Mです。子育て中も、孫育て中の現在も、DIYショップが大好きです。
”ねじまわし”なんて用語、20代までの方々は聞いたこともない、かも知れない。もしかすると30代も同じか?
工具のドライバーを、以前は”ねじまわし”と呼んでいた。
オイ、ちょっとそこのねじまわし取ってくれ。と、大工仕事を手伝っている子供に声がかかる。 太いの?細いの? 太い方だ。・・・そんな昔の情景が浮かんでくる。
が、ここで言っている”ねじまわし”は、ほとんどの場合、今言うところのマイナスドライバー。プラスさんがネジの主流になっって来たのは1960年後半だったのではないか。中学の技術の時間に、自分の家にはなかったプラスドライバーとそれに対応するプラス溝の皿木ネジを見て、無性に欲しくなった記憶がある。ハト小屋の扉に蝶番をネジ止めする時、マイナスの皿木ネジはねじ回しが滑ってなかなか上手く回ってくれなかった経験があるので、十字溝なら簡単じゃないか、と思ったのだ。
※こんなのもあるんだ!!
まだまだ電気製品が高価だった時代で、木製の箱ラジオも、マイナスネジで裏板を留めてあった。柱時計の内側で振り子の枠を留めているのもマイナスネジ。大工さんの仕事もほとんど組み木加工と釘打ちの世界で、大工さんの腰に下がっている厚手の布袋にはネジなんて一本も入っていなかった。
今の大工仕事は、自動釘打ち機と電動ドライバー大活躍だから、隔世の感がある。いまや、ドイトショップに行けば、建築用のネジが呆れるくらいの種類並んでいて、しかも安い。工作大好きのMは、どんなものでも作れるな、と思わずニンマリしてしまうのである。
さて、ここからが本題。
ねじまわしの相手であるネジは、英語世界では スクリュウ と ボルト/ナット に分かれる。上で記していたネジ達は前者で、ビスという言われ方が多い。いわゆる小ネジたちがこれで、マイナス、プラスの溝を頭に持ったネジ達は、木工や小規模工作の必須アイテムになっている。
そして、より大物の構築物、建築物、機械類等の部材接合に使われるのが、多くが6角頭をしたボルトとナット、というカップル(細いボルト・ナットもありますがね)。雄ねじ、雌ねじという言葉でも呼ばれることから、その密接なパートナーぶりが判ろうというもの。
木造建築はスクリューの出番が多いと思いきや、柱の固定や耐震補強はすべてボルト・ナットの世界だから、肝腎なところはこの夫婦に支えられているというわけだ。簡単に別れさせてくれないのである。
ところが、回転する部材では、その回転方向によって固定に使うボルト・ナットの溝を逆向きにする。回転している時に緩みが生じないよう、主要部品の回転と反対向きに締め付けることで緩まなくしてあるということ。誰もが知っている例は扇風機のプロペラ固定だろうか。年一回のプロペラ掃除、やったことがある人なら気付いているだろう。このボルト・ナットだが、そのらせん溝に順巻きと逆巻きがあることは、あまり気付かれていないのではないか。順巻きは、いわゆる進行方向に向かって右巻き(時計回り)のことで、ほとんどの場合はこのスタイルだ。
固定のキャップは、回転方向と逆のねじ切りがしてある。卑近な例としてもう一つ思いつくのは自転車のペダルとペダルシャフト。右と左では回る方向が違うから、当然組む時の締め付けはその方向と逆にすべきだからだ。ヒマがあったら一度バラしてみてはいかがだろうか。人間の知恵には、そんな細かなところで驚かされるのです。
そんなボルト・ナットのことで、今日の仕事先で一悶着があった。
発電トラックの製造に荷担していて、そのトラックの心臓部である油圧ポンプの組付けを手伝った。作業場のお頭が、今回から部材の固定を簡略化することにした。
これまではただの穴にしていた部分を雌ねじにして直接ボルトを留めることにした、と伝えてきた。そりゃあ楽でいいね、と返してイザ作業に移ったところで??? ねえ、このシャフトどっち回りだっけ?と聞くと、右だよ、の返事。いま留めようとしているボルトも右回しじゃん! と気づき、それじゃ緩むじゃない!とのM発言に、現場が氷河期突入・・・・
結局のところ、せっかくネジ加工した部分をボール盤で少し大きめの”ただの穴”に再加工して、ボルト・ナット留めという従来の固定手法に戻したのでありました。
ネジって、ほとんど気に留めて貰えないアイテムだが、じつは実は、ヒジョーに重い役目を果たしている陰の力持ちなんです。
PCを組み立てている時も、部材ごとに異なるピッチのビスを使い分ける。プラスチックのファンを留めるビスはことのほかオカシナ形状で、芋虫のよう。省力化の権化のような安直カツ効率的な形状で、思わず唸ってしまう。
両国界隈の下町区域に何軒もあるのだが、螺子(漢字はこうなのです)の看板を見つけると、ちょっとだけ覗いてみたくなる。
でも、入ったら、ただ見るだけ、とは言えないもんなぁ・・・