理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

USBメモリー 挿しっぱなしはダメよ!

Mです。

 今回は、思い出話もまじえてデータ携帯ツールのおはなし。

 データを持ち歩くのにいちばん便利なのは、安くて構造が安心なUSBメモリーだと思う。だからといって、酷使すると一気に死んでしまうこともある。その性質を理解して、ちゃんと使いましょう、という落ちにつながるおはなしです。

 PCを使い始めた頃は、それこそハードディスク(HDD)が無かった時代だからフロッピーディスクFDD)がデータの持ち運び媒体だった。しかも初期はペラペラの磁気ディスクが20センチ四方の穴あきケースに収まった8インチディスクだった。持ち運ぶときに曲げてしまうのが怖くて、本に挟んで運んだりした。

 PCの普及につれて5インチになり、さらにハードケース化した3.5インチとなって、胸ポケットに入るFDD(2HD)がデータ携帯ツールとなった。85年あたりのことだった。
そのデータ容量はなんと1.44Mb。それでも、テキスト文書ならどうにか収まっていた。

 一方でHDDがものすごい勢いで高密度化&低廉化していくと同時に、データ媒体もフロッピーから光磁気ディスク(MO)に進化して、情報量も一気に100倍になった。

 胸ポケットには、同じサイズでちょっと厚いMOが入っていた。90年代半ばのはなしで、容量は230Mb。文書だけでなく、そこそこの静止画像データ、短い動画データも収納できるようになった。

 同時期にCDもデータ媒体として使われるようになっていたが、こちらは繰り返しの読み書きが得意ではないので、比較的大きなデータを書き込んで固定し、ソフトとして売るための媒体に活用された。音楽、映像、アプリケーションソフトの媒体としてが主となったのである。これは、CDにつづくDVDにも共通する特性だ。

 ところがである。それから5年ほどするうちにフラッシュメモリーという全く異なる構造のデータメディアが出現して、四角い穴に突っ込めばデータの読み書きができてしまうことになった。USBポートとUSBドライブ(半導体モリー)の誕生である。
 それまでのデータ媒体がディスク構造で、回転する円盤から磁気ヘッドで情報を読み取るのとは全く異なり、可動部がゼロ。モーターを必要としないので、小型化省電力なのだ。この仕組みの出現で、ノートPCでも簡単にデータの持ち出しができるようになり、ついにはタワー型PCからもFDDスロットが消えてしまうことになった。もちろん、MOドライブも用なしになって、外付けMOドライブさえも見かけなくなって5年以上たつ。

 USBメモリーは、まさに革命的だった。出現初期の2000年代初頭には16Mbとかで喜んでいたが、5年もしないうちに容量が100倍のギガレベルになると、さらに加速して2013年にテラレベルに到達。今では小さなスティックメモリーがHDDと同じデータ容量を納めてしまうのである。

 大きなデータを保管しておくのにHDDが重宝するのはその安定性と耐久性がメリットだと思っていたのだが、USBメモリーは、はるかに小さな電力で動き、しかも読み書きの速度がHDDよりも速いのである。なにしろ、回転する円盤からデータを読み書きするHDDとは根本的に異なる。電子の速度での読み書きなのだから理論的には光速レベル。ただし、動かしているPCのデータ転送速度を上回ることはないので、当然限界はあるが。
 この優れたデータ携帯ツールであるUSBメモリーは、もはや欠くことのできないPCアイテムである。

 Mもバッグの中にはいつも3本程度のスティックが収まっていて、以前ならCDやDVDディスクで持ち歩いていたアプリをUSBメモリーにコピーして使ったりする。なにしろ、2000円未満で64Gbの容量の物が買えてしまうから、Windowsのシステムさえ簡単に入ってしまう。大事なデータをHDDと複数の保存用USBメモリーに保管しておくというのも、今では常套手段になっている。

下は、2000円以下で売られている128Gbメモリー。驚きの価格。ここまで安くなったかの感がある。これでUSB3.0対応なのだから、なおビックリ。

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 そんなチョー便利なUSBメモリーだが、じつは結構ひ弱な性格も持ち合わせている。
 これは夏に多く経験するのだが、熱に弱いのである。
 PC自体も決して熱に強くないが、それがわかっているからPC内部にはクーラーがいくつも設置してあって、タワー型ではHDDを冷やすためのクーラーも設置されていたりする。

 それに比べると、いくら機械的な駆動部がないとはいえ、情報を収納するICチップ本体とは別のコントロール基板は、超高速処理にともなう電流で少なからず発熱する。ところがその一方で、スリムな体のメモリー収納ケースには熱の放散システムが付いていない。
 作業中にUSBメモリーへのアクセスがおかしいと感じて調べてみると、一時的にUSBメモリーがPCの側から見えなくなっている、ということさえ起こるのである。つまり、PC側がUSBメモリーを認識できなくなっている、という状態である。これは明らかにUSBメモリーの基板熱暴走かと疑われる状況。予想通り、メモリーは熱くなっているから、抜いて一旦冷やして差し込むと再認識してくれるのである。

 そんな状態を何回か経験しているうちに、Mは悟った。そうか、USBメモリーは挿しっぱなしにしておいてはダメだ、と。

 放熱性能が低いのだから、データのやりとりをしていなくても、ポートに挿してあると5V電源が供給されていて基板は発熱している。寒い時期ならいざ知らず、外気温が高いとUSBメモリーは結構温かくなっている。熱伝導が良くないプラスチックに囲われているのに温かいということは、内部はもっと熱いのである。

 ICチップには寿命があって、稼働回数にも限界があるといわれている。ならば、その寿命を短くするであろう熱傷害はできるだけ軽くしてやる方が良いのは道理だ。

 便利に使うアイテムだからこそ、いたわって使わなければいけない、と思うのである。

 USBメモリーは、必要なときにだけ差し込んで、作業が終わったらさっさと抜く、単純だけれど、これがまっとうなつきあい方だと思う。ただし、抜き取る前にかならずマイコンピューターに入って該当するUSBドライブ”取り出し”を行う。あるいは、タスクバー右端付近にあるか隠れているアイコン(∧)でUSBを右クリックして”取り出し”を行うことを忘れないでいただきたい。不用意な引き抜きは、データ損傷や悪くすると認識不能を引き起こします。場合によっては、再フォーマットが必要になることもあるからくれぐれもご用心を。

 繰り返して観たい映像なんかは、USBに保存したりせずに、面倒でもDVDに焼くなどして観た方が良いと思うのです。