理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

アイドリングストップ 一般道走行時の40%以上は停車してるんだっ!

 Mです。

 昨日、仕事で浅草付近から埼玉県春日部市まで往復した。ほとんどの行程が国道4号線。通り慣れた道で、交通の滞りもいつもと同じ。片道およそ40Kmを、目的地までの下り方向は85分、帰りの上り方向は65分で走った。
  先週から、自分の車がトラブルで整備工場入りしているので、軽のレンタカーを借りて動きまわっている。車種はNISSANのDAYSで、ちっちゃい。ODOメーターを見ると、軽としてはもうご老体だろう、と思える7.5万Kmを指している。借りている期間中にThe Endにならないことを祈るばかり。

 Mは、洒落た機能の付いているクルマに乗ったことが無いので未経験だったことが、このクルマで経験できた。自動のアイドリングストップ機能が装備されていたからだ。

 これまでも同装置が付いた代車を使ったことはあるが、いつもOFFにしていたので使用経験が無かった。交差点で止まるたびにエンジンを切るのは、燃料消費は確かに減らせるだろうがバッテリーの消耗が進むので、代車でバッテリー上がりになるのはイヤだ、ということから使わないでいた。なにしろ、都内の運行では、しょっちゅうエンジンが止まってしまうからだ。
 今回のクルマでも、その条件は同じだが、昨日は幹線道路だし渋滞の状況もひどくないことを経験的に知っていたので、停まるのは信号待ちだけだろう、という予想で「アイドリングストップ機能」を試してみたのである。

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 その結果、予想以上の累積ストップ時間にビックリ。行程あたりのアイドリングストップ時間が累積計測されているので、それを面白おかしく観察しながら走ったのだが、なんと、行きの85分中41分(約48%)、帰りの65分中28分(約43%)が停車時間と出たのだ! 信号待ちは1/4くらいの時間かな、なんて思っていたのだが、そんなもんじゃなかった。予想の倍近く停車していたと判ったのだった。

 幹線道路の交通でこれだけ多いのだから、都内走行の場合は、半分以上の時間止まっているのではないかと感じた。しかも、信号が青でも動けないことがままある。トロトロ動いているときも走っていないのと変わらない、と考えると、ちゃんと走っている時間の2倍くらい「ほぼ停止状態」にいるのかもしれない。

 この事実を見せつけられると、クルマでの移動はまさに無駄の積み重ねなのだとわかる。
 ドック入りしている我が家のハイエースには、アイドリングストップ機構は付いていない。これからは、長い信号待ちがわかっているときくらいはエンジンオフしよう、と考えている。

 ところで、クルマ社会は無駄ばかりと判ってしまったものの、現実を思えば、公共交通機関を使って大荷物を持ち歩くことは出来ないわけで、走っているクルマがみんなで無駄をしているとは言えない。
 トラック輸送が事実上のメインになっている社会状況は変えようが無い。コロナ禍で在宅ワークが定着したため、その輸送手段はさらに重宝がられ、家で仕事、買い物はネット宅配、移動は個室で安全なタクシー、・・・で、生活の多くの部分がクルマに頼った社会構造になってしまっているのだ。

 エコ推進≒CO2削減の世界的な掛け声の下、エンジン車を廃して電気自動車化を推し進めてはいるけれど、その多くは自家用車クラスの話である。世の中の物流はほとんど大型車両の運行に頼っている。大量幹線輸送は鉄道や船で行ったとしても、最終目的地に移動させる部分はトラック輸送に頼らざるを得ない。そう考えると、総走行時間の半分近くを占める停車状態の間、エンジンを停めてしまうという発想はとても重要なことだとわかった。とはいえ、ガソリン車と根本が違うディーゼルエンジン主体の大型トラックでアイドリングストップを採用するのは、実用面でハードルが高い。       

 市中を走り回る宅配のトラッククラスなら、エンジンが小さく排ガス浄化装置も単純でなので、アイドリングストップ機能を付けたクルマは既に多く出回っている。しかし一方、幹線輸送に使われている積載量10tクラス以上のトラックは、ドイツで開発され世界中で使われている尿素を用いた排ガス浄化システムを搭載していて、このシステムは頻繁にエンジンストップをするとトラブルの元になる。また、エンジン始動に大電力を使う大型ディーゼルエンジンは、それでなくてもバッテリー負荷が大きく、アイドリングストップ機構は、搭載しているバッテリーへの負荷が厳しすぎるのだ。

 電気自動車化を進める流れは変えようがない。ただ、世の中の幹線物流を支えているトラック輸送を考えるとき、現状のディーゼルエンジンを廃止するのは現実離れした発想だと思う。そうではなくて、軽油燃料に頼ってきたディーゼルを、より排ガスがクリーンな液化天然ガスや濃縮天然ガスで動かす方向に変えて、排ガス処理装置の簡略化が大型車両でも取り入れられるようにし、バッテリー強化でアイドリングストップを使えるようにする努力は必要だろうと思う。

 当然、国主導の作業になるのだと想像するが、近いうちにエネルギー産業の大転換が起こるだろう。石油業界、ガス業界、電力業界、の3者が協同で総合エネルギー企業として再編されていくと思うのだ。そうしないと、社会インフラである給油、給ガス、給電システムが、自動車産業の変革に添えなくなってしまう。日本中にどれだけあるのか判らないが、ガソリンスタンドがエナジースタンドに模様代わりして、液体、ガス、電気のどれでも補給できる設備に変わっていくのだと想像するのである。
 そんな社会が、もうすぐそこに見えている気がする。