理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

アナログカメラ と スマホ がくっついて・・・

Mです。

エッ という記事に出会った。
 アナログカメラの裏蓋にアタッチメントを付けて、スマホとカメラをドッキングする、というアイデアだ。J-CAST トレンドからのニュース配信で、4月10日18時のものだ。

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  ※ https://news.infoseek.co.jp/article/jcasttrend_20222434949/

 紹介されている画は、多分1970年代を代表するカメラの一つNikon F2だろう。重厚感がありながらシャッターが軽くて使いやすい人気機種だった。ボディーのみで7万円超した代物で、欲しくてたまらなかった機種だが、懐具合がどうしてもそこまで到達せず、断念した機種だ。結局Mは、より小型で野外撮影に好適なOlympus OM-1を落とし処にした。こちらは、標準レンズ付きで5万円台だった。当時の一般奨学金が1.2万円とかだったから、自炊でケチった金を貯めて、1年がかりでどうにかOM-1に到達したという懐かしい思い出だ。

 それ以来、デジタルカメラが主流になるまでにアナログカメラを3台使ってきたが、そのほかに、以前紹介したステレオカメラを含めていわゆるレトロなカメラを5台ほど所有している。面白い機能を持ったカメラばかりで、知人から譲ってもらったりハードオフのジャンク棚で見つけてきたもので、いくらか手を加えて修理し、すべて現役である。
とはいえ、今ではアナログ撮影自体、よほどのこだわりが無い限り手が出ない。
 いまアナログ撮影しようとすれば、フィルムの入手も結構な金額になるし、撮影後の現像期間と代金も考え合わせると、撮った画像を目にするまでのコストは、結構な”道楽”の領域に入ってしまった。何しろ、デジタルカメラで撮った画を見るまでにかかるコストはほぼゼロなのに、アナログカメラの画を見るまでには、フィルム代と現像代だけでも1,000円以上かかるのに加え、プリントするとその代金もかかる。しかも、1週間は撮った画の出来映えが判らないまま待たなくてはならないのである。Mの場合は、現像&プリントのセット料金が格安だったジャンボグループをよく利用していたが、それでも36枚撮りで画を受け取るまでにおよそ1,000円かかっていたと記憶している。どんな画になっているかとワクワクして待っていた時間が楽しかった、という側面もあるものの、時には思っていた画に遙かに及ばず、ガックリときたこともある。
 いま想えば、アナログ写真には、そんな悠長なところがあって、それが良かった。

 ところが、デジタルカメラが世に出て来て、あっという間に銀板写真(アナログ写真)の質に追いついてしまった。当初は、プロはやはりアナログ、みたいな雰囲気があったものの、10年しないうちにそんなのは流行らない世界に突入して、プロ仕様の機種と解像ソフトが登場し、後加工も自由自在になっていくと、もはや世の中の写真はほぼすべてデジタルになってしまった。何しろ、現場写真がほぼリアルタイムでネット送信出来るのだから、もはやアナログの出番は無いのである。PCの進化とインターネットシステムの進化が、カメラの世界を根本から変えてしまった、という流れだ。

 とはいえ、そんな時代になっても、アナログカメラの機械には、相も変わらず一部のマニアからの熱い視線が変わること無く注がれてきていた。それは何かというと、レンズの特性である。
 アナログ時代のカメラには、各メーカー毎に特徴的なレンズの癖があった。特に伝説的なのはライカのレンズで、同じ被写体を同じ露出、同じシャッタースピードで撮影しているにもかかわらず、撮れた写真を比べると誰が見ても判る差が現れた。特にレンズを解放絞りで撮ったとき、写真周辺の微妙なボケ具合が何とも柔らかで心地よい絵に見えた。レンズに詳しい大先輩に教わったところによると、その特長を産み出していたのはドイツ産の土(つまりガラス原料)にあり、クッキリし過ぎずかといってディテールはしっかりと表現できるレンズが出来たのだという。さらに加えてライカ独自の特殊研磨技術があり、レンズの最大の難点である周辺収差という画像のゆがみを、消しきらずに程よく残したのがライカレンズの特性だったそうである。日本メーカーのカメラも世界的に高評価だったが、画の味、という説明できない特長ではどうしても届かなかった、と聞かされた。
 
 そんな流れがあって、デジタルカメラがどんどん進んでいく中で、昔のアナログカメラのレンズが使える、という触れ込みのデジタルカメラも生まれてきた。アナログユーザーは、結構交換レンズに凝っていたので、近接から望遠まで3~5本くらいの交換レンズを持っている人々が多くいた。それらのレンズは、それなりに特長を持っていたわけで、それをデジカメにも使いたい、と思うのは当然のこと。それに応じて、焦点距離を調整してデジカメにも使えるようにしてあげよう、という流れが生まれたのである。
 とはいえ、これはあまり上手くいかなかった、と受け止めている。結局のところ、フィルムに像を結ぶためのレンズ特性と、デジタル受光素子に光を届けるためのレンズ特性は、同一では無かった。無理矢理くっつけたアナログ時代のレンズは、デジタルカメラという箱では、想像したほど昔のレンズ特性を再現してはくれなかった、というオチ。何とも悔しく、残念な結末だった。

 では、今回報じられた新手法はどうだろうか?
 詳しい仕様が示されていないので判らないのだが、簡単な説明によると、今回の発想は、レンズを活かしたいという前段の発想とは異なり、アナログカメラという機械そのものを
そのままのカタチで活かす、という発想だ。つまり、無理矢理焦点距離を調整するとかは行わず、カメラの命であるレンズからフィルム面までの鏡胴部分をそのまま温存し、フィルムの代わりにデジタル受光素子面を裏蓋として装着するというものらしい。しかも、撮影は連結したスマホに行わせる、という仕組みだ。この部分がまだ良く理解できないのだが、スマホアプリの性能次第、ということなのだろうか。だとすると、その性能は随時更新、進化していくだろうから、アナログ機械部分とデジタル解析機能の合体、という観点で見ると、新しい展開が訪れるのではないかと期待が膨らむのである。

 価格も、アタッチメントセットで2万円台前半。是非試してみたい、と思う。

 ただ、最大の問題点は、Mはガラケーしか持っていない、ということ。
 このままでは、試すことが不可能なのだ!!
 しかたがない、Y子のiPhoneを借りようか・・・