Mです。
もう10年以上使っていないのだが、今回の台風15号停電被害で考えてしまったことがある。PC電源に無停電電源装置(Uninterruptible Power Supply;UPS)を使うかどうか、である。
↓ UPSの実例 (結構古いタイプに見える Wikiさんより借用)
PCを自作し始めた頃、パーツの中枢の一つであるハードディスク(HDD)がまだまだ脆弱だった。動作中の大きな振動で壊れるとか、電圧が不安定だと壊れるとか、けっこう弱っちいパーツだということになっていた。まだ、数十Mbクラスで5,000円もしていた当時のお話。
その当時、電源のダウンはHDDにとって致命的、という意見もあって、Mはジャンク屋で購入してきたUPSにPCのプラグを差し込んでいた。同様に、家族のPCにも、一台ごとにUPSを噛ませていたのである。
ただし、ジャンク屋で買った1,000円とかのUPSは当然内蔵のバッテリーがへたり始めている(なかには完全に死んでいるのもあった)。欲しいのは制御回路なので、購入して来ては、バッテリーだけ別に新品に近い物を探してきて交換して使っていたのである。新品のUPSは自作するPCよりも高額だったから、これらはMとしては当然の行為だったのだ。
今のHDDは、当時の3倍以上の回転数で容量は100倍レベルなのに、少々の電源トラブル程度で壊れることはない。というか、経験していない。ブレーカーが落ちたとか、ケーブルを引っかけてプラグを抜いてしまったとかが起こっても、作業中なら直前のデータだけは失うことになるが、再起動で問題を起こすこともほとんど無い。Windowsさんの修復機能もかなり高度になってきている。定期的なバックアップをカットしていなければ、もし起動不良になっても、最新のバックアップ時の状況になら戻すことが出来るから、停電程度なら、それほど困ることは無いのだ。
それでも、今回のようにイキナリ停電になって、その後、数日にわたって復旧しないとなると、その時のダメージがどうだったのか確認できないまま、イライラしていなければならない。
UPSは、映像データなどを個人でも多量に保存している人が増えたことや、家庭内リンクでTVと映像装置をつないで使う人が増えてきたため、データ保管場所としてNAS
(Network Attached Storage)を使ってネットワークを構築することが多くなってきた。そのネットワークのデータ保護の観点から、UPSが注目されてきている。
NASシステムは、いわば家庭内のサーバーシステムだから、サーバー部分にUPSを噛ませることで、もしブレーカーが落ちても作業を完了して落ち着いてくれるまで、UPSが電気を供給してくれれば、作業者がシステムの安全なシャットダウンを行うだけの時間稼ぎをしてくれるのだ。一般的なUPSで電源供給できるのはせいぜい長くても数十分程度だが、それだけあればよほどハードな使い方をしていない限り、すべてのアプリを安全にシャットダウン出来るはずだ。
大きなオフィスでは、こんなことは当然のことで、データセンターなどはむしろ生電源でコンピューターを動かしてはいない。巨大なバッテリーシステムを介して電源供給しているわけで、外が停電してもかなりの時間稼ぎが出来る。自家発電システムも持っているから、時間稼ぎどころかそのまま運転できてしまうくらいだ。
しかし、個人のPCや、家庭内LANのネットワークでは、それほどのことは要らない。中心になるPCなり、NAS装置だけ守れば良いので、UPSでOKなのである。
今回の大規模停電で、M自身は停電被害を受けずに済んだが、千葉県内の実家周辺は3日にわたって停電が続き、知り合いの商店主などは、売り上げデータチェックも出来ないと困っていた。それを目にし、耳にすると、PCが壊れるから、ということではなくて、データをきちんと取り出せるように保存するくらいのことは、やはり日頃から気にしていた方が良いと思った。データさえ保管できれば、タブレットで内容確認することも加工することも出来るからだ。
現在のPCは、電源の改良も進んでいて、無駄な電力を使わずに効率の良い仕事をしてくれる。現在のデスクトップ電源は、力率80%以上のグレードが当たり前なので、自分のPCが通常どの程度の電力を使っているのかを確かめておいて、その電力量の1.5~2倍程度の容量のUPSを使えば、いざ停電になってもしっかりと停止作業が出来る。
今一度、UPSの意義を考えてみなくてはいけないと思っている。
自分のPCなどが、実際にどのくらいの電力で動いているのかを簡単に知ることが出来る装置も、安価で出回っている。サンワサプライさんが、PCとコンセントの間に介在させることでPC稼働時の電力量を測定してくれるチェッカーを出している(TAP-TST8N ワットチェッカー;6000円ほど)。もっと安い他社製品もいろいろあるが、PC周辺機器で歴史のある会社だから、1500ワットまで見られる簡単ツールとしては一見の価値があると思う。
Mは、アンペアゲージ(クランプゲージ)で概算測定しているから要らないし、各パーツからの計算でも求められるからと思っているが、オモチャ感覚で一度使ってみたい気もする。
UPSの選び方に興味のある方は、オムロンさんが丁寧に解説してくれているので、下記サイトを参考にされると良い。
https://www.oss.omron.co.jp/ups/choose/sentei.html
さあて、しばらくお蔵入りさせていたUPSを引っ張り出してみようかな。
バッテリーは、とうの昔に天国行きになっているだろうが・・・