理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

あっ、この目つき どっかで見たことが・・・

Mです。

 新聞広告に、結構昔から知られている「興和」さんのビタミン剤が載っていた。
 そしてそのパッケージに、特徴的な振り向き目線のモノトーン画像。
 ずいぶん以前からときおり目にしていて、そのたびに、この目つき、どっかでみてるよなぁ・・・と、思っていた。

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  ↑ Q&P i Plus パッケージから拝借


 そしてついさっき、フッと記憶箪笥の引き出しから、昔懐かしい女優の姿と名前が飛び出てきた。60年、70年代に活躍したイタリア女優、クラウディア カルディナーレさんの目だった。彼女の映画は2本くらいしか見ていないのだけれど、強くてきれいなお姉さん、の印象がある。

 小学生Mは、田舎だけれどバスで15分も移動すれば市の中心部に行ける程度の地域に住んでいた。田舎でもテレビの普及に勢いがついてきた頃で、今のように映画がテレビでどんどん見られる様な時代ではなく、まだまだ、映画が映像文化の中心にいた時代だった。そもそも、当時のTVで映画の予告宣伝があった記憶すら無い。映画は、映画館でしか見られない特別なものだったのである。
 バスで15分(運賃20円だったような?)の市街地中心部には、映画館が2カ所あった。 駅に近いO館は東映東宝、松竹系の邦画と供給洋画を見せていて、少し離れたS館では、日活系、大映系の邦画を主に扱っていた。自宅近くのトウガラシとタバコを売っている店の前に映画館の看板がいつも2枚並んでいて、O館とS館の出し物がわかるようになっていた。年に数回だが、見に行ったのは大抵O館の上映モノで、S館のものは、やくざモノと日活ロマンポルノのポスターが多くて、小学生Mの心臓をすこしばかり高鳴らせるものの、行く”勇気”は無かった。
 そのO館で上映されていた映画の中に、ブーベの恋人というイタリア映画があって、そのポスターにあった女優の目が、今日いきなり出てきたのだ。

 間違いないよな、と思って、ウィキさんをググッてみたら、まさにドンピシャの白黒写真が載っていて、これまた驚いた。向きは逆だが、絵とよく似た角度で振り向いている写真。そのまなざしが、少しキツクて心の中を見透かされるかのような激しさがある。

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  ↑ Wikipediaさんから拝借
 ↓ 出元はココ https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%AC

 興和さんのビタミン剤は、疲れの回復をうたっている類いのものだから、「元気出して! しっかりして!」の意味で、強いまなざしの絵を使っているのかも知れない。眉毛から目の辺りまでだけで強い印象を残すパッケージの絵は、傑作だと思う。
 パッと閃いて一発で描けたのか、それとも、何十枚と紙を丸めた末に生まれた一枚なのか、絵の作者に会えたら是非とも聞いてみたいものだ。

 ところで余談だが、Mが高校まで過ごしていた地域では、上記のトウガラシ屋さんのように映画館の看板を置いていた店では、枚数限定で割り引き入場券を売っていた。O館の券ください、と行くと、オバアサンが薄暗い障子の奥から、以前あったバスの回数券のようなものを出してきて一枚ちぎってくれた。記憶では3割ほど安かったと思う。どの地域でも、多分同じだったのだと思う。特定の業務、つまりは宣伝業務を支援している報酬として、映画館の入場券販売が特権として与えられていたのだと想像している。看板の置き賃はゼロでも、映画の割引入場券が一定枚数配られていて、知っている者はそれを買いに来るのでそれが看板設置の収入として懐に入る。そんなカラクリだったのかも知れない。
 小学生Mは、そのトウガラシ屋で買うと安く映画が見られることを、隣の家のお兄さんから教えられていた。6、7歳上の彼は洋画ファンで、雑誌「スクリーン」を入手すると垣根越しに手招きしてくれて、新しい映画のことをいろいろと教えてくれた。その彼が、ほかの奴には言うなよ、と前置きして、割引券のことを教えてくれたのである。みんなが知ってしまうと、前評判の高い映画を見たい者がよそからもやって来て、すぐ売り切れてしまう、というのが理由だった。トウガラシ屋さんには、いったい何枚割引券があったのだろうか。謎である。