理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

ハードディスクの健康度 便利なソフトでチェック!

Mです。

 ジャンク屋さん巡りでデータ保存用ハードディスク(HDD)を探すことが多い。
 以前も触れたのだが、映像データなど大きなモノを保存しておくために、少し大きめの容量のHDDを物色してきては、ストッカーとして利用している。
 10年前はそのサイズが数百メガバイト(Mb)でも喜んでいたが、3年くらい経つとギガバイト(Gb)クラスがフツーになって、さらに3年もするとテラバイト(Tb)が当たり前になった。価格で言うと、これら3段階が余り変わらない価格で中身だけがドンとステージアップした。つまり、半導体の世代が変わるごとにHDDの記憶容量が1000倍にステージアップしたのである。そのHDD容量は、今では10Tb以上のものが当たり前に出回っていて、Mが重宝して使っている1~3Tbクラスはもはや低価格帯の商品群に入っている。とは言っても、新品で買えば安いモノでも5000円は下らないのだから、ホイホイと買えはしない。しかも、新品だから壊れない、という保証は一切ない。壊れたら保証しますなんていうメニューもあるが、代わりの本体が手に入ってもデータは戻ってこないのだから意味がない。
 今やPCはスマホ世代の生活スタイルに押されてきわめて劣勢で、持っていてもタブレットかノートクラスである。当然、大きな容量の重いHDDなど使えない。記録デバイスもすでにHDDから半導体記憶デバイスであるSSD(Solid State Drive)に取って代わられている。テラバイト以上のSSDはあまり使われず、数百Gbクラスのモノが入っていればWin11であっても問題ないから、メモリー基板の重さしかないSSDが、薄くて軽いPCを支えている。これらの軽量PCユーザーは、大きな容量のデータを手元に保存する、という発想も必要なくなっている。彼らは、データを持ち歩いたりしない。データは、雲の上にあれば良い。つまり、クラウド世代なのである。
 一方、Mのように半分アナログで出来ている世代には、クラウドはどうしてもなじめない。アナログ世代は完全デジタル世界を本音で信用していないのである。だから、自分のお気に入りは、自らの持ち物のなかに保管しておきたい。で、結局のところ、比較的安価でつぶしの効く大容量HDDを欲するのである。

 このHDDだが、現在主流となってきているSDDに比べて衝撃に弱い、という弱点がある。もちろん、SSDが衝撃に強いのかと言えばそんなことはないのだが、薄い磁気円盤を何層も重ねて毎分5000回転以上でブン回しているHDD内部では、読み取りヘッドと磁気円盤がごくごく近い位置にあって、衝撃を加えられるとヘッドがディスクにぶつかるという単純な物理的損傷が起こりやすい。結果として、磁気円盤に傷が付いたりヘッドが損傷したり・・・で、読み書き作業にエラーが発生する。これがもともと判っているから、HDDにはこういったエラーを回避できる修復機能が備えてあって、ある程度までのエラーなら、損傷した箇所を別の場所に移して何もなかったかのようにカバーしてくれる。おかしいな、と思ったら別のノートに書き写しておく、といった感じで、実にアナログな発想だ。
 とはいえ、やはり回転構造を持つ機械だから、当然のこと寿命はある。同年代の方なら経験があると思うが、デスクトップPCから、キーキーという異音がしたり、チャカッ、チャカッという小さな繰り返し音がすることがある。どちらもHDDが物理的な損傷で旨く機能しなくなったときに起こる現象で、これが始まったら急いで出来るだけのデータを移管しておかないとヤバい! 次回も正常に起動すると思ったら大間違い、そのままお陀仏かもしれないのだ。
 さすがに最近のHDDではそんなに経験しなくなったものの、それでもちゃんと突然死は起こる。Mの場合、この5年間で5台のHDDが死んだ。500Gbクラスが3台と、1Tb、2Tbの大容量が各1台、ある日突然に読み取り出来なくなっていた。どれも修復措置をねばって大方のデータだけは回収できたが、500Gbものの本体はお釈迦にした。大容量タイプについては、ローレベル/フォーマット(ブログに既出)を施して使えるようにしたものの、一度死んだモノを保管用データに使う気にはなれないので、一時保管の持ち運びツールとして使っている。これなら、たとえ死んでも元は大丈夫だから、運び直せば良い。

 こんなことを繰り返しているなかで、2年前に出会ったのがCrystalDiskInfoという無償のHDDチェックソフトである。Vectorさんなどで簡単に入手できる。
 Mが使う5台のデスクトップには、現在、すべてこのソフトがインストールされている。そのソフト、自分でPCの健康診断をしているわけではなくて、HDDの自己チェック機能(注1参照)をそのまま使って、そこに記載されているデータを整理して表示してくれているだけなのだが、これが結構便利なのだ。
 下に貼り付けてあるのが、今この文章を書いているPCに搭載されているHDD情報の一部である。上は正常で、下は注意の状態。

    

 

    

 先日は、HDDの1台に赤の異常表示が出て、慌ててデータ回収したのだが、それが上述の2Tbだった。


 ※CrystalDiskInfoの使い方は、下のサイトを参照
     https://www.pc-master.jp/mainte/crystaldiskinfo.html

 

 このソフトは、おかしなことが起こると上のような黄色や赤のマークで警告してくれるので、週一くらいでチェックしている。注意表示が出ているディスクは、そのままでもまず問題ないようだが、ひとつでも赤表示になったら大事なデータだけは取りだして確保しておくようにしている。おかげで、以前は何度も経験したHDD故障 → データ喪失 がなくなった。

 この便利なソフトが、なんと、ジャンク屋さんでも使われているのを最近発見した。
 冒頭で、時々ジャンク屋さん巡りで大容量HDDを中古買いしていると述べたが、その立ち回り先のひとつで秋葉原ラジオデパート地下にあるジャンク屋さんが、CrystalDiskInfoで確認しただろう情報を中古HDDに表示して売っていたのである。ここは2~6Tbクラスの中古品も結構な台数置いてあり、どの商品にも稼働時間、電源投入回数、セクタ異常の有無などが書き込まれている。嘘でないことを信じるしかないのは当然とは言え、ただ動くよ、といって売るよりも遥かに信頼性が高いと感じる。大容量のモノにはWesternDigital製が多く、しかも赤ラベル。大手企業のワークステーションや共用サーバーなどで使われている高耐久製品である。値段もそこそこで、2Tbクラスが3000円台と有り難い。何台も見比べてみたが、やはり常時起動していたマシンのモノらしく、電源投入回数は数十回とかなり低く、一方で稼働時間は2~3万時間となっている。つまり、年単位で動き続けていたということ。OA機器の定期交換で流れたモノだろう。

 個人のPCだと、ずっと動かし続けていることはあまりないだろう。1日5時間起動したとしても、2万時間は4000日稼働に相当する。つまり4000回起動したということになる。HDDの故障は、メインスイッチのオン/オフ時に起こりやすいから、たとえ2万時間動いていたとしても、オン/オフ回数がかなり少ないのでむしろ故障が起こりにくかったと想像する。

 これまでは、ジャンクですから保証はありませんよ、の言葉に、仕方ないから「ハイ」と応えてきたが、このような情報が表示されているなら、どの中古品が良いか自分で選んで買うことが出来る。買い物のグレードアップだ!!
 ジャンク屋さんも、ちゃんと見ているのだと感心したのであった。

 

注1) S.M.A.R.T.; ハードディスクに搭載されている稼働情報システム。Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technologyの略。温度、電源投入回数、使用時間、代替処理されたセクタ数、回復不可能セクタ数、ハードディスク内部の部品のイレギュラーな動作やエラーの回数などが記録されている。
 各項目ごとに、現在値や閾値(しきいち)が設定されており、HDDの健康度を判断する基準となる。現在値が閾値を下回ると健康度が低下しているということになる。

照明で音楽を聴くって・・・ 要るかい? 

Mです。

 普通品質で安い、を前面に家電品を売りまくっているアイリスオーヤマさん。
 やっちまいましたね!

 https://news.infoseek.co.jp/article/20220928jcast20222446837/?tpgnr=it

       

  同社の天井照明(シーリングライト)の新商品に、Bluetooth接続のスピーカーが付いているのだそうな。アナログ爺にとっては、そもそも何のために必要なのかが疑問なのだが、IOT化の進む家電ネットワーク構築のために、どの機器にも応答機能を付けておく、という発想なのだろうと想像する。
 それは間違ってはいないかもしれない。ライトの調光をボタン操作ではなくてGoogleHomeなどの中枢機器を通じて行い、ライトの側に音声応答させる。「光量を60%にしました」なんて応答させることにはそれなりの意味もあるだろう。
 身動きが不自由な人にとっては、QOLの向上に有効だとと思う。
 また、先進的な暮らしがしたい人にとっては、ベッドに入ってからでも、いろいろな機器を音声コントロールすることが出来るだろうから、”たまらん”ツールだと思う。

 がしかし、今回の仕様は、明らかにチョンボ(死語か?)だった。

 Bluetooth接続範囲にある人なら誰でもアクセスできてしまうというフリー接続状態になっていたため、隣家の人がBluetooth接続で音楽を聴いていたりすると、それを拾って音楽を流してしまう、というトラブルが発生したという。

 街中でBluetooth接続で音楽を聴いている人はかなりの数にのぼっていると思う。都内をチャリで走り回っているとき、いちばん怖いのはスマホ音源をワイヤレスイヤホンで聴きながら、さらに目はスマホ操作に向いたまま歩いている人だ。周りの音には一切触れることなく、自分の世界だけで歩いているから、街頭の柱にぶつかりそうになって初めて気づいたり、前の人が交差点で止まったのに気づかずぶつかってしまう光景も、ときおり目にする。これらの接続はほぼすべてBluetoothで行われている。それほどまでに普及してしまっているBluetooth機器をみんながトラブル無く使えているのは、それぞれが自分のゲートだけを出入口にしてデジタル情報にアクセスしているからだ。もしそれがなかったら、あふれる情報が入れ子になってすさまじい混沌をもたらす。デジタルネットワークが成立するために、利用者固定のゲート設定は必須なのである。

 そんな常識を知っていて、なぜアイリスさんともあろう者が、フリーアクセスの設定のまま照明器具にBluetoothスピーカーを付けてしまったのだろう?            
 ダイニングルームでくつろいでいたらいきなり大音響の音楽がライトから流れてきたというケースは、他人事で聞けば笑い話のようだが、体験してしまった人にとっては恐怖体験に近かったと思うのである。

 既に販売してしまっている機器だから、多分、特定のアドレスが設定できるように直した機器と交換するしかないだろう。あるいは、スピーカー機能のOn/Offスイッチを付けるだけでも良い。

 ただ思うのは、そういう設定を行うにはコントロール端末で初期設定操作を行う必要があるだろうから、ライトを買っただけなのに何でそんなことが必要なの?という疑問を持つ人の方が多いに違いない。

 ここは少し時間をかけて、IOTの中枢機器にかんたん登録できるように機能を進化させ、中枢から簡単に音声設定できるような仕組みを作ってから再スタート、の方が良いのではないかと思う。
 
 先を見すぎてトラブル対応するくらいなら、ちょっと遅れてもいいから確実なモノを提供する方が無難だろう。競合他社との駆け引きで突っ走ってしまったのだろうか?
 ちょっと残念である。

アスファルト路面の涙 鉄片混入じゃね?

Mです。

 多分今年になってからだと思うのだが、毎朝歩くアスファルト舗装面に奇妙な茶色のシミがたくさんあることに気がついた。

 

 このような茶色いシミがいろいろな路面で見られて、なかには路肩に向かってゆるく傾斜している路面を、長く尾を引くように流れ広がっているところもある。
 この現象が気になってから、いろいろなアスファルト路面を眺めて歩いているのだが、幹線道路ではまず見かけない。ほとんどが、狭い路地や駐車場になっている舗装面などばかり。なかには、路面に貼り付けられている白線の裏側から錆色が滲み上がってきているところもあった。

  

 色合いといい、水で流れるように尾を引いているところといい、感覚的には鉄錆としか思えないのである。

 今ではだいぶ見かけなくなってきたが、トラックの荷室壁が鉄板だった頃は、年数を経たトラックの箱には、ビス周りに鉄錆が発生してそれが雨水で流れて茶色の筋を引いているのをよく見かけた。最近は、ハコ車(扉つきの箱形荷台のトラックのこと)の外装がほとんどアルミ製になったので、錆が出ることも少なくなってほとんど見かけない。白い塗装のトラックが多くなったのも、年配の修理屋さんたちによると、「錆の涙」を流さなくなったからだそうだ。車体のビス留め部位から発生した錆が流れるのを、涙、と呼んでいたのである。

 今回の茶色の路面しみは、まさに、この鉄錆涙そのものに思えるのである。

 最初の写真を見てわかるが、このシミが発生している周りの石粒は、かなり大きさにばらつきがある。それで気がついたのだが、これまで観察してきた路面シミがあるところは、どう考えても本格舗装をするほどの場所ではなく、水道工事、下水工事云々でたびたび掘り返されては舗装し直されているような場所が多い。ということは、大きなコストがかけられない安普請の対象箇所なのではないか、と考える。そんな場所だから、使っている砕石が程度の低い材料で、鉄片も入ってしまう建築廃材の破砕物も使われているのではないかと想像した。

 そこで、道路舗装に関する国土交通省の規定を調べてみた。
 下が、舗装の構造に関する技術基準 ( 国土交通省)で、使用する砕石のサイズに関しても細かく規定していることがわかった。
  https://www.mlit.go.jp/road/sign/pavement3.html

 ところが一方で、サイズの規定などはしっかりと行われているものの、その原材料に関してはきちんとした規定は見つからなかった。できあがった舗装の強度に関しては守るべき価を示しているものの、それを誰が確認するのかについてもまた、この文書だけでは不明だった。たぶん、認可団体のチェックに任せるのが現実的なので、そのような規定が別途設けられていて実施されているのだろう。 
 そんな団体かな、と思われたのが「一般社団法人 日本アスファルト協会」。
 その団体の解説資料を見つけたのが、下記である。
  http://www.askyo.jp/knowledge/08-1.html

 ここでは、アスファルト舗装の構造も含めて基本的な解説が行われていて、舗装表面の材料も示されている。さらに、施工順序を示した解説図があったので拝借してきた。

   <一般的な舗装構成と施工の順序>

  

  この図で上から三層目までが、アスファルト舗装路面の上層に当たる。言葉から判断すると、この層は粒度を調整した砕石が使われていることになる。第一、二層は、コート材料だから、あのアスファルトの黒々とした結着成分が第三層の砕石を覆う、ということだろう。図の第四層にあるクラッシャランという聞き慣れない言葉があったので調べてみると、これは、建築廃材で出たコンクリートを破砕して再利用するもので、最終的にはふるいにかけて粒度を調節して使う、と説明されている。いろいろな解説を見てみると、建築廃材には当然鉄骨が含まれるので、それは除かれて残ったコンクリートの塊だけを破砕している、とされていた。

 どうやら、このあたりに謎を解く鍵があると感じる。

 協会さんの舗装構造図では、クラッシャランは表層の下で路盤を強固にするために使われている。しかし、赤さびのようなシミが出来ているアスファルト路面の写真では、確かに天然石らしい石が多数詰まっているものの、その大きさはマチマチでとても粒度調整した砕石だけが使われているとは思えない。もし、上層路面が薄くて下層のクラッシャランが顔を出してしまうような施工が施されていたらどうだろう、と考えた。
 鉄骨は除いている、とはいえ、細かな鉄片まで完全除去するほどの手間はかけられないはずだから、当然、クラッシャランと呼んでいる路面材料には小さな鉄片くらいは入っていても不思議ではない。また、表層から二層はアスファルト混合物をのせて平らにする操作らしいが、よく見る舗装面修理作業では、熱々のアスファルト混合物を山盛りにしたところをレーキで均してから手操作の機械で打ち付けて平らにしている。そのとき押し固められている表層の厚さはごく薄く、押し固めるときにより下層のクラッシャラン層の砕石も浮き上がってくることがあってもおかしくない。その結果が、幹線道路に比べて表面の凹凸や隙間が多い簡易舗装面の最終形態なのであって、そうなれば、コンクリート破砕物が表面に顔を出しても何ら不思議はない、ということになる。

 そんなことを考えながら歩いていたウォーキングの途中で、ガソリンスタンドの歩道部分でも、コンクリート舗装面に赤さびのシミを見つけた。下左図では、白っぽい部分がガソリンスタンドが自前で行ったコンクリート舗装で、下の黒三角は公的歩道のアスファルト。右は、傾斜面のコンクリート舗装にあった流れシミである。

    

 結局、最終的に砕石をつなぎ合わせて平らにする素材がアスファルトかセメントの違いはあっても、中に含まれる砕石層の表面に鉄材料が顔を出せば、舗装完了から数日もすればそこが錆び始めるのだ。アスファルトやセメントの成分が初期のうちは鉄片などを覆っているのでわからないだけで、タイヤや靴に踏まれて皮膜がはがれれば、一気に錆び始めるのは当然のこと。そのさびが雨などで周囲に広がって茶色のシミを作っているのだと確信した。

 日本の高度成長期に、都市部の道路や建物の材料、高速道路網の建築素材として、地方の山や川から大量の砂や石が掘り採られた。それらが東京などの先進的な都市景観を作ってきた。生まれ育った田舎では、そうやっていくつもの山がなくなってしまった。そしてそのうちに、天然の砂や石が枯渇して建築材料高騰が始まった。
 一方で、高度成長期を過ぎて経年劣化で建て替えられる建物や橋、道路が現れると、今度はその廃棄物としてコンクリートの塊がどんどん増え、リサイクル、という「まやかし」っぽい言い方で廃材処理業が生まれ、それが再利用されることで資源の循環だととらえられてきている。この流れ自体は悪いことではないし、そうせざるを得ないことでもある。気になって調べてしまった今回の「舗装面の涙」も、資源再利用の流れの中に現れた、ほんのちょっとしたシミなのだろう。

 ただ、一つだけ肝に銘じておかなくてはならないことがある。
 モノを作る者は、その堅牢さ、確実さを決して軽んじてはいけない、ということだ。

 以前、急速な建築ラッシュに沸いていた中国の都市部で、建設後間もないマンションの壁が崩れ、中から家庭ゴミが大量に混ざった廃棄物が見つかったという話があった。これは極端な例としても、本来、堅牢であるべき建築物の中に、その堅牢性を将来的に損なうような「混じり物」が入っているのは許されない。今回気になっている鉄片だろうと思われる舗装材料の混入物も、それが錆びて水に流れてしまうと、そこにはうつろな空間が残る。現に、路面のシミでは、茶色の中心部が穴になって凹んでいる部分が多い。
 舗装面のように表層のごく一部なら実際的問題にはならないものの、建物のコンクリート壁の中に使われる砕石の代わりにコンクリート破砕物を使い、そこに鉄片も混じっているというようなことが起こったらどうだろう。当然のことながら、その量が多ければ、将来的にそのコンクリート建造物の壁強度に影響を及ぼすことにつながると思うのである。
 
 以前は気になっていなかった路面の茶色シミ。
 もしかすると、きれいなタイル面に覆われた高層マンションの壁の中にも、そんなシミが発生しているのではないかと勘ぐってしまう。

いつもと違う2022蝉ごよみ

Mです。

 我が家の梅雨から梅雨明けは、ニイニイゼミの声がひとつの指標だった。これまでの経験からニイニイゼミが鳴き始めるとそろそろ梅雨明けかな? がフツーだったのである。 ところが、2022年は完全に裏切られている。さっさと梅雨明けが報じられてしまい、6月末に酷暑モード。かとおもったら、7月に入ってから梅雨時よりもっと梅雨らしい天気が続いている。気象庁さんが、やべぇ早まった、と内心思っているんじゃないかと思わず笑いがこみ上げてくる。
 さて、例年は梅雨明け前のイベントだと感じているニイニイゼミだが、今年どうだったのかというと・・・
 実は、6月中には全く鳴かなかった。例年だと、6月20日前後には聴いているあの何とも控えめな ジュィ~~~~~~ という音が待っても待っても聞けなかった。ようやく耳にしたのは、なんと先週の水曜日。予想よりおよそ3週間遅れだった。
 イヤ待てよ、もしかして、これって梅雨明けがまだだと言っているんじゃないだろうか? 春先のひどい寒さが続いた関東では、草木と同じく、地温の積算で目覚めが促される蝉などの虫たちにとっても、2020年の覚醒カレンダーは後ろにずれ込んでいるかもしれない。関東のソメイヨシノは、開花が昨年より1~2週間遅れていた。同じように、ニイニイゼミの覚醒カレンダーも遅れている、と考えて良いのかもしれない。

ニイニイゼミWikiさんより拝借)

 ニイニイゼミの声を聞いたと思ったら2日後、別の場所だが、なんとミンミンゼミが鳴いていた。ところが、それから1週間経つというのに、関東の夏の王者アブラゼミはまだその姿を見せていない。
 6月末の酷暑到来とその後の長雨。気象庁さんは、エルニーニョがどうとか、いろいろと理由付けをしていて大変そうだ。要するに、「富岳」を使って予想したところで、結局は過去のデータをベースにしたシミュレーションをするだけなのだから、規模の大きな地球表面の気象予測を的確に行えると思うこと自体、自然という構造から見ればチャンチャラ可笑しいぜ、ということなんじゃないかと思うのである。
 地震予測は出来ません、と発表したに等しい地震予知連さんもそうだが、予知できればいいなぁ、と思っている人間たちの希望は、今のところ単なる期待であって現実はそう甘くない。
 自然災害に対して、予報に多大な期待を持つのは止めて、起こってしまったらどうするか、ということを真剣に考えておくしかないのかもしれない。

 それにしても、これまでの経験が裏切られている2022蝉カレンダーは、どうなっていくのだろう。例年なら、ニイニイ→2週間→アブラ→1週間→ミンミン、ヒグラシ、ツクツク、というMの蝉順が、今年どうなっていくのかとても興味深い。

ADSL回線 ついに終了!

Mです。

 東京の棲み家に、ネット回線変更のお知らせが来た。ヤホー じゃなかった! ヤフーさんからのお知らせ。ついに、ADSL回線終了が迫ったのである。

   

 いつからADSL回線にしたのかはっきりとは覚えていない。ただ、なぜADSL回線だったかというと、そこには「ものがたり」がある。

 この回線にする前は、もともと電話回線を使っていなかった部屋だったので、当時売り出し中だったUQ WiMAXを契約してWiFi回線でPCを使っていた。
 そのUQ WiMAXの機種が新しくなるとのことで WiMAX 2への更新を勧められ、ポケットWiFiの機種を変えた。ところが、そのとたんに通信が出来なくなった。アンテナが立たなくなってしまったのである。
 変更を勧めてきた窓口に相談し、指示に従っていろいろ操作を繰り返すも全く改善無し。電波受信自体が出来ていない可能性があると思い、機器を手にして周辺を歩いてみると、とんでもない現象が判明した。居住マンションを含む一辺200m程の正方形地域が、アンテナが立っても1本まで、という極めて電波状況が悪い「電波の影」に入っていると判った。その端から道路を隔てた側に行くといきなり4本立つ。何が障害になっているかわからないが、とにかくWiFi電波が来ないのである。
 そういえば、ガラケーの受信も若干悪く、アンテナマークも2本と3本を行ったり来たりしている状況だったから、電波障害物があるのだろう、くらいには感じていた。とはいえ、先代のポケットWiFi機器ではどうにか問題なくネット受信できていたのである。
 それらのことをもう一度相談窓口に申し出て、元の機種に戻して欲しいと頼んだが、それは不可能だ、という。
 実際のところ、窓口になっているのはUQ本体から委託された実務会社であって、機器の斡旋と送付、説明等はするが契約には絡んでいないという。だから、一旦解約された旧機種の契約を元に戻すには、契約主体に新契約をキャンセルして、旧機種契約をやり直すしかない、というのである。しかも、通信障害の報告はなく、良好なエリアに入っている地域なので勧めた自社に責任は無いと突っぱねる。じゃあ、実際に来て調べて対策してくれるのか、と問えば、そういう立場に無いと逃げる・・・

 結局、アタマにきてキャンセル料を払ってUQ WiMAX とおさらばしたのである。無駄にした経費は3万円近かった。アホらし!!

 そんなこんなで、やっぱり通信は有線だ、と思い直して有線ネット契約に突き進んだ。 かといって、当時はまだ光通信はやや高額だった。使うのはPCだから、通信速度はソコソコでも十分に機械側で対応できる。そこで、まだまだ健在だったADSL回線局を検索してみると、地理的にごく近い場所にあることが判った。ネットで回線速度を調べてみると、ADSL12M契約で下り6~8Mbps程度出ているらしい。十分だ、と判断して急ぎ最も安価だったヤフーさんと契約したのであった。

 電話は使っていなかったが回線だけは部屋まで引き込まれていたので、ブランクは2週間ほどでネット社会に復活できた。

 そんないきさつを思い出すと、それほど前のことではないのに、ずいぶん昔のような気がする。一昨年ぐらいから、もはやADSL回線は用無しになりつつあり、数年後には廃止されると知ってはいたが、ついに通知を受ける状況になってあらためて時代が変わっているのだと実感した。

 考えてみれば、現在の有線ネット料金は、光回線でも以前のADSL料金にだいぶ近づいている。それだけ、ユーザーの規模が大きくなって、光回線のコストが下がったということ。代わりに、銅のアナログ固定電話回線を使っていたADSL通信は、ニーズがなくなったということだ。そもそも、固定電話を持っていても、光回線でネット契約している場合は、カタチだけは以前のままの固定電話でも、実際上はすでに光相乗りの光電話に代わっていて、すでにIP電話になってしまっていることが多いと思う。家屋に電話線が昔のまま残っていたとしても、中の銅回線は使われていないのである。だから、この銅線を利用していたADSLシステムが終了するのも当然のことなのだ。

 ところで、いま、ジリジリジリジリッと鳴る黒電話を使っている人は、日本中でどのくらい残っているだろうか。黒電話(グレーや肌色もあった)は、パルス通信という通信方式を使っているアナログ電話元祖の仕組みで、この回線はダイヤル回線と呼ばれる。その後、プッシュボタン式の電話機が生まれ、同じアナログの銅線を使うのだが、通信方法は従来のパルス通信とトーン通信(こちらはプッシュ回線と呼ぶ)のいずれかが選べるようになった。一般家庭では、つながるまでの時間が短いプッシュ回線にほぼシフトしたはずだ。その後の、光やWiFi全盛期になっても、これらのアナログ回線はちゃんと温存されている。なにしろアナログ回線自体は停電でも機能して、特に黒電話なら停電でも全く問題なく話が出来るからである。
 消防署など、停電時でも電話がつながらないと困るところでは今でもこれらのアナログ回線は現役。自家発電でプッシュ電話機の電源さえ取れれば同じくアナログ回線を確保している相手とは電話がつながる。さすがにパルス通信だけが使える黒電話タイプは無いだろうとは思うが・・・

 とにかく、情報量が膨大になった現在、その通信手段は有線、無線に分かれてはいるものの、ほとんどすべてがデジタル回線に置き換わってきた。
 アナログは、どんどん遠くなっていく。Mの脳みそはアナログなんだけどなぁ、と言ってみてもはじまらない。

 さて、ADSL終焉後はどうしようか。
 ヤフーさんからのおすすめは、AirWiFi)と光の2択。当然である。
 やっぱり、無線はコワイよな、と思う。値段もソコソコに落ち着いているので、やはり光に乗り換えることになりそうだ。

ヒトの設計図 ついに完全解読

Mです。

 4月はじめ、アメリカの科学雑誌「Science」に、ヒトの遺伝子解析が完了したという報告が上がった。5月3日の朝日新聞科学面に、そのわかりやすい解説が載った。ログイン出来ないと一部しか読めないが、電子版アドレスは下記である。
  https://www.asahi.com/articles/ASQ4X5WWLQ4TUTFL00M.html

 生き物の設計図である遺伝子(DNA)は、4種の核酸という分子の連なりで出来ていて、その並びがアミノ酸を決定し、それを繋げることでタンパク質が作られる。生き物の身体を作っている中心がタンパク質だから、遺伝子は身体の設計図だ、という理屈になる。

 1980年代にこのDNAを構成している核酸を順繰りに読み取っていく技術が開発されて、90年にヒトのDNAをすべて読み取ろうという計画が世界的な共同プロジェクトとして始まった。それぞれの生き物の基本となるDNAセットをゲノムと呼ぶ。つまり、生き物の設計図=ゲノム、である。そこで、このプロジェクトは、ヒトゲノム計画、と呼ばれた。そして14年かけて、サンプルとしていた白人のDNA読み取りが完了したと宣言された。2013年のことである。

 とはいえ、これは核酸の並びが解読された、という意味であって、その並びの意味するものが解明されたということではない。ただ、読めた、ということ。解読作業と並行して生物学者、生化学者たちは、その核酸の並びがどんなタンパク質に対応しているかを必死に探っては発表するという競争を続けてきたのである。
 その流れの中で、特定の病気が特定の遺伝子配列の乱れや変化によって起こっていること、身体の中で病気と闘っている仕組みを特定の遺伝子が担っていること、などがいくつも解明され、医学や薬学の分野で画期的な進歩を生み出してきた。読み取りが完了したという段階で既に具体的な成果につながってきたのは、ゲノムプロジェクトがいかに人間社会に恩恵をもたらしてきたかの証拠といえる。

 そんな優れた業績なのだが、新聞解説に示されているように、実は、2003年の解読完了宣言時には、モレがあった。
 長大なヒトDNAの各所にある「繰り返し配列」が厄介だったのである。
 当時の解析装置では、同じ塩基の連なりが単位となって同じ配列が何度もつながったり、異なる配列単位が入れ子になりながら繰り返したりする領域については、繰り返している、ということは分かるものの、どういう順番なのか、どんな組み合わせで繰り返しているのか、までは読み切れなかったのである。
 技術進歩は企業レベルで飛躍的に進む。その結果として、科学論文に現れない進歩として、解析技術の躍進が生まれる。そのおかげで、同じ繰り返しばかりで「いったいどうなっているの?」状態だったモレ部分が徐々に解明され、ついに完全解読に至った、というのが今回のScience報告である。

 報告された雑誌の表紙が上の図だが、右下から始まってぐにゃりと曲がりながら右上に向かっている短冊模様が、ヒト遺伝子のかたまりである染色体を表している。数えていただければ判るが23本ある。中学校の教科書にあるのだと思うが、これがヒトの細胞すべて(成熟赤血球では消失)に備わっている設計図のセット。23本がそれぞれ対を作っているので、細胞の中では、染色体本数としては46本になる。(ただし、ヒトのオスでは、性染色体の片方がY染色体なので、最後の1対は長さの異なるXYのでこぼこペアであることは注意が必要)上の図は、極端に短いY染色体が無いようなので、多分女性のサンプルが使われていたのだと思う。
 余談が長くなってしまった。
 重要なのは図の短冊にランダムに現れている赤い線の部分だ。ごく狭いものからだいぶ長めの赤領域までいろいろだが、この赤い部分が前述の「繰り返し配列」領域で、全体から見るとおよそ8%に相当していたという。2003年以降の技術革新によって配列の確定手法が進歩し、ついにこの赤い領域すべてについて塩基の配列が確定した、ということなのだ。

 「そりゃあ、ご苦労様でした。まだ意味づけがともなわないのに、よくぞそこまで根を詰めて仕事をされましたね。頭が下がります・・・」と皮肉を言う研究者もいるだろうが、それは違う。解読された配列を元にわかりやすい研究に突き進んで早めの成果を上げることも有意義だが、とにかくすべて解読するまで諦めない、と地道な研究を続けるのも科学全体から見れば非常に重要なことで、今まで解明されていない「繰り返し」の意味するものを、これでようやく研究できる地盤が整ったのだ、と捉えれば、今回の成果は実に大きな進歩なのだと思う。

 これからは、人種によるゲノム配列の差を解析するなど、今回の成果を「基本パターン」にした比較研究が一気に進んでいくのだろう。さらに、個人個人で異なる遺伝特性が詳しく解析できるようになって、病気の遺伝子治療分野が一気に加速していく可能性もある。一市民として、大いに期待が膨らむ。

 そんな期待を抱く一方で、日本の科学研究の実情を見るにつけ、華々しい成果にはすぐに結びつくことの無い地道な基礎研究を進め続ける西欧の底力を羨ましく思うのは、私だけでないだろう。基礎研究では食えない、と50年以上言われ続けている日本の科学界は、これから先いったいどうなってしまうのだろうか。この前ノーベル賞を受賞した真鍋さんも、日本では出来なかった基礎研究を米国で地道に続けた方だった。基礎研究があってこその応用研究。太っ腹な科学教育体制が無いと、優秀な頭脳はみんな外国に流れてしまうかも知れない。

 

アナログカメラ と スマホ がくっついて・・・

Mです。

エッ という記事に出会った。
 アナログカメラの裏蓋にアタッチメントを付けて、スマホとカメラをドッキングする、というアイデアだ。J-CAST トレンドからのニュース配信で、4月10日18時のものだ。

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  ※ https://news.infoseek.co.jp/article/jcasttrend_20222434949/

 紹介されている画は、多分1970年代を代表するカメラの一つNikon F2だろう。重厚感がありながらシャッターが軽くて使いやすい人気機種だった。ボディーのみで7万円超した代物で、欲しくてたまらなかった機種だが、懐具合がどうしてもそこまで到達せず、断念した機種だ。結局Mは、より小型で野外撮影に好適なOlympus OM-1を落とし処にした。こちらは、標準レンズ付きで5万円台だった。当時の一般奨学金が1.2万円とかだったから、自炊でケチった金を貯めて、1年がかりでどうにかOM-1に到達したという懐かしい思い出だ。

 それ以来、デジタルカメラが主流になるまでにアナログカメラを3台使ってきたが、そのほかに、以前紹介したステレオカメラを含めていわゆるレトロなカメラを5台ほど所有している。面白い機能を持ったカメラばかりで、知人から譲ってもらったりハードオフのジャンク棚で見つけてきたもので、いくらか手を加えて修理し、すべて現役である。
とはいえ、今ではアナログ撮影自体、よほどのこだわりが無い限り手が出ない。
 いまアナログ撮影しようとすれば、フィルムの入手も結構な金額になるし、撮影後の現像期間と代金も考え合わせると、撮った画像を目にするまでのコストは、結構な”道楽”の領域に入ってしまった。何しろ、デジタルカメラで撮った画を見るまでにかかるコストはほぼゼロなのに、アナログカメラの画を見るまでには、フィルム代と現像代だけでも1,000円以上かかるのに加え、プリントするとその代金もかかる。しかも、1週間は撮った画の出来映えが判らないまま待たなくてはならないのである。Mの場合は、現像&プリントのセット料金が格安だったジャンボグループをよく利用していたが、それでも36枚撮りで画を受け取るまでにおよそ1,000円かかっていたと記憶している。どんな画になっているかとワクワクして待っていた時間が楽しかった、という側面もあるものの、時には思っていた画に遙かに及ばず、ガックリときたこともある。
 いま想えば、アナログ写真には、そんな悠長なところがあって、それが良かった。

 ところが、デジタルカメラが世に出て来て、あっという間に銀板写真(アナログ写真)の質に追いついてしまった。当初は、プロはやはりアナログ、みたいな雰囲気があったものの、10年しないうちにそんなのは流行らない世界に突入して、プロ仕様の機種と解像ソフトが登場し、後加工も自由自在になっていくと、もはや世の中の写真はほぼすべてデジタルになってしまった。何しろ、現場写真がほぼリアルタイムでネット送信出来るのだから、もはやアナログの出番は無いのである。PCの進化とインターネットシステムの進化が、カメラの世界を根本から変えてしまった、という流れだ。

 とはいえ、そんな時代になっても、アナログカメラの機械には、相も変わらず一部のマニアからの熱い視線が変わること無く注がれてきていた。それは何かというと、レンズの特性である。
 アナログ時代のカメラには、各メーカー毎に特徴的なレンズの癖があった。特に伝説的なのはライカのレンズで、同じ被写体を同じ露出、同じシャッタースピードで撮影しているにもかかわらず、撮れた写真を比べると誰が見ても判る差が現れた。特にレンズを解放絞りで撮ったとき、写真周辺の微妙なボケ具合が何とも柔らかで心地よい絵に見えた。レンズに詳しい大先輩に教わったところによると、その特長を産み出していたのはドイツ産の土(つまりガラス原料)にあり、クッキリし過ぎずかといってディテールはしっかりと表現できるレンズが出来たのだという。さらに加えてライカ独自の特殊研磨技術があり、レンズの最大の難点である周辺収差という画像のゆがみを、消しきらずに程よく残したのがライカレンズの特性だったそうである。日本メーカーのカメラも世界的に高評価だったが、画の味、という説明できない特長ではどうしても届かなかった、と聞かされた。
 
 そんな流れがあって、デジタルカメラがどんどん進んでいく中で、昔のアナログカメラのレンズが使える、という触れ込みのデジタルカメラも生まれてきた。アナログユーザーは、結構交換レンズに凝っていたので、近接から望遠まで3~5本くらいの交換レンズを持っている人々が多くいた。それらのレンズは、それなりに特長を持っていたわけで、それをデジカメにも使いたい、と思うのは当然のこと。それに応じて、焦点距離を調整してデジカメにも使えるようにしてあげよう、という流れが生まれたのである。
 とはいえ、これはあまり上手くいかなかった、と受け止めている。結局のところ、フィルムに像を結ぶためのレンズ特性と、デジタル受光素子に光を届けるためのレンズ特性は、同一では無かった。無理矢理くっつけたアナログ時代のレンズは、デジタルカメラという箱では、想像したほど昔のレンズ特性を再現してはくれなかった、というオチ。何とも悔しく、残念な結末だった。

 では、今回報じられた新手法はどうだろうか?
 詳しい仕様が示されていないので判らないのだが、簡単な説明によると、今回の発想は、レンズを活かしたいという前段の発想とは異なり、アナログカメラという機械そのものを
そのままのカタチで活かす、という発想だ。つまり、無理矢理焦点距離を調整するとかは行わず、カメラの命であるレンズからフィルム面までの鏡胴部分をそのまま温存し、フィルムの代わりにデジタル受光素子面を裏蓋として装着するというものらしい。しかも、撮影は連結したスマホに行わせる、という仕組みだ。この部分がまだ良く理解できないのだが、スマホアプリの性能次第、ということなのだろうか。だとすると、その性能は随時更新、進化していくだろうから、アナログ機械部分とデジタル解析機能の合体、という観点で見ると、新しい展開が訪れるのではないかと期待が膨らむのである。

 価格も、アタッチメントセットで2万円台前半。是非試してみたい、と思う。

 ただ、最大の問題点は、Mはガラケーしか持っていない、ということ。
 このままでは、試すことが不可能なのだ!!
 しかたがない、Y子のiPhoneを借りようか・・・