で始まった冷凍人間の話とも通じる。今治せない病気も、100年後、500年後には救えるかも知れない。だから、患者を冷凍保存して、遠い将来に解凍して治療しよう、という目論見のお話だ。実際に、米国のお金持ちが、自分の身体を冷凍保存しているとか、いないとか・・・
 そんなSF話はともかく、ほ乳類を人為的に冬眠状態にもって行けるということになると、人間の世界が ”ものすごく” 変わってくる。
 医療分野では、薬を使わない麻酔が可能になるし、心臓や脳の手術といった時間との勝負になる領域でも、身体がほとんど停止してしまった状態になってくれているのだから、煩雑な手技も焦らず行える。もちろん、出血も極端に少なく抑えられる。その他、今は思いつかないが、遺伝子治療にも適応させられるアイデアなど、いくつも出てきそうだ。

 SFの宇宙ものでは定番になっている冬眠状態での宇宙旅行も、夢物語ではなくなるかも知れない。火星移住も、本気で考えられるかも知れない。
 大災害時には、休んでいてよい人々は冬眠状態になってもらうことで、食糧を含めたエネルギー節約が可能になるなど、人間社会のトラブル対応策としても異色の策になるかも知れない。(悪いヤツが使うと、とんでもない道具になるが・・・)

 とはいえ、この技術がどこまで他のほ乳類に適応可能かどうかは、まだ何ともわからない。しかし、マウス、ラットともに同じ現象が見られ、刺激がとだえて一定時間過ぎれば元に戻っているという報告は、嘘ではないな、と感じさせてくれる。

 発見した神経群は、休眠誘導神経群(Q神経群;Quiescence-inducing neurons)と名付けられている。ここを刺激すると、一定時間冬眠状態になって、その後元に戻るのだという。
 刺激が与えられると、きっと何かの伝達物質が作られて、それが体中に巡っていくのだろう。この先、それが何なのか解れば、神経を直接刺激せずとも、人為的に合成した「それ」を薬として使う事で冬眠誘導することも可能になるだろう。

 神経群の刺激方法もいろいろ検討されるだろうが、非侵襲の電磁刺激のように、余計なな薬物投与なしにコントロール出来る方法も見つかるかも知れない。

 まだまだ課題は山のようにあるが、将来的に、ノーベル賞級の仕事に発展するかも知れないと期待している。

 Q神経群と聞いて、いにしえの円谷作品「ウルトラQ」を思い出してしまった。
 

浴室ランニング を試してみた

Mです。

 目標は4㎏、とりあえず2Kg 減量したい。

 寄る年波で、下っ腹に付いた脂肪がなかなか減ってくれない。炭水化物はかなり減らしているつもりなのだが、実際は、夕食後にビスケットを食べてしまうとかで意思貫徹ができていない。それじゃダメじゃん、と自らを叱咤するものの、朝は炭水化物なし、昼は食べていない、ということで、夕食はチョット甘くなってしまう。むしろ、朝に炭水化物の方が良いと思うのだが、それだと午前中の覚醒度合いが悪いと感じていてやめている。デスクワークは午前中が勝負なので、これは変えられないと思っている。

 3年前までは、週1ジョガーだった。ところが、仕事でホコリとカビを多量に吸い込んでしまったのが原因で、その2週間後、いきなり喘息が発症してしまった。息が苦しいという生まれて初めての経験をして職場近くのクリニックに飛び込み、その場で「喘息ですね」となった。吸引ステロイドを処方されながら半年ほど通院し、もうこれ以上は良くならないと判断して、以降は自己管理である。

 1年ほどしてだいぶ落ち着き、どうにかジョギングできるほどには戻ったものの、気管支上部の枝分かれ付近の閉塞感はなくならず、感触としては炎症後の内皮肥厚と線維化による不可逆変化が起こってしまった、と思っている。もともと有機溶剤系のにおいには弱く、時々、近くを通ったおねえさんの化粧品臭に反応してしまうと、一気に気道が狭くなったと感じる。そんなときは仕方なく、手持ちの市販気管支拡張薬を服用し、しのいでいる。

 そんな状態だから、もう3年以上、しっかりとしたジョギングはしていない。

 以前は週一の1時間ジョギングで13~15Km走っていたが、たぶん、もうそんな風には走れないと思っている。途中で苦しくなったとき、帰りようがないから。

 週一でも、1時間みっちり走ると、筋力は維持できるし無駄肉も付かなかった。それがなくなって以降、いろいろと筋トレを考えては実行しているし、仕事で動き回るにもチャリでの突っ走りにしているので、そこそこ運動負荷はかけている。でも、それではダメなようだ。

 そんな中、今日風呂場で作業しているとき、しっかりしたタイル面と鏡がある環境に、走れるかも、と気づいた。ここなら、時間を決めてその場ランニングができると思ったのである。

 世の中には、ランニングマシンという代物があまた存在していて、だいぶ前からTVショッピングの定番だ。あんなネズミやモルモットのおもちゃみたいなもの、と馬鹿にしていたが、あれだけ売れているのだし、宇宙飛行士の体力維持にも使われているのだから、位置を変えないランニング、というのは無駄ではないはずだと思い直した。

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 (ISSで採用されているCOLBERT , Wikiさんから拝借)

 しかも、壁には大きめの鏡があるから、景色が変わらない退屈さを走り方を工夫しながら自己観察しつつ走るまねごとをすれば、結構いい運動になると思いついたのだ。

 早速、実施してみた。目標は30分走。
 息の仕方を本来のジョギング時と同じようにして、脚上げの高さを変えたり、斜め, 横, 後方と向きを変えたり、蹴りを後ろに滑らせて前傾姿勢を強めてみたり、といろいろ試してみると、結構な負荷がかかって、なかなか良い。やり始めて気づいたのは、ジョギングとは根本的に違っていて、足の前半分しか使わないことだった。前に進まないので、かかとで着地してつま先で蹴る、という動作はできない。もしかかとを着いたら衝撃が大きすぎて良くないだろう。脚の上げ方を変えてもかかとで着くことはしないから、マラソン日本記録保持者の大迫選手のように、つま先走りなのである。これは、ふくらはぎに常に大きな負荷をかけていることになるので、思いの外きついと知った。

 しかし、つま先で着地するとは言っても、着地するとかかとに向かって足は徐々にタイル面に近づくため、その間はふくらはぎを伸ばしていく工程がある。つまり、ふくらはぎの筋肉を収縮させて蹴っては伸展するという繰り返しはちゃんと行えているので、バランスは悪くない。腕の振りも鏡でわかるので、矯正しながら続けられる。屋外のジョギングでは、疲れてくると足が上がらずに蹴りが弱くなってすり足のような走り方(既に走っているとは言えない)になってしまうが、浴室走には、それがないのである。鏡があるから、そんな走り方にならないよう意識することができるのだ。

 屋外ジョギングでは、10分くらい走ると汗が出てくる。今日の浴室は、暑くもなく、床は冷たいし風通しも良くしていたから、汗もかかないのではと思っていた。しかし、15分ほどすると汗がにじんでくるのもわかった。いろいろな走り方を工夫しながらの30分で、それなりに疲労も経験する程度の「ジョギングまがい」を試すことができた。
 途中で足上げを高くして200回などしていたときには少々息苦しくもなったが、家の中なので不安はゼロ。気分的に安心して運動し続けられることも収穫だった。

 十分満足できた。

 30分経過してストレッチしていたら、ドッと汗が出てきた。そこそこの運動量になっていたようだ。

 30分とはいかないまでも、これなら、気が向いたときに5分でも10分でもやることができる。
 よし、半年で4Kgを目標にしよう!

チャリ前輪 片減りの謎!

Mです。
今回は、かなり些末なことでお目を煩わせることを、最初におことわりしておく。

 愛用のチャリで走っている時、前輪タイヤの左側が右側よりも減っていることに気づいたことから、その理由を考えてみた、というお話。


 Mは、都内を、ほぼ毎日チャリで移動する。その距離は日によって大きく違い、短い時で4Km程度、多い日だと30Kmくらい走る。砂利道などあるわけもないから、都内のチャリは至極便利。電車の移動よりも確実に早い。なにしろ、目的地に直行出来るので、ムダがない。

 そんなチャリで走り回っていて信号で停止した際、ちょうど道路の白線の上に前輪がのっていた。前かごの隙間からタイヤの輪郭が見える。そのとき、おやっと感じた。よく見ると、中心線より少し右側には溝がいくらか残っているのに、左側の同じ位置はツルンとしている。(写真がショボいけれど、下がその様子)

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 作為的にするつもりはないが、画面上の輪郭を線でプロットしたら、下のような感じになった。矢印の部分が、白線に浮かんだタイヤのシルエットで首をかしげた場所である。

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 極端ではないが、右にへこみがあるのは判っていただけると思うのだ。

 このチャリは、もう10年くらい乗り続けているから、後輪はすり減って中央が平らになっていて溝は全くない。もう少しでゴムが終わってビードが出てきそうなくらいだ。一方の前輪は、さすがに駆動輪ではないので摩擦の度合いがだいぶ小さい。最初の溝模様がとりあえずは残っている。ただ、進行方向右側のトレッドパターンははっきりしているが、左側は中心寄りがだいぶ不明瞭になっている。
 この差が、疑問だったのだ。

 都内の大通りは、車道左側に狭いながらも自転車走行レーンを設けてくれている。
歩道を思いっきり漕いで走るのは危険だから、このレーンのあるなしに拘わらず、基本的にMは車道走行である。もちろん、左側を走る。
 舗装路面は、排水効果を保たせるために必ずセンターライン位置が最も高く、両側に徐々に低くなっている。だから、左側を走るときは、路肩のコンクリート製排水帯はもちろんのこと、必ず右が高い傾斜面だ。ということは、垂直に立ち上がった姿勢で自転車が走っているのだから、タイヤの断面で考えると、進行方向右側がいつも斜面の高い側と接していることになる。そうだとすると、タイヤの右側がより地面を強く押しつけている。これは、摩擦でゴムが減るという事実からすれば、右側がより減りやすい、ということにつながるはずなのだ。

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 上図の赤矢印の先あたりがいつも路面と接していて、タイヤの右半分の方が摩擦をより多く受けているはずだ。

 しかし、実際には左側の方が早く減ってきている。
 なぜなのだろう、と考えてしまったのである。

 前輪が片減りするのは、自動車でも同じである。その理由は、旋回時に、前輪が曲がる方向に内傾することでスムーズにカーブを切れるようにしているから。例えば左カーブだと左リタイヤの左側と右タイヤの左側が回転中心側に向いて傾斜するから、この部分が斜めになって地面に擦れる。右カーブではこの逆。そのため、クルマの前タイヤは両側の山が斜めに削れていくので、だんだん内外の縁が丸くなってしまうのである。後輪は、カーブしても傾かないからほぼ平らに地面と擦れ続けている。そのため、後輪は平たく減っていく。こんな減り方をそのままにしておくと、前タイヤばかり端が丸まってしまうので、走行性能が悪くなる。そこで、タイヤローテーションが大事になってくる。クルマが曲がる仕組みで、整備屋さんの仕事を生み出している、という大切な?現象だ。(とはいえ、Mは全て自分でやってしまうからこの程度で整備屋さんは要らない)

 では、チャリではどうだろう。
 自転車でも、左右に曲がるときには前輪が傾く。しかも、ある程度速度がある状態で曲がる場合は、ハンドルを廻すのではなく車体自体を身体ごと傾けてペダルを漕ぎながら曲がる。その時、後輪も傾いているが前輪はハンドルもやや回っているので、曲がる側が後輪よりも更に強く地面に擦れる。だから、直進時よりも、旋回時にタイヤの片側がより強く且つ長時間地面に擦られているのではないか、と考えた。

 ただ、普通に走っているとき、右にも左にも同じ程度の回数曲がっているはずだから、そんなのは理由にならない、と最初は思った。

 しかし、よく考えてみると、速度を上げて走っているときは、左折はそのまま一気に走れるが、右折は出来ないのだと気がついた。
 大きな通りでは、右折は2段階なのだ。まず道路を渡って一旦停止。信号待ちしてから直進で右方向に進む。つまり、高速?で右カーブを突っ走ることは無いのである。

 そう考えて自分のチャリ行動を思いかえしてみる。
 左カーブは、大抵、ペダルを強く漕ぎながら一気に曲がっている。だから、前輪タイヤの左側はその度に悲鳴を上げているはずなのだ。細い道なら、右カーブでもそこそこのスピードで回ることはあるが、その場合も、回転半径を考えると右回りは道路の幅が加わるだけ大きくなる。左カーブは回転半径がグッと小さいのだと、あらためて気づいた。

 前輪左側は、左カーブという試練を常に受けているだ。いっぽう右側は、その試練が殆どなかったはずだから、10年という年月の間に、ゴムの減り方は左右で徐々に大きな差を生んだ、というのが推察である。

 この理由付けは、たぶん間違っていないと思う。

 年季の入った自転車を使っている方々、前タイヤを観察してみていただきたい。もしかすると、顕著な差があるかも知れない。

 Mの愛車は、パンクしにくいタイヤ、というのを履いている。ゴムが硬くて厚めになっている。普通の日は良いが、雨の日はかなり滑りやすい。マンホールの多い東京では、雨の日に何度もマンホールの蓋で滑ったことがある。幸いにしてケガをしたことはないが、自転車を放って飛び降りたことは幾度となくある。


 そろそろ梅雨が近い。
 自転車でスッテンコロリンしないように、注意しないと。