理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

Windows10にしないと!と焦る人に

Mです。

Windows7のサポートが今年いっぱいで終わるので、Win7マシンで仕事していると週一くらいで「サポート終わるぞ!」「10にアップグレードしてあげるぞ!」という、ご親切なメッセージが来る。本家Microsofさんばかりか、見たことも聞いたこともない名前のサービス会社からも、たびたび来るからいささかウンザリしている。

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2016年に、Windows7以降から10への無償アップグレードが期間限定で行われた。

ところが、本当のことをいえば、今でも自分でアップグレードは可能なのだ。Win7以降を使っているユーザーなら、今でもMicrosoftさんがアップグレードできるツールを提供していてくれるから、昨年のバージョンでなら自分でアップグレードできる。通信状況がちゃんとしていないと、けつまずいて途中で止まってしまうということもあるが、少なくとも有線のADSLグレードでもちゃんと入手できる。


Windows10 Ver.1809がそれである。(最新は今年5月のVer.1903)

Mirosoftさんのサポートページを探ると、
  リリース日:2018年11月13日
  バージョン:Windows 10, version 1809,
        Windows Server, version 1809,
        and Windows Server 2019
ということで、ちゃんと提供されている。しかも、実行ファイルで提供されているので、ダウンロード後にクリックすれば普通に作業している間に、Win7が10にアップグレードできるというありがたいお話。アップグレード後は、作業しながらWindows Updateで更新プログラムをドンドンダウンロードしていけば、半日くらいで最新バージョンまで持ってこられる。

興味のある方は、MediaCreationTool というタームで探してみてください。
使い方を説明してくれているサイトもたくさんありますので、ついでにそちらもご覧になると良いかと。

 

ただ、注意すべき点もあるので、無理はしないように。

つまり、あなたのマシンはWin10を載せて大丈夫か、ということ。

軽自動車にトレーラートラックのエンジンが載らないように、Win10が働けるだけの装備がそろっていないと、載せ替えるだけでは使い物にならない、という点に注意が必要なのだ。

 

第一点が、CPUの能力。今まで以上の演算を短時間にこなさなければならないので、非力なCPUだと思うように動けない。.実際のところ、IntelさんのCPUでいえば、いにしえのPen4レベルが乗っているマシンを使おうというのはやめた方が良い。せいぜい、QuadCore以降のCPUでないと難しいだろう。Core iシリーズならば大丈夫、といったところだろう。AMDさんのCPUが好みの方なら、Athron XPは難しい。Phenom系以降ならぜったい大丈夫、といったところだろう。これは、実際に自分のマシンで試してみた感触だから自信がある見解だ。Note PCについては、Mは関心がないのでわかりません。基本は通じると思いますが。

 

このCPU選択はメモリーの規格にも深く関わっているわけで、メモリーの規格の側から見ると、DDR2時代でどうにかなるものの、やはりDDR3以降のメモリーになっているマシンでないと、Win10は重荷になる。

CPUとメモリーは、基本的にマザーボードの構成の基本要素で、これらの組み合わせで情報処理スピードが決まってくる。つまり、Win7以降から10にアップグレード可能といっていること自体が、Win7がスムーズに動く環境が最低限、ということを示しているのだ。そう考えると、Win7が十分に働けるマザーボードは、上で述べたようなCPUとメモリーの規格で作られている、ということの裏返しでもある。

 

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そしてもう一点、OSは32ビットだとまずい。
なぜならば、Win10は、OSが動くだけでも最低で2GB の物理メモリーを必要とする。しかも、アプリケーションを動かし始めるとあっという間にプラス2GB以上必要となるから、Win10駆動には最低4GBのメモリーが必要、ということだ。

 

ところが、32ビットOSは、マザーボードに4GBを超えるメモリーを挿しても最大4GBしか認識できない。だから、Win10は苦しくなってしまうのだ。動かないことはないが、思ったように働けない事態に陥る。Win10を働かせるに足るCPUとメモリーを載せていても、作業場が狭いのでうまく動きまわれないのである。

Win7に変えた当時、まだアプリがほとんど32ビットの時代だったので、32ビット版のWin7を選んで使っている人がかなりいるはずだ。残念ながら、Win10へのアップグレードを望む場合には、Win7自体を64ビット版に変えてからの方が良いと思う。あるいは、あきらめてWin10正規版を購入した方が早いかも知れない。

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※ 2019年8月10日現在、最新のVer.1903(2019年5月)のMediaCreationToolが公開されていて、上記Ver.1809と同様に機能することが確認できています。公開場所は下記。

https://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows10

注1)既にWin10にアップグレードしている方は、自動更新でVer.1903の更新がかかっているはずですので、上記にアクセスする必要はありません。Win7,8でお使いの方は、こちらでアップグレードすれば、1903への更新を行わずに済みます。
注2)通信環境が充分でない不安がある場合、Tool実行時に現れる画面での方法選択で、「このPCを今すぐアップグレードする」を選ばず、第2項目の「別のPCのインストールメディアを作成する」を選ぶ方が安全です。7Gb以上の容量があるUSBメモリーを用意して、そこにダウンロードすることで、通信不良でダウンロードが上手くいかなくても実行しているPCに影響は残りませんので、上手くいくまでトライ可能です。また、上手くいった後は、そのインストールUSBを使って他のPCへのインストールも可能となります。ただし、クリーンインストールを行う場合は、プロダクトキーの入力が求められますので、別途キー入手が必要です。(裏技もありますが・・・)

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それにしても、Mirosoftさんは、なぜWindows10の無償アップグレードを密かに続けてくれているのか? それは、以下のような流れの中で、これから先のユーザーを離さないでおきたいということなのだろう、と想像している。

その流れというのは・・・

 

Mirosoftさんは、ゲイツさんの時代からOSを次々と進化させることで、PCというハードのグレードアップを促してIT世界を突き動かしてきた。3年とか、5年でOSが刷新されてはPC新時代が訪れる、という、ユーザーから見ると「またかよ!」を繰り返しては収益を上げてきたのである。能力アップさせることで作業効率がどんどん上がり、世の中の技術革新を支えてきたのだから、儲かって当然。決して悪いことなどではなかった。むしろ、仕事の効率アップの点で、Mは感謝しているユーザーの一人である。

 

ところが、2007年にアップルさんがiPhoneを世に出して世界が変わった。

PCにとらわれない新しいIT時代を創り出し、モバイル機器の発展が驚くほどの速度で進んできた。デカくて難しい操作が必要なPCは、一般の人々が使わなくても済む時代になって来たのである。そんななかで、PCといえばすぐ思いついたIBMCompaqGatewayなどという大手PCメーカーは撤退や吸収合併でいなくなってしまった。マシン販売だけでなく周辺機器や運用システムの提供という複合的なサービスを行っている企業だけが、いまでも独自ブランドのPCを作り続けているのだ。

なにしろ、大学の卒論をスマホで作って提出できる時代だ。40年前に学生だった我々からは嘘のような話が現実なのだ。

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そういう時代になると、PCの性能も革新的な変化は起こりえないほどの高みに到達してしまっている。だから、もはやOSを買い換えてもらうことで企業収益を確保できる見通しはない。Microsoftさんの現CEO(2014年2月就任)のナデラ氏は、Windowsナンバーを次々と変えて新たな収益源としてきたこれまでの方針をやめると公表した。Windows10を最後のナンバーにして、様々な機器に通じる基本OSとしての基盤を確保しながら、それを利用する人々へのサービスを多様化させて新たなニーズを獲得する、という方向性を示している。残念ながら、Mは末端ユーザーとしてはあまり多様性を求めていないので、ナデラ氏の期待には添えないかも知れない。でも、その構想は間違っていないだろう。

 

以前、世界のSONYと呼ばれて世界中のオーディオ&ヴィジュアル機器界を席巻していたハード屋さんが、それだけでは恒久的な事業構築ができずにソフト産業に活路を求めたように、PCと一体になっているOSだけでは、世界が限られてしまう。むしろ、アップルさんが独自OSをベースにユーザーのニーズを掘り起こしては新しい波を作り出してきたように、普及率では群を抜いているWindowsというOSを基盤として、Win10の更新は無償にしてしまうことで顧客を確保し、そのさらなる進化には新しいハードやソフトをセットで提供していく、というスタイルに変えようというのだろう。

 

そんな世の中の流れを知っても、MにとってはPCはやっぱり頼れる道具であり相棒である。
だから、Mirosoftさんには、これからもがんばっていただきたいと思うのである。たぶん、どこかで金銭的にもMirosoftさんに貢献しているだろうから。