理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

画像合成ソフトの進化 驚異!? 

Mです。

 写真合成ソフトの進化が「ヤバイ」!!

 画像処理、音響処理ソフトなどをいくつも購入しているサイト(ソースネクストさん)から、画像合成ソフトの案内が来た。以前から何回か来ているが、だいぶ簡単になってしかも精度が上がったと記してあった。仕事上、マニュアルづくりなどで機器や車輌の写真を組み合わせ、貼り合わせて使っているが、時には、処理して合成写真にすることもある。
 マニュアルを作る対象の装置について、スイッチオンの状態しか撮っていなかったのでオフ状態のランプを色変換して作ってしまったり、人の手をはめ込んで操作手法を合成したりなど、いろいろやっている。その際、色調が違っていたりすると見た目がへんてこなので色調変換して違和感を無くしたり、はめ込んだ境界面が目立つのでぼかしを使って細工したりとか、結構苦労することもある。だから、合成ソフトなるものの「お知らせ」は、毎回気にしてチェックしていた。ただ、解説を見て、買う程のことはないな、と、これまでは無視していた。
 ところが、である。
 今回の紹介ソフトは(以前も紹介が来ていたものの改良版)、サンプル画像の内容を見て、大きく進歩したことが目に見えた。はめ込みした画像と、土台の画像の色調調整などがかなり巧妙になっていて、これまでのものだと若干違和感が残っていたのに、それが全く判らない。ごく自然に ” つながって ” しまっているのだ。

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 上の写真は動物の写真なので肖像権の問題もないだろうが、他にも紹介されているサンプル画像には、存在していない人を風景にはめ込んだものや、表情や角度が違っている同一人物の写真を切り張りして、正面を向いて微笑んでいる画像に作り替えたり、といったものがいくつも並んでいた。正直言って、普通に見ているだけでは全く違和感がない。100%オリジナル画像だと信じてしまうくらい、うまくできている。
 もちろん、それなりに時間をかけて作ったのだろうが、ここまで来ているなら、買いかな、と今回は思った。

 マニュアルなどの写真を、手持ちのものだけでいくらでも作り替えられそうな気がするからである。作業が忙しい中で写真撮りしながら進めていくとき、そのまま使える写真はそれほどない。だから仕方なく、不要な人を切り取って文字枠をはめ込んだり、いろいろと細工する必要がある。しかし、合成ソフトを使って撮り貯めてある画像から都合の良い画像を作り変えてしまえるのなら、そんな苦労はほとんど要らなくなってしまうのだ。場合によっては、時期も対象も違っている画像からパーツを切り出してきて思い通りの解説写真にしてしまうことさえ出来そうだ。
 技術の進歩、バンザ~~イ!!

 と、ここでちょっと怖くなった。
 ということは、有ること無いこと、いくらでも画像を加工して証拠写真を捏造することが出来る、ということなのか?

 スクープ記事中心の写真週刊誌が、大流行した時代がある。
 芸能人のスクープ映像を仕事ネタにしていたカメラマンが、たくさんいたはずだ。そして、その映像は真実だから価値があると見なされて、撮られた側の人権、プライバシーをほったらかしにして高値で売り買いされていたのだろう。良くも悪くも、真実の価値、だったからだ。
 それが、いくらでも「かんたん捏造」してしまえる環境が出来てしまったら、出回っている画像が真実かどうかは、もう判断しようがない。既にそうなってしまっている可能性がある今、ネット上の情報はもちろん、印刷物の画像でさえ、見ている者にその真偽を判断することはできない、ということになってしまう。

 この状況は、果たして許されるのだろうか、と考えてしまった。

 以前の合成ソフトは、改変後の画像を強拡大していくと、画素サイズが違っていればピッチの違いで境界線が判ったり、境界部分の明度がそこだけ少し違っていて、はめ込み輪郭が判ったりした。ところが、上述のサンプル画像は、拡大していっても貼り合わせたであろう輪郭を特定できなかった。それほど巧妙に調整してしまうのだろう。

 使いたい気分は大きいが、危険な動きに荷担しているかも知れない、という妙な後ろめたさも生まれている。

 世の中には、画像の真贋を見極めるプロ集団が、それを生業にしているという。そういう人たちには、それなりの特殊技術とツールがあるのだろう。ただ、真偽を明らかにして欲しければ、そういうプロに頼めばよいのだ、という考え方はどうかと思う。

 技術を進歩させるのなら、一方で生まれてくるデメリット、つまりこの場合は、フェイク画像を判別する手段も同時並行で用意しなくてはいけない。例えば、コピー機にかけるとCOPYと浮き出てくる特殊印刷のように、フェイクディテクター・アプリを付属して販売するのである。このアプリで画像を取り込むと、合成が行われれているかどうかチェックしてくれるとか、このアプリをインストールしておくと、PC上で画像コピーしたとき、合成画像ならその境界がはっきり見えてくる仕掛けとか、である。

 フェイクをギャグにして面白おかしくしているだけなら、笑って観ていられる。しかし、フェイクであることが判らなくなったとき、人は何を信用すればよいのか。

 笑える笑えないの問題ではない。

 報道されていることでさえ、どこまでが真実なのか判断できなくなったとき、文化的手法は全て、その信用を失ってしまう。

 ネットはほとんどウソだ、と言う人がいる。

 そんなはずはないが、そう言いきれない部分も、確かにある。

 これからは、真偽を見極める手法、ツールが、いろいろな分野で最先端のビジネスアイテムになっていくかも知れない。


 コワイ世界である。