理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

家庭内消毒に イソプロ はいかが?!

Mです。

肺炎ウイルスなんかに負けるな!

 そのために最も手近で効果的な方法として、メディアも報じているアルコール(エタノール)消毒がある。ところが、この報道も手伝って、消毒用のエタノールがドラッグストアから消えてしまった。マスク騒動と同じである。

  エタノールが手に入らない、と、疾病以前の問題でパニックになってしまう方もおられよう。

 ここはひとつ別対応として、イソプロピルアルコールを使ってみてはどうだろう。

 新型肺炎ウイルスがらみの報道が次々と押し寄せてきて、戦々恐々の感をおぼえている方々、あまり怖がらずに、きちんと相手を見据えてもらいたいと思う。

 要は「ウイルスを含むものを体内に入れない」に尽きる。その相手は、くしゃみで飛んできた飛沫かも知れないし、ウイルスを含む液体(唾液、体液、など)が付着した物を触った自分の手かも知れない。そいつらを怖くないかたち、つまり、活性を失わせてしまえば勝ちなのだ(失活という)。
 アルコール消毒、と言うように、「エタノール」消毒に限定した物ではない、ということを知ってもらいたい。ほかのアルコールでも良いのである。

 実は、医療機関や関連研究施設でも、エタノールではなくイソプロピルアルコール(以後イソプロと略)を使って消毒することがある。あまり知られていないが、珍しいことではないのだ。イソプロはエタノールより炭素が一個だけ多いアルコールで、分類ではエタノールと同じく低級アルコールに分類される。低級と言っても、価値が低いと言うことではなくて分子として小さいアルコールの意味である。だから、その性質はエタノールとよく似ていて、水によく混ざるし可燃性であることも同じ。そして、ここで重要なことは、消毒薬としての効果も同等、あるいはそれ以上に強いのである。

 いささか古い論文になるが、イソプロがエタノールと同等、あるいは、それ以上の殺菌効果をもつことを調べた報告がある(国立京都病院、出井氏、1960年2月)。それくらい古くから知られているのである。
 ↓ 
https://www.jstage.jst.go.jp/article/iryo1946/14/2/14_2_98/_pdf/-char/en

 近年の研究で、ノロウイルスを失活させる効果はエタノールに劣るという報告があるが、効かないということではないし、コロナウイルスに関する報告は少し検索しただけでは見つからなかった。新型コロナに関しては現在進行中で、まだわからないとしか言いようがない。でも、たぶん効くはずだ。

 このイソプロ、消毒用の製品としてもドラッグストア等で売られているらしいが、残念ながら、Mは見たことがない。消毒用アルコール製品の添加物としてイソプロが使われているものは「消毒用エタノールIP」などという名前で知られている。

↓ 医療用としてのイソプロ情報は次のサイトを参照。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00047422

 ところが、それら消毒用とは全く別の用途、器具洗浄や溶剤の用途でも売られていて、これは消毒用ジャンルには入っていない。ネットでちょっと調べてみてもらえばすぐに出てくるはずだ。IPAなどという名称で4Lサイズ2000円弱の製品もある。純度は99.9%。これを使わない手はない、と思うのだ。

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 実は、その昔、Mが生体材料を使って実験研究していた当時にも、消毒用として使っていた。もちろんエタノールも使っていたが、イソプロの方が断然安いので、使い捨てするときにはイソプロ、器具などの消毒保管にはエタノール、と使い分けていた。また、上で紹介した論文にもあるが、細菌に対する消毒効果はエタノールが70~80%希釈液である必要があるのに対して、イソプロは40~50%で良いので、もともと安い上に濃度も低くて済んで経済的だった。汚染された場所に撒いて消毒、というような用途にも使えて重宝していたのである。

 ただ、エタノールに比べて臭いがきつく、脱脂作用も強いので指が荒れやすい、という点には注意が必要だ。狭い部屋で量を使うと頭痛がするほど臭い。
 とはいえ、たとえばドアノブや手すりなどを拭いたりするには、多量に使うことはないから問題ないし、そのときは臭いがきつくても、揮発して消えてしまうのでそれほど気にすることはない。

 アルコール消毒液を玄関に置いておきたいけど、売っていない。と困っている方、イソプロで消毒綿を作るのも一案だと思うのです。

 簡単な例として、Mが当時行っていた方法を記してみる。
 広口ビン(当時はネスカフェの大ビンを使っていた)にカット綿(ドラッグストアで売っている)を硬く詰め込み、そこに水で50%に希釈したイソプロをひたひたに入れる。ただこれだけである。水は、飲み水で良い。
 蓋をしっかりと閉めておけば、イソプロが飛んでしまうことはない。使うときは少量のカット綿を抜き出して、よけいな液はビンに絞り戻す。絞った物が消毒用アルコール綿ということだ。ほとんどの体積が綿で占められているので、アルコール液は少量でも済む。全体容積の3割ほどだ。
 ドアノブや手すりなど、ちょっと気持ち悪いな、と思う場所や、バッグの取っ手など、気になるところをサッと拭いて捨てられるから、けっこう便利だと思う。
 50%濃度で良いのであまり気にしなくて大丈夫だと思うが、塗装やプラスチックには、もしかするとイソプロで白く変質するものがあるかもしれない。気になる部分は、一度目立たないところを拭いて試しておく方が良いかもしれない。

 清潔を気にしすぎて精神的に参ってしまうことが無いよう、気楽に、そして的確に、キレイを保つ方法を選んでいくのが良いと思う。

 

 そうだ、絶対守らなくてはいけないことがあった!!
 原液に対しては、火気厳禁! これだけは守ってほしい。「たばこ吸いながら」なんて、もっての外です。アルコールは燃えても炎が見えにくいので、ひどい火傷を負うことになる。
 くれぐれもご用心を。