理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

チャリ前輪 片減りの謎!

Mです。
今回は、かなり些末なことでお目を煩わせることを、最初におことわりしておく。

 愛用のチャリで走っている時、前輪タイヤの左側が右側よりも減っていることに気づいたことから、その理由を考えてみた、というお話。


 Mは、都内を、ほぼ毎日チャリで移動する。その距離は日によって大きく違い、短い時で4Km程度、多い日だと30Kmくらい走る。砂利道などあるわけもないから、都内のチャリは至極便利。電車の移動よりも確実に早い。なにしろ、目的地に直行出来るので、ムダがない。

 そんなチャリで走り回っていて信号で停止した際、ちょうど道路の白線の上に前輪がのっていた。前かごの隙間からタイヤの輪郭が見える。そのとき、おやっと感じた。よく見ると、中心線より少し右側には溝がいくらか残っているのに、左側の同じ位置はツルンとしている。(写真がショボいけれど、下がその様子)

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 作為的にするつもりはないが、画面上の輪郭を線でプロットしたら、下のような感じになった。矢印の部分が、白線に浮かんだタイヤのシルエットで首をかしげた場所である。

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 極端ではないが、右にへこみがあるのは判っていただけると思うのだ。

 このチャリは、もう10年くらい乗り続けているから、後輪はすり減って中央が平らになっていて溝は全くない。もう少しでゴムが終わってビードが出てきそうなくらいだ。一方の前輪は、さすがに駆動輪ではないので摩擦の度合いがだいぶ小さい。最初の溝模様がとりあえずは残っている。ただ、進行方向右側のトレッドパターンははっきりしているが、左側は中心寄りがだいぶ不明瞭になっている。
 この差が、疑問だったのだ。

 都内の大通りは、車道左側に狭いながらも自転車走行レーンを設けてくれている。
歩道を思いっきり漕いで走るのは危険だから、このレーンのあるなしに拘わらず、基本的にMは車道走行である。もちろん、左側を走る。
 舗装路面は、排水効果を保たせるために必ずセンターライン位置が最も高く、両側に徐々に低くなっている。だから、左側を走るときは、路肩のコンクリート製排水帯はもちろんのこと、必ず右が高い傾斜面だ。ということは、垂直に立ち上がった姿勢で自転車が走っているのだから、タイヤの断面で考えると、進行方向右側がいつも斜面の高い側と接していることになる。そうだとすると、タイヤの右側がより地面を強く押しつけている。これは、摩擦でゴムが減るという事実からすれば、右側がより減りやすい、ということにつながるはずなのだ。

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 上図の赤矢印の先あたりがいつも路面と接していて、タイヤの右半分の方が摩擦をより多く受けているはずだ。

 しかし、実際には左側の方が早く減ってきている。
 なぜなのだろう、と考えてしまったのである。

 前輪が片減りするのは、自動車でも同じである。その理由は、旋回時に、前輪が曲がる方向に内傾することでスムーズにカーブを切れるようにしているから。例えば左カーブだと左リタイヤの左側と右タイヤの左側が回転中心側に向いて傾斜するから、この部分が斜めになって地面に擦れる。右カーブではこの逆。そのため、クルマの前タイヤは両側の山が斜めに削れていくので、だんだん内外の縁が丸くなってしまうのである。後輪は、カーブしても傾かないからほぼ平らに地面と擦れ続けている。そのため、後輪は平たく減っていく。こんな減り方をそのままにしておくと、前タイヤばかり端が丸まってしまうので、走行性能が悪くなる。そこで、タイヤローテーションが大事になってくる。クルマが曲がる仕組みで、整備屋さんの仕事を生み出している、という大切な?現象だ。(とはいえ、Mは全て自分でやってしまうからこの程度で整備屋さんは要らない)

 では、チャリではどうだろう。
 自転車でも、左右に曲がるときには前輪が傾く。しかも、ある程度速度がある状態で曲がる場合は、ハンドルを廻すのではなく車体自体を身体ごと傾けてペダルを漕ぎながら曲がる。その時、後輪も傾いているが前輪はハンドルもやや回っているので、曲がる側が後輪よりも更に強く地面に擦れる。だから、直進時よりも、旋回時にタイヤの片側がより強く且つ長時間地面に擦られているのではないか、と考えた。

 ただ、普通に走っているとき、右にも左にも同じ程度の回数曲がっているはずだから、そんなのは理由にならない、と最初は思った。

 しかし、よく考えてみると、速度を上げて走っているときは、左折はそのまま一気に走れるが、右折は出来ないのだと気がついた。
 大きな通りでは、右折は2段階なのだ。まず道路を渡って一旦停止。信号待ちしてから直進で右方向に進む。つまり、高速?で右カーブを突っ走ることは無いのである。

 そう考えて自分のチャリ行動を思いかえしてみる。
 左カーブは、大抵、ペダルを強く漕ぎながら一気に曲がっている。だから、前輪タイヤの左側はその度に悲鳴を上げているはずなのだ。細い道なら、右カーブでもそこそこのスピードで回ることはあるが、その場合も、回転半径を考えると右回りは道路の幅が加わるだけ大きくなる。左カーブは回転半径がグッと小さいのだと、あらためて気づいた。

 前輪左側は、左カーブという試練を常に受けているだ。いっぽう右側は、その試練が殆どなかったはずだから、10年という年月の間に、ゴムの減り方は左右で徐々に大きな差を生んだ、というのが推察である。

 この理由付けは、たぶん間違っていないと思う。

 年季の入った自転車を使っている方々、前タイヤを観察してみていただきたい。もしかすると、顕著な差があるかも知れない。

 Mの愛車は、パンクしにくいタイヤ、というのを履いている。ゴムが硬くて厚めになっている。普通の日は良いが、雨の日はかなり滑りやすい。マンホールの多い東京では、雨の日に何度もマンホールの蓋で滑ったことがある。幸いにしてケガをしたことはないが、自転車を放って飛び降りたことは幾度となくある。


 そろそろ梅雨が近い。
 自転車でスッテンコロリンしないように、注意しないと。