Mです。
DIY好きには、金物得意、木工得意、など得意分野があることが多い。
が、プラスチック得意、という人はあまり聞かない。プラスチックの接着をキレイにこなすのは、なかなかの難物だからだ。
金属なら溶接、木工なら組木手法のように、材料どうしをきわめて強固につなぎ合わせる技法がある。
それに比べると、プラスチックどうしのつなぎ合わせは接着剤で、というのが常道なのに、一部の材料ではかなり難しいのだ。しかも、接着が難しい材料がけっこう使いたい相手だから困るのである。
プラスチックは、しょっちゅう目にし、耳にしているものなのに、いざ整理してみると知っているようでほとんど知らないのに驚く。
身の回りのプラスチック類だけをピックアップしただけでも、ポリエチレン:PE、ポリプロピレン:PP、ポリスチレン:PS、ポリカーボネート:PC、ポリエチレンテレフタレート:PET(=ポリエステル)、ポリアミド、メラミン樹脂、塩化ビニール:P.V.C、アクリル、ABS樹脂、フェノール樹脂、などなど、実に多様だ。
アクリル以降をのぞけば、全てが食品の包装や保存をはじめ、食器などにもたくさん使われていてかなり身近な存在だ。そしてまた、工作材料としてもたくさん出回っているから、DIYの世界にも深く関わっている。だから、ショップ内では近くに必ず接着材料のコーナーがあって工作のニーズに合わせてくれている。
しかし、ピックアップした最初の2種、PEとPPに関しては、ほとんどの接着剤が×印を示していて、”くっつきません” と白旗を揚げている。
この2種は、表面の反応基がなくてほとんどの接着剤に馴染まない、ということなのだ。
だから、これらの材料の板を貼り合わせるということになると、強力な両面テープで固定するか、通常は仮留め用に用いられているホットメルトでくっついているように見せるしかない。
ではなぜ他のヤツらはくっつくのか? それは、一旦溶かして再度固めてしまう、という手法が使えるから。
最も良い例が、配管工事の人たちが塩ビパイプをつなぎ合わせていく手法。このときは、塩ビを溶かす有機溶剤を含んだトロトロの接着液を筆でパイプの接触面両方に塗って差し込む。そうすると両方の材料の表面が一旦溶けて来るので、その状態でグリグリと押し込んでしまえば溶けた表面同志が混じり合って固まってしまう、という寸法。
つまり、表面を溶かしたり柔らかくしたりする溶剤を接着に使えるものは、プラスチックでもしっかり接着できる。接着というより、溶着、といった方が良いのだろう。
ところが、PEとPPに関しては、この溶かすものがない。いや、あるのだが、有害な有機溶剤に分類されているから市販できないのだ。
とはいえ、これらの材料も熱で溶かすことはできるから、例えば同じ材料をドロドロにして使えば溶着できるのではと考えたい。ホットメルト法の展開である。
が、実際には、溶かしたものを間に挟んで板材を貼り合わせたつもりでも、しばらくして試すと簡単にバリッとはがれてしまう。何のことはない、貼り合わせたい板材自体の表面が溶けたわけではなく、溶けたものが間に入ってきただけなので、その ”あんこ” だけが固まってしまった、というお粗末。
しかたがないから、Mなどは、昔の銅先半田ごてを小細工して、銅棒の先に割を入れてカッターの刃を折ったものを挟み込み、その刃を熱しながらPPの板どおしを溶かしつつ圧着していくという手法で、接着剤無しの接合を行っていた。
ただ、この手法は薄板ならどうにかなるが、厚いと熱量が足りなくてどうしようもない。出力を上げると溶けすぎてしまって無様な姿でしか圧着できないので、降参だった。
そんなPP、PEに関して、最近唯一のツールが現れた。コニシさんが出したGPクリアーである。
同社は以前からG17という黄色いゴム系の接着剤を出していたが、PE、PPは適用外だった。次いで、Gクリアーという無色透明系も出したがやはり適用外。そしてついに、GPクリアーにランクアップ。とうとうPE、PPを手中に収めたのである。
クリアーシリーズは、相手を溶かすことはできない。が、硬く固まる、というよりは非常にねばねばとした状態で乾いていく、という表現が当てはまる接着剤で、キレイには固まらないゴム系の接着剤になる。
貼り合わせるものどうしに予め薄く塗って、やや乾いてきたところでギュッと張り合わせ、重しをして1日、なんて感じの張り合わせとなる。ちゃんと接着できれば充分な強度になる。
ただ、接着剤を付けすぎてはみ出してしまったりすると、いつまでもねばねばしていて汚くなるので要注意。また、ある程度のりしろが広くないと、完全乾固していないから剥がすことができる、ということにもなり完全とはいえない。
そうはいっても、PE、PP材料の接着にも光が差してきたということで、だいぶ状況は改善したのではないかと思っている。。
ドローンが墜落してペラが折れた、なんてことになっても、上手い接着法を持っていれば修理可能、というようなことも考えられる状況になってきた。