理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

熱中症はヒトのみにあらず! セミよ おまえもか !?

Mです。

暑い、暑すぎる!

 年々、夏の厳しさが増している気がするのは自分だけではないと思う。
 田舎のみどり多い地域でさえ、2024年は35℃が珍しいことではなくなっている。吹きすぎる風がいくらかは涼をもたらしてくれるが、それでも外仕事をするには危険を感じる。ましてや、コンクリートアスファルトで地表が覆われ、角柱構造物の内部を冷やすために排出される熱がこもる都会部ともなれば、ヒトの背丈付近の外気温は軽く40℃を超している。場合によっては50℃を越えているかも知れない。チャリで走り抜ける時の吸気が気道を焼きながら肺に入っていく感覚は、もはや灼熱地獄とはこのことか、と思わせる。

 これも年々強く感じていることだが、梅雨はもはや東北地方以北にその中心を移しているように思う。特に今年の梅雨は、いわゆる梅雨前線と呼び慣わされている南西から北東に斜めに停滞して長く雨を降らせ続ける気象条件が東北地方に長く留まり、山形県秋田県地域に多大な被害をもたらした。氾濫するなんて思ってもいなかった、と山形出身の知人が言うように、最上川さえ水を溢れさせてしまったのだ。その長雨は北海道にも及んでいて、「梅雨がない」と言われ続けてきた彼の地にも、これまでの関東以西の梅雨と同じような気象現象をもたらしていたように思える。NHKの報道にも、今年に限っては「梅雨のない北海道にも」という表現が使われていなかったように思う。
 これまでの常識的な梅雨は、もはや日本列島には存在しないのではないだろうか。もちろん気象庁さんはなかなかそんなことは言わないのだろうけれど・・・
 
 そんな気象条件のせいなのか、ここ数年気になっているのが6月以降のセミの発生時期のおくれである。

Wikipedia ニイニイゼミ より拝借


 もの心ついてから半世紀以上、Mは野の虫たちと近しく交わってきた。ムシ小僧というわけではないが、草木も含めていきもの全般に興味が深いので、いろいろな生きものたちとつきあい、特に目にとまりやすいムシたちを見てきている。若い頃4年間過ごした札幌で、本州とかなり違うムシたちを目にしたことが更に刺激となり、生息環境とムシたちの出現次期に注目するようになった気がする。関東に定住してから40年は、夏のムシたちの出現時期の変動を、注視というほどではないけれど、毎年気にしながら観察してきている。
 そんななか、去年気になったのがニイニイゼミの出遅れだった。
 梨畑の多い地域で育ったので、セミの個体数がめっぽう多い環境が身にしみていて、毎年6月に入ると何となくニイニイゼミの初鳴きに注意を払ってきていた。それまでの経験で、ニイニイゼミは6月半ばが自身の常識だった。しかし去年、それが10日ほど遅れた。年々梅雨時期が不安定になってきているとは感じていたが、それでも6末になってニイニイゼミが鳴き出すという経験がなかったのである。そして今年、梅雨が来ないのではないかと思っている中で彼らの初鳴きを聴いたのは、なんと7月に入ってからだった。
 セミたちの出現は地温の積算と関係しているのだろうが、5月から暑い日が続くなど、決して夏前が低温に晒されていたわけでもない。むしろ稲田の生育を見れば、高温つづきで生育は前倒しで来ている。早場米地帯として知られている千葉県北東部では、通常なら盆明けに始まる稲刈りが、今年は8月10日を待たずに始まったそうだ。現に、その地域に墓参りに行った昨日見た稲田はすでに2割ほどが稲を刈り終えており、中にはひこばえで田んぼが緑に染まりはじめているところさえあった。今まさに稲刈り中という田んぼもそこここに見られ、盆明けには半分以上の田んぼが収穫済み、となりそうだった。
 こんな状況から考えると、ニイニイゼミの初鳴きが遅れている理由がわからない。
 ほかのセミについても、アブラゼミの声を聴いたのが8月初旬、ほぼ同時期にミンミンゼミが鳴きだしたのだが、これも、記憶にある鳴き初め時期より1週間から10日遅くなっている。これまでなら盆時期には既に聴いているはずのツクツクホウシをまだ鳴いていないし、夕刻のヒグラシ大合唱も聴いていない。総じて遅れているようなのだ。

 はてさて、気温が高めに変化してきている一方で、セミの出現が遅めに推移していることはどう関連しているのか?
 ちなみに、我が家周辺の自然環境はほとんど変化していない。木々の伐採が進んでいるわけでもなければ草地が減ったわけでもない。強いていえば、セミたちが幼虫時代を過ごすはずの人の手が入った山林、つまり下草刈りなど人の手がちゃんと入る場所が減ってきていることだけは確実だと感じている。
 だとすると、セミたちの個体数が大きく減少しているために鳴き初めを耳にする機会が減っていて、相応の個体数が揃うまで聴き取れないでいる、ということなのだろうか、と想像している。

 たった数年で結論めいたことは言えないだろうが、これから5年ほどは、もう少しきちんとしたデータ取りをしてみようかと感じている。

 関東以西は、もはや亜熱帯なのかも知れない。

 30年ほど前までは、北海道は米は作れても旨い米は獲れない、などといわれていた。が、今は違う。東京で旨いと評判のおにぎり屋さんで、北海道米を指定しているところがあるという。むしろ、いちばん旨い米が獲れるといわれていた新潟で、酷暑のため質の低下が危惧されているという話を聞くのである。

 地球規模の気象変動が進み、それが動植物界に目に見える変化を起こしはじめている、というのがまさに今なのかも知れない。

 そういえば、トンボが群れ飛ぶ夏の風景は、もはや期待できない。実感として、トンボたちの生息数は、こども時代の1割ほどしかないような気がしている。

 自然保護、環境保護、と声高に叫ぶのは性に合わないが、気候変動は仕方のないこととしても、生活環境内の自然はどうにか保ちたいものだだと思っている。