理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

ついに、猫にマタタビ の本質解明!?

Mです。

 岩手大学宮崎教授らのグループが、ついに、「猫にマタタビ」の本質を解明したという報道が飛んだ。

  https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210121/k10012825001000.html
  https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2021-01-21

 

  ネペタラクトール(Nepetalactol)が、その本体。

  

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 イエネコだけではなく、猛獣として知られるライオンやトラでさえ、マタタビをいぶすとゴロニャン状態になるという、ビックリするような猫科特有の現象。

 マタタビの葉をつぶして嗅いでも、実を潰して嘗めても、ヒトはちょっと苦いと思う程度で何も感じるものはない。イヌだってそうだ。なのに、マタタビをいぶしたりすると、風に漂うニオイにつられて遠方から猫たちが集まってくるという図は、マンガのようで本当の話。

 M自身、マタタビを見分けられるようになって山の中で見つけたとき、この話を試してみたくてたまらなかった。実際に試そうと葉を摘んできたのだが、いぶす必要などなく、帰り道でいきなり猫が寄ってきて足下にゴロニャンしてきたときの驚きといったらなかった。なにしろ、猫の目が、近寄ってきたとき既に ”ホワ~ン” としていたのである。葉をわしづかみにしているMに、ねぇお兄さ~んっ、いい男じゃなぁ~い、と媚びを売ってくるのである。ただ問題は、相手の猫は男女、いや雌雄問わず、というところがちょっと違う。

 そのマタタビについては、化学が発達してくる中で、猫科のマタタビ嗜好に影響する物質的根拠を探そうという動きが生まれてきて、60年ほど前にネペタラクトン(Nepetalactone)がその原因物質だとして発見されていた。ネペタラクトールから水素を2個取り去った構造だ。上の構造式とは裏表がひっくり返っているだけで、形はほとんど同じである。

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 ハッカの成分として見いだされていた同物質が、猫科のマタタビ嗜好行動を誘発することは知られていたが、宮崎氏らは、それに満足していなかったのだろう。ネペタラクトンの「ゴロニャン」誘因効果は75%程度だといわれており、これが、現実の現象との乖離を感じさせたのかもしれない。

 更に深く探っていった結果、ネペタラクトンよりマタタビ嗜好行動を強く誘発し、しかも、マタタビの葉に10倍以上の濃度で存在することを確認したという。教授らの話によると、以前の抽出法、分析法ではそこまで行き着かなかった、ということらしい。確かによく似た構造式の物質で、単離手法、分析手法の進歩で可能になった発見なのだと思う。

 更に面白いことに、この物質は蚊などの昆虫に対する忌避作用が強いという。以前発見されていたネペタラクトンにもこの作用が確認されていて、教授らは、この蚊に対する防御効果が草木の生い茂った環境で暮らす猫科にとって有利だったから、マタタビ大好きの行動につながっていったのではないか、と話している。

 が、それはちょっと飛躍していると思う。動物の行動進化は、そう単純ではない。むしろ、都合が良いとか悪いとかではなく、猫科に共通した脳機能との関係で生じている現象だろう。蚊に効く、などという人間界の益不益とは次元が違う。
             
 それはともかくとして、こうなると次は、大脳生理学研究者たちの出番だ。ポジトロンCT、NMR、標識物質を使った蛍光や磁気探知、などなど、いろいろな方法で、ネペタラクトール投与時の猫たちの脳を、ありとあらゆる方法で解析していくことになるのだろう。そして、その応用として、快楽物質として、ヒトの医療応用につながっていく可能性もあるかもしれない。

 動物観察から新しいことを発見する。
 旧くから知られていた現象の中から、時としてキラリと光る大発見がもたらされる。
 なんとも嬉しく、そして少し羨ましい。

猫にマタタビ、ヒトに??
さて、Mがゴロニャンするのは、何に対してだろうか・・・

旧型バッテリーへの回帰

Mです。

 前回、バッテリーダウンの顛末を記した。

 寒さでダウンしたバッテリーと載せ替えた新品は、事前のフル充電で、その後快調に機能してくれている。ダウンした物に比べて総電気容量が1割ほど低いのだが、放出電流量は十分。マイナス近い屋外で駐車していても、悲鳴を上げることなく一発始動している。とりあえずは、目出度し・めでたし。

お役御免になったバッテリーについて、電圧低下の原因が陰極の劣化(サルフェーション;鉛電極表面で硫酸鉛が固着し、有効電極面積を減らしていく現象)が進んだせいなのかどうか知りたくて、電解液の量と質を調べてみようと思いたった。
 鉛蓄電池の電解液は希硫酸で、陰極である鉛のメッシュ構造表面と陽極である酸化鉛とのあいだで、電子のやりとりをしている。その際、陰極の鉛表面では、硫酸イオン(

SO4 2-)が鉛(Pb)と結合し、PbSO4となって電子が放出される。同時に、硫酸イオンが鉛と結合したことで水素イオン(H+)が発生している。一方、陽極では、陰極で放出された電子がやってくると、電解液中に過剰になっていた水素イオンに渡って水素(H2)になる。このままだと、水素がどんどん気体となってバッテリー内に溜まってしまうが、陽極の材料である酸化鉛(PbO2)の一部が硫酸鉛になって酸素を放出するため、多くの水素はその酸素と結合して水となり、電解液中に戻っていくことになる。
 運転中のバッテリーでは、この電気を作り出す反応とは逆に、エンジンの回転を利用して発電機を回し、その電気をバッテリーに逆方向で送り出している。つまりは、充電である。だから、エンジン始動時に大電流を消費しても、走りながら充電している仕組みになっているので、バッテリーは「あがらない」のである。
 ところが、バッテリーの陰極で生成した硫酸鉛は、安定した塩であるために充電作用で完全に元に戻れず、ごく一部が固定化する。それは、白色沈殿として底に沈むか、陰極表面に付着していく。そのため、塩(硫化鉛)を作ることで消費(固定化)された硫酸イオンが、徐々に電解液中から減少していくことになる。また、陰極表面に安定な硫酸鉛が付着することで、陰極の有効表面積が徐々に減少していく、という現象も加わる。これが、鉛バッテリーの能力低下の要因とされているサルフェーションだ。硫酸イオンの減少は、電解液の硫酸濃度低下に等しいので、それを調べるには電解液の比重を測定するのが一番簡単。そのために、今様の多くのバッテリーには、電解液の比重が判る「のぞき窓」が付いている。

    ↓ 青玉・赤玉タイプのぞき窓(良好時)

   f:id:otto-M:20210120231231p:plain(DYDENさんの資料から部分拝借)

 のぞき窓にはいくつかの種類があるが、いずれも、プラスチックの玉を電解液に浮かせて、比重が下がると玉が沈んでいくので見えなくなってしまう。という簡単な仕組みで比重の確認をしている。上図だと、真ん中の赤い玉が見えなくなる。また、電解液量が減ると、比重にかかわらず玉は見えなくなってしまうので、そのときはのぞき窓の辺縁部の色合いが変わって、液が減っているのだと分かる仕組みにもなっている。上図だと、青い縁の色が消える。

 さて、うちのクルマから降ろした「お役御免くん」はどうだったか?
 状況は、まさに、電解液の減少が起こっていた。

 まだのぞき窓がついていなかった頃のバッテリー液比重チェックでは、同じ原理を使ったスポイト型の比重計を使っていた。Mはそれを持っているので、電解液を吸い出したかったのだが、いかんせん、液補充が出来ないシールド型バッテリーなので吸い出すための口がない! そこでMは強硬手段に出た。どうせお払い箱なのだから、とことん見てやろうと思い、マイナスドライバーをバッテリー天面の溶着してある蓋の溝に差し込み、ベリベリと端の方を剥がしてみた。思った通り、天井には、以前ならねじ込み式の注入口にあたる穴が並んでいて、剥がし取った蓋の裏には穴に対応した十文字の突起がついていた。突起は穴にピッタリと収まるサイズで、天板溶着の際にズレを起こさないようにするためだけらしい。端っこの穴二つほどが見えるように天板を持ち上げて、手持ちのスポイト型比重計を突っ込む。ところが、液がなかなか吸い上げられない。液面がだいぶ下がっているようだった。深く突っ込んで吸い上げてみると、比重は限界値に行くほどは悪くない。どうにか正常域になっていた。
 ということは、液性はそれほど劣化していなかったのだ。つまり、サルフェーションが進んで電圧低下を起こしていたのではなくて、むしろ、電解液が減ってしまったために陰極板の上の方が液面から出てしまい、有効電極面積を減らしてしまっていたために、十分な電圧が得られなくなってしまった、ということだと判った。

 う~~む、メンテナンスフリーとしている鉛バッテリーは、どうやらメンテフリーを売り文句にしているだけで、メンテして長持ちさせようと考えるユーザーには無用の物なのかもしれない。いや、むしろ「大きなお世話」的存在に思えるのだった。

 天板プラスチックを熱溶着してしまっている構造なので、天板全部を剥がしてしまうと再設置不可能。蒸留水を加えて液面を整えてやろうかとも思ったが、諦めた。
 とはいえ、液性がそれほど悪くないなら、充電効果はあるはず。12.7Vまで低下していた電圧がどの程度まで戻るのかを見てみたくなった。
 充電器をつないで半日ほど、お役御免くんを充電してみた。
 結果は、充電終了ランプがついた時点で14.7Vまで戻っていた。フル充電の新品バッテリーには及ばないが、十分使える電圧まで戻っている。ただし、液不足もあるし、そこそこサルフェーションも起こしているはずだから、総電気容量は確実に落ちているはずなので、この電圧数値ほどの信頼は持てないだろう。とはいえ、ここまで復帰させられると云うことは、電解液不足の影響がとても大きかったことを物語っている。液補充できるタイプだったら、まだまだ現役でいられたのではないか、と思えたのである。

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 メンテナンスフリーバッテリーの液補充不要の理屈は、おおよそ上図のような蒸発水分の回収機構によるものだ。何のことは無い、蒸発した水分を天面で冷却して結露させ、傾斜面を伝わらせて電解液面に戻す、ということ。ちなみに、今回引き剥がした天板は、図中の青い楕円で囲った部分である。

 だが、そうだとすると、夏の暑い盛りには結露が起こりにくいはずだが、どうなるのか? 

 鉛バッテリー内部(陽極側)では、還元されて水に戻るはずの水素が、酸素と結合できないまま気化して少しずつ溜まってくるため、内圧が徐々に高まることが判っている。そのため、バッテリーの液補充蓋には小さな穴が開いていて、内圧が高まると簡単な弁を開く形で気体が外に出るようになっている。当然、水素だけではなく水蒸気を含んだ気体として出ていくことは不思議ではない。そしてそれは、余剰水素を抜く、ということだけではなく電解液の水分を飛ばしてしまうことにもつながる。
 メンテナンスフリーバッテリーにも、旧来型と同じように、圧抜きの小穴が設けてあるから、原理的には同じことだ。ただ、蒸気化した水分の回収効率を上げたから液補充(実際は蒸留水の補充)が要らない、と言っているだけなのだ。

 今回の「お役御免くん」は、そう考えると、液さえ補充してもらえれば・・・と悔しがっているのかもしれない。オレは、まだまだ働けたのに・・・と恨み目で睨まれているような気がする。

 せっかく充電してみたので、「お役御免くん」の剥がした天板を接着剤でモールドして復元した。液漏れしないようになっているので、何かの遊びにでも使えるかと思い、捨てないでおくことにした。

 今回の教訓。
 旧い男とお思いでしょうが・・・ 
 鉛バッテリーは、旧式の方が良い!!

旧型回帰である。

寒さでバッテリー・ダウン 温めてどうにか・・・

Mです。

 先週末9日からの寒波襲来で、日本海側の皆さんは、最近にない大雪で難渋されている。寒いとはいえ、雪のない関東人は、想像できる気がするものの、ほんとうの大変さがわからない。

 若い頃、札幌に住んでいたことがあって、当時の冬はなかなかの経験だった。
 地元の人に聞くと、それ以前に比べれば雪は少ないといわれたものの、1階だったアパートの窓は3月いっぱい雪の壁の中にあった。銭湯帰りには、ほんの数分で髪の毛が束になって凍り、シャラシャラと音を立てていた。ただ、札幌の雪は、ドライで吹けば飛んでしまうという点で、あまり邪魔にならなかった。むしろ、衣服の雪は玄関前ではたけばほとんど落ちてしまったので、雪の時期は洗濯の回数が減って助かった気さえする。札幌の知人と話したところでは、この冬は最近になく雪の量が多いとか。サラサラの雪なら良いが、と思わずにいられない。

北陸道でたくさんのクルマが立ち往生していた情報からも、この冬は暖冬と言われながらも気温の波が大きいように思う。

 雪が降らないだけでも助かっているが、それでも、先週末の夜の冷え込みはなかなかのものだった。その冷え込みで、休み中にしくじりを犯してしまった。
 バッテリー・ダウンだ。
 土曜の昼から月曜の夕方まで、クルマを一度も動かすことがなかった。そして、月曜の夜、さあ出かけなくては、という段になってエンジンがかからなかったのである。
 クルマのモニターが示す外気温はマイナス2℃。丸2日以上動かしていないのだから、もちろんエンジンルームも冷え切っていて、その温度。そのせいで、エンジンキーを回したとき、セルモーターの動きが鈍かった。それでも一旦エンジンがかかったのだが、そのときアクセルペダルを踏み込まなかったのがいけなかった。エンジン自体が冷え切っていたので、そのまま爆発が続かずにストンと止まってしまった。まずい、と思ったが後の祭り。もはやセルモータをちゃんと回せるだけの起電力がなかった。少し休ませながらキーを回したが、グッ グッ と少しだけピストンを動かすがそこで止まってしまうのだ。少し時間を空けて試すが、もうダメ。
 アチャ~~! 久しぶりのバッテリー「アガリ」だった。

 実は、積んでいるバッテリーは寿命が近いとわかっていた。交換は2017年8月。つまり、既に3年半のご老体なのだ。昔のようにバッテリーのメンテができれば良いのだが、今どきのバッテリーは、完全密封型が主流で電解液が減りにくい。とは言っても、実際には減ってくるのに補充ができない。以前に比べて性能がアップしたこともあり、蒸発水を循環できる構造にすることで、寿命を迎えるまでメンテフリーにして利便性を上げる方向にシフトしたのである。新品バッテリーの寿命は約2年、と言われている。だから、その期間はメンテフリーなのだ。
 ただ、うまく使えば3年、4年と保ってしまうので替え時が難しくなった。
 バッテリーをちょくちょく点検して液の補充をしていた頃は、蒸留水補充のたびに電圧測定をしてヘタリ具合を見極めながら、そろそろ交換だな、とか思っていたので「アガリ」は経験していない。今回も、弱っているのは知っていたので、3年前に予備に買ったバッテリーを常に車に積みこんでおいて、イザとなったら交換すればいいや、と気楽に考えていた。

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左が従来の液補充タイプ(プラス溝がついた補充口が6個ある)

右がメンテフリータイプ(マイナス溝の点検窓が左手前にある)

 

 アガッちまったからには仕方ない、新品に交換だ、とボンネットを開けて即交換。
 ところが、である。なんと、3年前の新品は、箱に入れたまま放って置いたものだったから、一度も充電されていなかったのだった。お笑いである。交換した新品バッテリーでは、セルモーターが全く動かない。こっちこそ、完全なアガリ状態だったと知った。

 はてさて、どうしたものか?!

 テスターを持ち出して2つのバッテリーの電圧を測ってみたら、搭載していたものは12.7Vだったのに対し、新品の方はなんと11.0V。セルモーターが動かないはずだ。新品の方は放電状態で使いようがなかったのである。

 残念ながら、手元には充電器がない。あったにしても、充電には少なくとも数時間必要だから、現実的ではない。予定があるので時間の猶予はそれほど無かったのである。

 となると、電圧的にはセルモーターが動くレベルにある旧い方がまだマシである。電圧が十分でも動かない、ということは、電流量が不足していることだから、バッテリーの化学反応を促進するしかない。冷え切っていて反応が進まないのだから、温めてやるしかない、と判断した。

 旧いバッテリーを屋内に持ち込み、ホットカーペットに載せて横から温風ヒーターで温める。電解液を温めるのには撹拌が重要だから、その状態でバッテリーを揺すりながら加温すること20分。テスターで測ると、電圧が少し上がって12.9Vになっていた。電圧変化があったということは、電解反応が進みやすくなったということだと判断してクルマに再度搭載。
 かかってくれっ!と念じつつ、キーを回す。
 グルグルグルッ とセルモーターが回り、エンジンがかかった。すかさずスロットルを開いて回転を上げる。しばらく回転を高めに保ってエンジン音が軽くなるのを待った。
どうやら、セーフ!!

 どうにか1時間ほどの遅れで、出発できた。

 いやはや、寒さはバッテリーの大敵だ。ガソリンエンジンならこれほどのことはないが、我が家の車はディーゼル。電気、燃料電池、と変遷していくクルマの中で、もはや古株である。始動時に50A以上の電流量が必要なディーゼルエンジンは、バッテリーの管理がガソリン車以上にシビア。今更ながらに、早めに交換しておけば良かったと後悔した。

 新品にもかかわらず放電してしまって使えないバッテリーを予備にしていた己が、何とも滑稽な出来事だった。
 この「新品」君、今日一日、充電器につないでおいたから、今はフルパワー。
 週末にでも、どうにか動いてくれているセンパイと交代してもらおう。

Vista Note PC よ さらば!

Mです。

 長いこと付き合ってもらっていたNEC Lavie がついに起動しなくなった。

 しばらく前から立ち上がりが遅くなり、何度かつまずいてRe-startし始め、ついにBios画面から進めなくなってしまった。どうやら、Vistaが成仏したらしい。HDDを取り出してチェックすればまた再インストール出来ると思う。が、なにしろOSがVistaなのだ。何年も前にWindows7にUp-gradeしようかと迷ってやめているマシンだ。CPUは適応可能だと判断したものの、7にするにはメモリー容量が不足。4Gb載せてはいたが、7だと動き出してまもなく4Gbをフルに使ってしまうだろう。そうなると、とてもスムーズな動きは期待できない。

www.yakuzaishi-y-co.work

 無理を強いるのは酷なので、お経を唱え、眠っていただくことにした。合掌・・・(とは言っても、我が家の葬儀は神道だから、実はお経を知らない 笑)

 仕方がないので、バラック同然にしていたDELLの古い薄型デスクトップをいじってWindows7を突っ込んで使っていた。ただ、薄型とはいえデスクトップだから、モニターとキーボードをつなぐと、とてもNotePCを載せていた台では収まらない。重いし置き場所を食うしで、やはり手頃なNoteを探すしかないな、と、2週間ばかり前から、秋葉のジャンク屋さん街の近くを訪れる度に物色してきた。
 そして、大晦日、ついに掘り出し物を発見。だいぶ古いが、画面は15.6インチで厚さは40mm未満。縦横サイズはA3用紙くらい。小さすぎると画面を見るのが疲れるから、このくらい大きい方が良いと思っていたので、近寄って詳しく見てみる。
 FujitsuのLitebookという業務用PCだと分かった。

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 本体右下隅にはi5とWin7のラベル、ひっくり返すと、Windows7のキーシールとレンタル会社の機器番号が付いている。

 業務用PCのリース切れ物件が、いくつもの手を経て、流れ流れてたどり着いたものだろう。ブラックボディーなのに、なぜかKey-board部分が白いのが奇妙だ。
 CPUは2011年当時のIntel core i5, 2.5G Hz。通電展示してある表示画面は、Windows10になっている。元々の7から、ジャンク屋さんが無償Up-gradeした模様。画面液晶の欠落もないし、明るさのムラもないので表面上は何の問題もなさそう。ただ、残念なことに、メモリーは2Gbしか入っていない。この状態で7,000円。お兄ちゃんにことわってマウスを動かし、スペックを調べてみる。内部デバイスはすべて正常に機能していて、バッテリーはACアダプター接続状態で96%となっていた。つないでいる状態で100%になっていないと言うことは、そこそこバッテリーがヘタり始めている証拠。試しにアダプターを外してみたが、それでもバッテリー・ゲージがトントンと下がっていくことはなかったから、バッテリー上がりの状態でないことは確か。これなら、バッテリーもまずは合格だ。
 Win10が動いていてバッテリーOKで7,000円なら、買いだ、と感じた。
 ただ、メモリーが2Gbでは、動かし始めた途端、メモリー使用量は100%になってしまうのは確実だ。Win10なので、やはり8Gbは必要だろう。メモリーはDDR3で一世代前のものだから、ジャンク屋さんなら4Gbクラスでもたくさん売られているはず。そう思って、このマシンのある店を出て、ジャンクメモリーが安い店に移動。3,000円までで8Gbが手に入れば、トータルで1万円。消費税は仕方がないとして、1万円でWin10がスムーズに動いてくれるNoteが手に入るなら良しとすべきだろう。そう思いながら、Note用DDR3が入れてある箱を探すと・・・
 あった、ありました ! PC-3 12800 4Gbの規格モノがちょうど1500円。2枚でピッタリ狙い通りの3,000円だ。同メーカーの同一規格モノが2枚あったので、迷うことなく2枚購入。お兄ちゃんの、ジャンク品ですので保証はありませんよ、の常套句を聞き流して代金を支払う。
 これで、メモリーの拡幅は完璧だ。

 メモリー8Gbをポケットに、さっきの店に戻る。

  お兄ちゃんに、表に出てるLitebookが欲しい、と依頼。
 あ、どうも、と出てきた彼が、本体を操作して状況を説明してくれる。バッテリーは新品ほどは保たないと思いますがいいですか、の問い。もちろんそれで結構、どうせ、アダプターをつないだまま使うから、と返すと、アハッ、それなら問題ないっすね、と返ってきた。さすがにジャンク屋兄ちゃん、気が合う。

 こうして、大晦日の掘り出し物を手にし、夕闇のなかをやや重いNotePC入り紙袋をぶら下げて、いつもの2割程度しか人通りがない大通りをチャリで帰ってきたのだった。

 さて、メモリーを交換して、正月中に必要なアプリを放り込んでしまおう。
 正月明けには、使えるようにしなくては。

 新型コロナでどうしようもなかった2020年だが、最終日に、ちょっとだけ良いことがあった。

柑皮症と私

薬剤師Y子です。

今日は、温州みかんの季節になると必ず思い出す出来事について書きたいと思います。

 

10年ほど前のこと。私は某ドラッグストアの薬剤師として都内で働いていました。

年末のある日、店内で何度か見かけたことのある上品な男性客が何度も私の近くを通り、私に話しかけるかどうか迷っている様子でした。

そういう時、私は「いらっしゃいませ。何か、お探しですか?」と、明るい感じで声をかけます。その時も当然のように、そうしました。

すると男性は意を決したように「実は、あなたの顔や手が黄色いので、私は心配なんです。黄疸ではないですか?」と、私の顔ではなく手を見ながら、一気に早口で言ったのです。

 

あ~、そうだったのね。ご心配おかけしちゃって申し訳ない!

私は大声で笑いたいのを我慢し、男性の目を真っ直ぐに見つめ、感謝を込めて丁寧に「いま私の皮膚が黄色いのは黄疸ではなく柑皮症なんです」と話し始めました。

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白目が黄色くないし、肝機能も他の検査データも正常であること。温州みかん、野菜ジュース、海苔、かぼちゃ、ニンジン等が好きで多く摂りがちな私は、体内でビタミンAに変化するβカロチン(カロテン、プロビタミンAとも呼ばれる)の血中濃度が高まって皮膚が黄色くなる「蜜柑や柑橘の柑、皮膚の皮、症状の症と書いて柑皮症」になることが何年かに一度あり、今回も「それなりに注意してたのに、なってしまった」こと。そして私の場合は温州みかんのシーズンが終われば自然に治ることを説明しました。 

すると男性は「そうですか。よかったなあ、安心しましたよ~。本当に、言ってみて良かったなあ」と言いながら、笑顔で去って行かれました。

その後まもなく私は転職し、その方に会う機会はなくなってしまいました。

 

柑皮症に関しては、この「豆知識」が分かりやすいです。

藤井寺市医師会 豆知識

 

こちら「レジデントノート」の記事では「白目がある意味」に関する記述が面白かったです。

www.yodosha.co.jp

  

お子さんの皮膚が黄色くて心配な方には、こちらの小児科医院のサイトをオススメしたいです。 

肌の色が黄色い:柑皮症(かんぴしょう)|こどもの病気|杢保小児科医院(小児科・アレルギー科・予防接種) 

 

私の話に戻ります。

みかんの季節、中高生の頃の私は1日に5個ぐらいの温州みかんを食べていましたが、当時は日焼け止めを塗る習慣も直射日光を避ける習慣もなくて肌が褐色だったし、徒歩で学校に通い、体育の時間が好きで、帰宅後は飼い犬と散歩する(田舎道を1時間ぐらい。しかも全体の半分くらいは走っていた)「運動量が多めの少女」だったため、血中の脂質量が低めで「脂溶性の黄色い色素の血中濃度が高くなって皮膚が黄色く見える」ことがなかったのだろうと思います。

 

高校卒業後、実家を出て「大人」になった薬学生の私は、夏も冬も日焼け止めを塗り、褐色の肌に別れを告げて「色白の人」になりました。また、犬と一緒に田舎道を走るという習慣がなくなったので運動量が減りました。

その頃から、父の末の妹である叔母が年末年始に会ったときなどに「ちょっとY子、なんか顔が変に黄色いけど大丈夫なの?」と言うようになりました。

確かに、しっかり白塗りしている叔母と比べれば、スッピンの私の皮膚は黄色く見えます。でも生意気盛りの薬学生としては、ど素人である叔母に言いがかりをつけられたままにしておくことなど出来るはずがなく、まだインターネットは使えなかったので大学の図書館で理論武装して、いつでも「これは大丈夫なの!」と答えられるようにしておきました。

 

その後、就職して、結婚もして、子供を産んで、子育てが終わってから働いていたドラッグストアで出会ったのが、冒頭に登場した上品な紳士です。あの方に即答できたのは、若き日の私をムッとさせた叔母さま、あなたのおかげです! 

 

新型コロナウイルス感染症治療 一条の光か!?

Mです。

 年末年始にかけての商売時に、何ともつらい状況だ。

 今朝、鳥越神社前で正月飾りの店を準備する人たちも、とても寒そうに見えた。日本海側に大雪をもたらしている寒気団のせいで、東京も確かに寒いのだが、それだけではない。これまでは、注連飾りを作っているおっちゃんに、若いお母さんが小さな子供を連れて話しかけている風景がよく見られたのに、今年は人通りが殆どない。しかも、みんながマスク顔だから、話しかけるという行為さえ減ってしまっている。そんな雰囲気が、ますます寒さを増強していると感じる。

 とにもかくにも、ウイルスの流行には、根本的には自衛しかない。

 地球上すべての動物は、太古の昔からウイルスと共存して繁栄してきた。時々、それまで共存していたかに見えるウイルスが変異して深刻な病気を生み出し、動物たちを大量死させる、というアクシデントが幾たびもあった。ただ、攻撃にさらされる動物側も、あとから見れば、そのウイルスに抵抗できた個体群がそのウイルスの遺伝子を取り込んでしまったり、抵抗するための武器を身につけたりして(免疫力)、しぶとく生き残ってきた。新型コロナだって、数年すれば世界中の人類が、そういうことあったよね、と顧みることになるのだろう。今現在は防備に必死だが、このまま行くはずはない。深刻になりすぎることなく、精神の安定を保つように心がけて、自分の免疫系の健康を維持することが大事だ。身体の抵抗力は、脳の健康に大きく左右される、ということは今や常識。イライラしていると免疫系の活性が下がることもはっきり判っている。

 人混みをなるべく避け、ちゃんとマスクしていればまずは安心なはず。怖がりすぎず、おおらかに振る舞うくらいの心構えが必要だと思う。

 どこもかしこもアルコール消毒を励行させるが、アルコール消毒で手指をガサガサにすることも避けた方が良い。皮膚表面を荒らしてヒビでも切れさせたら、その方が危険だ。健康な皮膚はウイルスが付いても、奴らを通してしまうことはない。もし手にウイルスが付いてきたって、目、鼻、口などの粘膜に触れさせなければなんと言うことはない。あとで手をちゃんと洗えば良いのだ。かく言うMは、アルコール消毒を見張られている店先でも、指先あたりにしかアルコールを吹いていない。丈夫な指の腹側だけ付ければ十分だと思っている。まんべんなく手をこすって塗り回すのは無駄だろう。ものに触れる部分だけ10秒程度アルコールにさらせばOKだと思っている。むしろ、こすらない。揮発を促進してももったいないから、手先に付いたアルコールが自然に飛ぶのを待ち、その間、なるべくモノに触れないようにしている。

 こんな状況のなか、英国で新型コロナウイルスに感染性の高い変種が現れたという怖いニュースが流れてきた。重症化とはリンクしていないらしいので、最悪の事態では無いが、罹りやすくなっているというだけでも、嫌な話だ。インフルエンザウイルスでよく話題になるウイルス表面の「ひっつき分子」(スパイクと呼ばれるタンパク突起)と同様のウイルス表面分子の変異らしい。要するに、これまで以上に細胞にひっつきやすくなった変異種で、そのために身体の中に入り込みやすい、という理屈。まさに、マスク必須、である。とにかく、吸い込まないに尽きる。鼻を出したマスク姿をよく見るけれど、ダメですね。鼻栓でもしているのなら問題ないけれど、そんなはずないし。

 その一方で、Natureにうれしい報告も挙がった。

 同じく英国のエジンバラ大グループが、新型コロナに感染して重症化した患者群2000人余りのサンプルを解析して、重症化しやすい遺伝子を5つ見いだせた、というのである。今朝、ラジオのNHKニュースで耳にして、早速ググってみた。

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  (NHKさんのニュース画像から転載)
 報告自体は、9月末に投稿されていて11月30日に受理されている。

 詳細は見ていないが、5つのなかに、ウイルスに対する抵抗性の一つとして知られているインターフェロン遺伝子と、同じくウイルス感染した細胞の処理に関わるチロシンキナーゼという細胞表面タンパクの遺伝子が含まれている。そして、インターフェロン遺伝子の活性が高いと重症化しにくく、チロシンキナーゼ活性が高くなる傾向の人は重症化しやすい、という調査結果とのこと。

 これは、実に理屈に合っている。

 インターフェロンが出てきてくれると、やはり、新型コロナウイルスに対する抵抗力になっている証左だ。その一方で、ウイルスが感染した細胞を免疫細胞が攻撃する際にそのターゲットをあぶり出す指標として機能するのが、チロシンキナーゼの仲間たち。これが細胞表面に多く出現すると、免疫攻撃軍は敵を見つけやすくなる。その結果、感染細胞駆除がはかどるのだが、その駆除作業が必要以上に激しくなると、強い炎症反応が引き起こされる事につながる。それが肺なら、呼吸困難の症状に進んでいくのは火を見るより明らか。まさに、この新型コロナ感染症の重症化パターンそのものだ。

 この二つだけでも、医療を施す側にとっては朗報である。

 インターフェロンはクスリにもなっているので、その種類と量を勘案しながらインターフェロン療法を探ることが出来る。

 チロシンキナーゼ活性を抑える薬剤もあるから、治療への応用も可能だ。こちらも、用量を検討しながら試みられるはず。
 重症化すると、人工呼吸器、それが難しくなるとECMOへ、と進めなくてはならない現状に、そこに行くまでに抑え込める、という光が見えるように思う。知恵を絞って具体的な治療策を見いだして欲しいと思う。

mRNAワクチンの実用第一弾 期待は高いが、慎重に!

Mです。

 英国で、独米共同創出のPfizer社製「対コロナワクチン」の接種が始まったと報じられた。

 理解力が高く、副反応への心構えと対応力のある医療従事者への先行投与だとのこと。
理詰めの実施に、さすが英国だと感じた。
 その中にあって、10日朝の報道で、早くも急激なアナフィラキシー様症状が2例発生したという情報も飛び込んだ。軽微な副反応も複数種確認されていて、その割合は多いもので数10%程度起こっているという。ただ、それらは長引くことなく解消されているそうだ。とはいえ、2例とはいえ、いわゆるアレルギー反応のうちでも激しく危険性の高いアナフィラキシー症状と思われる状態に至った例があることは、見逃すことのできない事実でもある。

 10日夕の報道で、日本が輸入決定している同ワクチンが入手された後は、新型コロナ感染による生命の危険性が高い高齢者を優先して、居住地域の病医院などで接種できるようにする、との政府方針が示された。エッと耳を疑った。
 まだまだ試験段階を抜けきれていないこのワクチンに対して、何の疑問も持たずに一般接種に突き進むのか?! 
 正直、どこまで本気なのかと疑いたくなるほど、本質がわかっていない国の中枢に、腹立たしさを超えてもはや呆れてしまう。

 報道でも何人かの専門家が問いに答えているが、今話題のこのワクチンは、従来型の原因ウイルスそのものを使ったものではなく、効果も副作用も未確定な部分が多いmRNAワクチンである。新型コロナウイルス遺伝子(DNA)の一部を翻訳して、ウイルス表面の特徴的なタンパク質を作るために用意したレシピ(mRNA)である。レシピだから、それを見たところで何なのかはわからない。これが投与されたヒトの細胞の中に取り込まれると、細胞の中に備わっているタンパク質製造装置に読み取られて、ウイルスのタンパク質がヒトの細胞の中で作られ、細胞の外に放出される。ヒトの細胞が作り出したウイルスのタンパク質が血中に入ると、それを見つけた免疫細胞たちが、こいつは悪いヤツだぞ!と騒ぎ出して、駆除する部隊を組織する。いわば、「免疫ガーディアンズ」の編成である。

 ※mRNAワクチンがどのように働くかについては、アメリカ化学学会のブログ記事がわかりやすく解説しているので、下記を参照していただきたい。
https://www.cas.org/ja/blog/covid-mrna-vaccine

 このサイトから拝借したのが下の図である。
細胞内外に赤い半ハート型の風船が付いたようなものがmRNAワクチンから作られたタンパク質を示している。

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 新型のmRNAワクチンは、何が有利で何が問題なのか、それが、今の世論を惑わせている根本なので、簡単に説明したい。
 
 従来型のワクチンは、①病原ウイルスそのものをいろいろな方法で増やしながら、病原性のないものを選ぶ、あるいは、②増やした病原ウイルスを薬剤処理して、ウイルスとしては働けないが姿形だけは元に近い「死に体ウイルス」を作る、の二つが主だった。つまり、ウイルス成分の塊そのものだから、それが接種されると、ヒトの免疫系は、単一の反応でなく、いくつものガーディアンズ部隊を呼び起こして対応するという点で優れている。ただ一方で、病原体そのものを使っているため、その遺伝情報がほかのウイルスに移って新しいウイルスを作ってしまう可能性もゼロではないし、病原性を失わせたと思っていたのに、体内で病原性を持ったウイルスに変化してしまう可能性もまた、ゼロではない。だから、従来型ワクチンが認められるまでには、その安全性確認に長い時間がかかってしまうのだ。

 それに比べると、先行しているmRNAワクチンは、接種してから病原性ワクチンになる可能性はゼロなので、安全性の面で明らかに有利である。開発始動から1年もたたずにワクチン誕生を宣言できたのは、この安全性の壁が薄かったからである。
 ただ、ヒトの免疫系から見たときは単純な一つのタンパク質だけへの反応を呼び起こしてくるだけなので、それがどれだけ強力なガーディアンズを養成できるかは未知だ。
 効きさえすれば何の問題もないのだが、果たしてどれくらいの効果があるかは、まだ判らないのである。
 上の図にもあるように、このワクチンは、身体に入れただけでは効果がない。細胞に取り込まれて、その中の製造工場を借りて製品であるウイルスタンパク質を作らせなければならなないからだ。そのための仕掛けが、図左上にあるLipid coat と記してある黄色い2重膜構造だ。医薬領域ではこのような薬物の入れ物のことをDDS(Drug Delivery System)と呼んでいて、身体に入れた薬物が効果的に働けるようにする仕掛けで、種類はいろいろある。この場合は、投与するmRNAが細胞に取り込まれるように、細胞の膜となじみやすい脂質2重膜構造を使っていて、その中にワクチン本体であるmRNAを閉じ込めている。この脂質膜粒子が細胞膜にくっつくと、膜融合が起こって中身が細胞のなかに入っていく。図の黄色いこぶの部分が、融合した膜ということだ。この膜組成や作り方が各企業のノウハウで、詳細は明らかにされないことが多い。
 実は、このDDSの組成が、人によってはアレルゲンになってしまうことが知られている。英国で発生したアナフィラキシー様反応の例も、その人がちょうどこのPfizer社製mRNAワクチンのDDS成分に対する反応性を持っていたと想像できる。
 安全に接種できる、とは言っても、やはりそこにはしっかりしたアフターケアがないと危ないのだ。
 英国の2例は、しっかりした医療機関で行われていたからアナフィラキシー様反応が出た時点で即応できたので良かったものの、一般医院で接種したときにこれが起こったらと思うと、背筋が寒くなる。

 

 先行mRNAワクチンを接種するなとは言わないが、現段階で、みんなに接種できるよ、と言うのは時期尚早だと思う。
 しっかりした医療機関で、先行ワクチンの性質を十分に理解している医療従事者に希望を確認したうえで接種し、直後からのモニタリングを確実に行える体制を整えるべきだ。3週間後に2回目の接種を必要とするマニュアルなのだから、少なくとも2ヶ月程度のモニタリングは必須で、2ヶ月後に抗体価の確認をするところまで行ってはじめて、このワクチンの効果判定が出来る。
 あくまでも、まだ試験段階なのだということを忘れてはいけない。

 国は、このようなことを最低限確認した上で一般への接種を始めるべきだ。
 拙速は取り返しの付かないトラブルを生む可能性がある。

 オリンピック前提で事を急いてはいけない!