理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

ホント?! ハトの足指欠損は人毛被害だって・・・

Mです。

東京では、至るところにハトがいる。 

f:id:otto-M:20200716230723p:plain 青い鳥(aoitori.be)さんから拝借

 朝早く、ゴミ出しされた場所にハシブトガラスが集まって、めざとく残飯の入った袋を見つけて突き破り、フライドチキンの骨をくわえて電柱に飛び上がっていく、なんて光景はしょっちゅうだ。ところが、人通りが多くなる頃には、カラスたちはもう地面に降りてはこない。ヤツらは、人が好きではないのだ。少しくらいは、怖いのかも知れない。

 一方で、人通りが多くなった頃になって、カラスが荒らしたゴミ置き場にやってくる鳥がいる。ハトである。こちらは、袋を突き破れるほどのくちばしは持っていないし、カラスに襲われることもあるから、決してカラスの出張る時間帯には現れない。その代わり、ゴミ収集車も仕事を終えた頃になって、荒らされた家庭ゴミからこぼれ出た「食えるもの」をついばみに来るのである。チョット見では何も落ちていないように見えるアスファルト面に、何羽ものハトがやってきていてチョンチョン突っついているのは、よく見る光景である。人やクルマが来ても、サッとその時だけ飛び立って、すぐまた戻ってきては突っつきを再開する。それほどに、人を怖がらなくなっているのは、人がハトを襲わないから。それどころか、いろんなところで(目立たないように隠れて)えさをやる人も多くいるから、人は良いヤツだと思われているに違いない。

 そんなハトを、一般的な日本の分類用語では、ドバトと呼んでいる。
 欧州大陸からアジアにかけて至る所に棲息しているカワラバトという種類のハトを、人間は5000年以上前から家畜化していたらしい。この家畜化されたカワラバトが即ちドバトで、後世には、伝書鳩として重宝したりする時代もあり、今でもなお愛好家が多い。
 お寺に住み着いたりしているから「堂鳩;ドウバト」と呼ばれていたものがドバトと詰まった、とか、地面に降りることが多いから「土鳩;ドバト」だとか言われているが、本当のところはよく判らない。
 いずれにしても、日本全国、超寒冷地や山奥を除けば、どこにでも居る見慣れた鳥なのだ。

 そのドバトについて、東京で多く見かける中で気になっていたことがあった。

 公園のベンチなどで一休みしていると、食い物を持っているのではないかと、10羽程度のドバトたちがやって来ることがよくある。そんなとき、5回に1度ほどの頻度で、異様な歩き方をする個体に出会う。よく観ると、足指が欠けている。欠け方も様々で、後ろ向きの1本が欠けている個体は見たことがないが、前3本については欠け方が多様だ。欠けた前指のある足ではうまく地面が蹴れないので、歩き方がギクシャクする。
 田舎でもそこそこドバトには出会うが、こんな指欠けは見たことがなかった。
 都会では有毒物が多く、中毒を起こして末端壊疽を起こしたのだろうか、とか、人を怖がらないのが災いして人間にやられたのか、とか、いろいろ想像していた。

 そんなとき、ちょっと調べてみようか、と、ネットで 「ハト 足指 欠損」 と検索してみると、なんとちゃんとした論文発表でハトの足指欠損の原因推察報告が出ていたのである。
フランスの研究グループが行った研究で、BiologicalConservationに昨年11月に掲載されていた。なんと、美容室の多い地域で足指欠損が多発している、という驚くべき報告だった。
下記が、それを報じたAFPの記事である

https://www.afpbb.com/articles/-/3254684

 人の毛髪がドバトの指に絡まり、食い込んでとれなくなって指が壊死した、と推測している。

 日本では、池や川縁で釣り糸が絡みついて弱ってしまった水鳥のことが時々報じられる。釣り人のマナー問題として批判されているが、なかなかゼロになることはない。プラスチックゴミの海洋汚染と同根で、ヒトのいい加減さが野生動物に危害を加えているという点で、みんながしっかりと考え、行動を修正していくべき事柄だと思っている。

 ところが、毛髪となると、ちょっと戸惑ってしまう。

 美容室で毛髪をめったやたらに捨てるなんてことはあり得ないし、短い毛髪なら絡むことはないから足指欠損につながるはずはない。フランスの報告がウソだとは言わないが、日本でもそれと同じことが起こっているのだろうか、と、いささか疑問に感じるのだ。

 そもそも、毛髪が足に絡んでいる個体を確認したことがないので、なんとも判断しようがない。日本で鳥の研究観察をしている方々の意見を、聞いてみたいと思うのである。

 東京では、ドバトが巣作りしたり住み着いたりしないように、コンクリート建造物の隙間などに目の細かい網を張っている場所を、よく目にする。実は、Mは、これが足指欠損の原因のひとつなのではないかと思っていた。東京のドバトたちの住環境は良くない。少々居心地が悪くても、留まらざるを得ないこともあるだろう。より良い住まいを求めて立ち寄った場所に細かい網が張られていたら、時には指が入ってしまって引っかかり、慌てて飛び立つときにケガをすることもあるに違いない。ケガをしても薬もなければ絆創膏もない。しかも、鳥は足の血流が乏しいから、傷が治りづらいはずだ。細菌感染すれば、当然、炎症がひどくなって指は落ちる。
 Mは、東京の足指欠損ドバトは、ハト除け設備の被害者なのではないか、と疑っているのである。

平和の象徴といわれているドバト。一方で、糞害で敬遠されているのも事実。
お互いに迷惑がかからないような棲み家を見つけられると良いのだが。