理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

自転車デビュー 今昔

Mです。

ついこのあいだ3歳になったばかりの孫むすめと、公園をはしごしていろいろな遊具で遊んだ。おかげで、久しぶりにあたまと額が日焼けして、気付くと脱皮している。何十年ぶりだろうか、というくらい前回を思い出せない。

 

公園遊具というと、滑り台、ブランコ、ジャングルジムが定番だと思っていた。しかし、ジャングルジムはどこにもなくなっていて、いまの主流はロープや軸回転を使うもので、実に多彩な用具があるのだとわかった。ただし、昔のモノのように大きく速く動くモノはなくなっていて、危険性回避が主眼なのだと感じた。

 

滑り台にしても、単純な階段と滑り板の組み合わせはむしろ少数派で、登り口が綱登りになっていたりボルダリング板になっていたり、登って滑るまでがアスレチック要素満載で、たくさんのこどもたちがいろいろな方向から滑り板を目指していくという複合遊具になっている。驚いたことに、若干年長のこどもたちの何人かが、その交通整理の役割を担っていて、無理を通そうとする者は規制し、まだ上手く動けない年少者を介助したりと、大人顔負けの差配を振るっていた。その行為自体を本人たちは楽しんでいるかのようにも見え、幼児教育の成果を見せつけられた気がした。

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田舎育ちのMは、幼児教育に類するシステムから外れていたので、集団行動は大の苦手だった。今でもその傾向は変わりなく、群れることは出来ない。今更自分にそれが必要だとは思っていないのだけれど、そういう経験を積んでいたら、もしかするといろいろな面でもっと上手く立ち回れたこともあったろう、と思わずにいられなかった。

 

そんな遊具のいろいろを楽しみながら巡っているとき、少し離れた草地でペダルのない自転車にまたがった男の子が、結構なスピードで足こぎしているのが見えた。外国の映像で観たことがある、幼児用のプロト自転車らしい。

 

記憶にある映像はその自転車のこどもレースを報じたもので、若干のアップダウンがあるダートコースを、小さなこどもたちがかなりのスピードで競争し、さながらオフロードバイクのモトクロスだった。転ぶ者多数でしっちゃかめっちゃかなレースに見えたが、こどもたちは真剣そのもので、思わず見入ってしまったことを覚えている。

 

孫むすめを親元に送り届けて帰ってきてから調べてみると、そのペダル無し自転車はキッズバイクと総称されているモノのようだ。

値段も4千円程度から2万円以上するモノまである。

軽さを売りにするモノもあれば、丈夫さを唄うモノ、さらにはペダルを付けると自転車に変身するモノもあった。

 

 大人が使うモノの原型ともいえるツールを子供用の入門に使うのだから、実に理屈に合っているのだ。考えてみれば、19世紀初頭に発明された自転車は、もともとサドルに座って足で地面を蹴って進むモノだったのだから、キッズバイクは現行自転車のプロトタイプそのもの。

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そののち前輪にペダルを付けたものができ、19世紀も終わるころになってチェーンが発明され、ペダルで後輪を駆動させるスタイルに変わったことで、速度と安定性に優れた移動ツールとして世界中に広まった。

 

Mが自転車というものに乗ったのは5歳の頃だったと思う。

当時の田舎では、舗装道路など皆無で幹線道路は砂利舗装。自転車は砂利道を走るのは苦手なので、土むき出しの測道や路地を走らせていた。自転車自体高価だったし、運搬ツールとしての利用が主だったから、米屋さんなどが大きな荷台付きの”ぶっとい”三角フレームの自転車に○△商店などという看板を付けて走っていた。

 

ママチャリのように、スカートの女性でも簡単に乗れるフレームになったのは、小学校高学年になった頃だったような気がする。だから、最初に乗れるようになったのは当然三角フレームの自転車。我が家にやってきたその自転車は、たしか光風自転車という名前のメーカーだったと記憶している。

 

自宅のすぐ近くが小学校だったので、その三角フレームを押して校庭に行き、1週間くらいかかって乗れるようになった。三角乗りという、フレームから片足をつっこんで反対側のペダルを踏む乗り方で、サドルはつかわない。そもそも、サドルに座ってしまったら、ペダルに足が届かないのだから。

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当時の大メーカーはミヤタ(宮田)とマルイシ(丸石)だったが、今も製造しているのだろうか。最近目にする自転車はほとんど洋モノのスポーツタイプか中国製のママチャリとシティーサイクル。アシスト自転車にだけ、明らかな国産品が見て取れる。

 

大人用の自転車に無理やり乗っていた旧人類から観て、補助輪付きこども自転車が出てきたとき、なかなか上手く作ったモノだと思っていた。が、足こぎキッズバイクを目にすると、こちらの方が数段論理的に勝っていると思える。

まずは、自分の足で車体を安定化させて前進させるので、左右のバランス感覚とハンドル操作が無理なく体感できる。補助輪付き自転車は、たしかに自転車っぽくてそれでいて倒れにくいから練習に向いているように思えるが、実のところ、左右どちらかの補助輪が地面に着いていて抵抗を生んでいるため、ハンドル操作が上手くできない。倒れない代わりに、ハンドル操作が上手くいかないのだ。

 

それに比べ、キッズバイクは、足が着いているから車体を左右に傾けても怖くないし、ハンドルを切ろうとしなくても傾けるだけで方向を変える、という自転車本来の動きが体感できるのだ。その感覚を覚えてしまえば、脚力が付いたところでペダル付き自転車への移行が楽に行けると思う。

自転車練習で怖いのは、倒れること。

その恐怖感覚に神経質にならず、自転車という台にのって歩く以上の速さを出す、という動きをしていると、いつのまにか足を着かないで滑走しているという時間が生まれているはずだ。その状態でちょっとだけ身体を傾けると、自転車はその方向に曲がってくれる。倒れる恐怖を感じないで、操縦を覚えていけると思うのである。

Mはいま、3歳から使えてのちにペダルを付けられるという複合型キッズバイクに興味津々。

息子に提案してみようかしらん・・・と準備している。