Mです。
I・O DATAさんには、常々お世話になっている。小さなPCIボードから外付けHDDまで、価格も数百円から万円越えと、色々である。
およそ半年前に、20TBサイズの大容量記憶装置 My Book Duo の情報を見て、個人ユーザーにとって、本当に有用なのかと考えさせられた、と書いた。そのシリーズに、今度は28TBの製品が加わるのだという。オープン価格で、12月1日発売だそうだ。
仕様はこれまでと同様で、RAIDシステムで使うことを前提にしたWestern Digital製HDDのRedシリーズを並列で使っている。仕様には書いてないが、28TBだと言っているのだから当然14TBのWD Redが2台なのだろう。RAID0システムが基本だと書いてあるから、データの保証を行えるRAID1で使うときは、正味のデータ収容量は14TBということになる。RAID0だと、28TBまるまる記憶容量にできる。ただ、データを2基のHDDに分散書き込みするので高速にはなるものの、並列記録していく訳ではないので、壊れるとデータの復旧は出来ない、ということだ。ゲームなど、数本で1TB食ってしまうだろうソフトを使っている人にとっては、このくらいの容量がないとダメなのかも知れない。
実は、この2週間のうちに、Mは2件のHDDトラブルの相談を受けて対応した。もちろん、商売ではないからタダ働きだ。とはいえ、いつもの事ながら、面白い知見も必ず得られるので、素人修理人にとってはなかなか興味深い体験なのだ。
そのトラブルも、結局は収容していたデータをどうにか救い出したい、ということに尽きる。大切なデータは必ず並列して保管しないとダメだよ、と、いつも言っているのだが、半年に一度くらいは誰かから同じようなレスキュー依頼が来る。またかよ、と思いながらもHDDを預かってチェックしてみると、読み込めなかったり、認識されなかったりといろいろだが、ほとんどの場合、HDD内に何カ所かのエラーが発生していて読み込みがそこで止まってしまうという現象になって現れている。
いくつかの再生ソフトと修復ソフトで、異常の発生場所を特定しながら、異常のないところを別のHDDにコピーして、救えるだけ救っていく。
動画データの場合は、再生は出来るがコピーできないということも起こるので、トラブルの原因はなかなか底が深いと感じている。そんなコピー不能な動画データは、手間がかかるが細分化して保存していくと、あるところで細分化不能な領域に出くわす。その位置をさらに細かく特定して、その前後で分割保存する。それらを、あとで繋ぎなおす。アナログ時代に、映画のフィルムが切れて映画館のスクリーンが真っ白になった経験があるが、その時、映写室で急いで行っていだであろうフィルムの繋ぎなおしと同じ事だ。ちょっとだけ映像が吹っ飛んでしまうが、どうにか観られるようにはなる。
今回の2件も、どうやら90%以上のデータ回収率だった。
HDDはエラーチェックの後にフォーマットしなおしてサイドエラーチェックをしたら、エラー無し、とチェッカーさんから返事がきた。それを信じるかどうかは本人次第だが、普通に使う分には大丈夫だろうと思っている。もちろん、ダブル保存していくという前提なのだが。
そんな事例を見ていて思うのは、新品のHDDを買ってきて使っていても、エラーが起こるときは起こる、という現実である。新品だから大丈夫ということは絶対ない!
今回のレスキューはいずれも2TbのHDDだったが、最近は大容量HDDが安くなってきた。4Tb程度のものを1万円割れで入手出来ることもあるから、知人たちもその手のものを使い始めた。そのせいもあるのだろうか、どんどんデータをぶち込んでしまう。そうやっても容量に余裕があるから、ますます並列保存を億劫がるようになっている。壊れてから慌てるより、小さめのHDDを複数使った方がケガが小さいだろうに、と思うのだが。
そこに持ってきて今回の28TBの製品である。
壊れにくい、と標榜しているWDRedシリーズだけれども、どこまで信頼がもてるかは正直判らない。14TBのRed HDDは、ネット上の価格でおよそ5万円。28TBのMy Book Duo は、オープン価格になっているが、ネット価格では既に10万円程度の値段が付いている。つまり、ほとんどHDD2台分そのものの価格ということだ。制御装置をおまけみたいにしている価格設定は、将来に向けて安心なストレージ機器だということで信頼を得たい、という期待をにじませているのか、と感じた。
はてさて、手間をかけてこまめに並列保存していくか、安心安全を信じて大型収納で行くか。
やはりこれは、個人の好みの問題なのかも知れない。
Mは、あくまでも小刻み派だし、HDDもジャンク街のお兄ちゃんのところで買い求める3桁価格なのだが、どう思いますか?