理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

IoTの未来は安全か?

Mです。

スマホがあればなんでも出来る! なんて、アントニオ猪木さんの様な言い回しが、今の世の中、本当のことになってきている。

そのうち、家電メーカー、電力会社、銀行・金融事業者などがIoTの旗印を掲げて「便利」「簡単」を謳いながら、一人一人の財布の中身までしっかりと情報収集していくようになったら・・・ と思うのは、Old ageに入ってしまっている者の杞憂なのか、あるいはまた妬みなのか。

スマホをハブにして、自宅のいろいろな電化製品や電子システムを随時管理できる世界は、話だけ聞いていると確かに便利そうに思える。もちろん、それが可能な無線ネットワークに対応できる機器を揃えていけばの話で、誰もがすぐにそうできるとは思えない。それなりの投資が絡むのだから、それだけのメリットがあるのかと自問する段階で、現実にはごく一部に留まるのが現段階、という気がする。

けれども、スマートスピーカーと呼ばれている会話型IT端末(Google HomeAmazon Echoなど)がかなりの勢いで売れているのも事実で、その先にあるのは、スマホでいろんなモノを管理・利用する世界そのものだ。

 ↓ スマートスピーカーの例 (Wikiさんから拝借)

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それを想像したとき、デスクトップPCが一番好きなオッサンの目の前には、厚い霧がかかっている。はたして、どこまで安全なのかと。

ネット犯罪に引っかからないようにと、ネット上の個人データを暗号化して管理する手法は今や当たり前のこととしてブラウザ機能の基本になっている。が、ほとんどの場合、パスワードはこまめに変えましょう、とか言われていても、あまり変えている人はいないと踏んでいる。こまめに変えると、あれ、今どれだっけ?状態になるのがしょっちゅうになりそうだし、だからといってパスワード管理ソフトなるものを使うのも、それはそれで面倒。ペーパーレス社会に染まり切れないオッサンは、たぶん、手帳に書いてローテーション、なんてことになりそう。その手帳をなくしたらそれこそお手上げ、である。事実、携帯端末にそれを記録しておいて確認、という手法を使っているが、それでも解らなくなることがしばしば。いきおい、それほど重要じゃないパスワードは全部同じで変更なし、になっているのが現状だ。

こんな状態は、ごく一部の人間だけなのかというと、正直なところ、実は多くの人々が同じようなものなのではないかと想像している。

となると、スマホ片手にいろんなことを管理・利用するIoT化の進展を、個人はどこまで安全に管理できるのだろうか、と疑問に思わざるをえない。

もちろん、普及させる側は安全策としていろいろな提示とアプリの提供をしていくだろう。でも、本当に怖いのは、家庭内の電気器具管理なんかではなくて、個人の情報(もちろん財産を含む)がどこでどのように漏れるかだ。

例えば、口座管理の情報をデジタル化保存と称してスマホに写真で保存しておいたとする。もちろん保護をかけてプライベートフォルダに保存しておくだろうが、それを読み出してATMに向かって現金を取り出そうとしたときのことを想像してみた。IoT網が広まるということは、同時に、ハッキングの対象場所が無限に広がることにもつながっている。現に銀行の中には至る所にカメラがあるし、ATMにもカメラが付いている。それらのカメラ性能も高まっているし、映像補正技術も日進月歩。本人が見ていたスマホ画面の画像情報が、ハッキングされたカメラを通して筒抜けになる、なんて可能性もあるだろう。

士郎正宗さんが描いた「攻殻機動隊」というIT・SF漫画がある。

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2000年より前、つまりは前世紀末に書かれたお話しだが、そのIT化世界は今の現実社会をはるかに越えている。ただ、部分的には、もう少しで到達する要素を多く含んでもいる。かなり難しい内容を含んでいる作品で、脳みそを攪拌される作品だが、それだけに深く面白い。押井守氏らが映像化して、そのキャラクターも斬新で実に面白く仕上がっている。キアヌ・リーブス主演のマトリックスという映画のアイデア要素だと思われる士郎作品は、人とITネットとの共存世界の難しさを描いているのだが、IoTの世界が進む先はまさにその世界に思える。

さまざまなフィルターやバリアーを備えて情報のダダ漏れを防ごうとしても、深く深く潜っていくことで全てが繋がってしまう世の中なのだ。

作品中にあったのだが、あるハッカーが資金源として世界中の金融機関から、四捨五入で切り捨てられる端数貨を全て吸収してしまうシステムを作った。例えば0.35円、の様な端数だが、それが世界規模になると「塵も積もれば」で短期間に兆円単位の資金になる、というようなお話。これなど、現実のネット金融の世界で起こりそうだと感じる。

そんな、「ふつう」の人間には想像も付かないアイデアを持ったIT技術者にとっては、これからの世界は、よだれが垂れるほどの「情報の海」かも知れない。

被害を受けたと感じていないだけで、実はいろいろな個人情報が集められ、いつの間にかその情報に沿った誘導に乗ってしまっている、ということになりはしないか。国家的に行われたら、国民の家畜化、のごとしである。

ITの便利さに浮かれるだけの人間には、絶対になりたくない。

使うべきもの、本当に必要なもの、を選択して、なくても良いものは無視する、というのが、これからのIT化社会での生き方なのではないかと思うのである。

今日、クルマを運転していてふと思ったことがある。

車載のナビには、コントロールセンターと常に繋がっている高級モノもあり、見方を変えれば常に運転を監視されているわけだ。ということは、クルマの動作がマイコン制御になっている昨今の自動車は、それほど難しいことを行わなくても外からコントロールすることが可能な要素を既に搭載しているのだ。国家機関がそのプログラムを裏でクルマメーカーに必須要件として求め、全てのクルマに搭載させる。そうなると、例えばだが、特定の道路を緊急に開放したいとき、その周辺のクルマのマイコンに停止コマンドを送って停めてしまう、なんてことも出来るのではないか。そんなことを、国家機関が自由に出来るようになったら・・・ 

はてさて、これは杞憂と言えるのでしょうか?