理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

義務教育現場のデジタル化 Chromebookが背中を押す?

Mです。
 コロナ感染封じ込めのために人の移動をなくすため、企業の一部はテレワーク化に一気にシフトした。

 その動きの中で、従来の出社至上主義が誤りだったことを悟り、オフィス資源の無駄、人移動の無駄、移動時間の無駄、などを解消する動きも生まれた。それでかまわない企業は、今後もその方向でいけばよい。やはり現場作業重視なら、人の動きだけを極力減らし、ネット管理で現場と指揮系統をつなぐという手法を、どんどん取り入れていくことが重要な課題になっている。

 情報機器の整備とそれを使いこなす人の教育が、これまで以上に重くなる。オレはパソコンは無理、では通らない世の中になっていく。デジタル・デバイドにおののいてはいられない。かといって、いろいろな技能者みんなにデジタル機器を使いこなせ、というのは酷な話。それが出来るバディーとのペアで仕事を進める、という方法が重要になるのではないかと思っている。

 さて一方、コロナにおびえ、深く考えもせずに全国の学校を一斉休校させた日本。休ませてしまってから、教育現場にデジタル化授業を行き渡らせなくては、と慌てる当局の、笑いでは済まされない不甲斐なさに、多くの人々が口を「への字」にしたのではないだろうか。

 早くからサテライト授業を普及させてきた大手予備校などの様に、在宅授業に速やかに移行させた組織は、まさに先見の明を持っていたということになる。

 ただ、現実問題としては、そんなシステムを義務教育現場に持ち込むには、ハード、ソフトの両面から高すぎる壁があるわけで、担当官庁がいくら言葉だけを発したところで、そうそう進むはずがない。なぜなら、デジタル機器、つまり、タブレットやNotePCなどの整備が追いつくはずはないし、使わせられる側も、誰でも使える状態にはないのだから。

 そんな状況下で、日本でも「Chromebook」なる、新手のPCが徐々に普及速度を上げているようだ。

 既にガラケースマホが追い抜いている状況で、スマホがあればなんでも出来る、状態が進んでいる。在宅授業にスマホが使われている現状があるが、これは最適な機器だからということでは決してない。機動性に富んでいながら情報機器としていっぱしの能力を持っている機械が、ほかにないからだ。それで済む範囲なら、スマホでこれからもOKだと思う。
 ところが、である。

 小学生が授業をスマホで、ということになると、さすがに首をかしげなくてはならない。

 授業内容全体を大枠で捉えながら、部分毎に説明を描き加えてはかみ砕いて教えていく、という黒板スタイルの方法は、子どもたちにとって受け入れやすい仕組みだが、小さな画面でそれを行うのは難しいだろう。やはり、もっと大きな画面の機械が必要だと思うのだ。
 それを考えると、これまでは、学校にPCを導入と考えられてきたものの、台数とそれにかかるコストがハンパではない。マスク配布の比ではないのだ。PadやBookという案も出てはいたものの、それらへの教育ソフト導入はあまりうまくいっていなかったようだ。

 ところが、デジタル界の4強GAFAの筆頭Googleは、Chromeというブラウザの普及をうまく拡大していく中で、PCの世界に軽妙洒脱な戦術を組み込んできた。ブラウザ機能に特化してしまったPCの導入であり、それが「Chromebook」なのだ。

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 このPCは、WindowsでもなければMacでもない。ChromeOSが中枢で、全ての作業はブラウザ上で行う。つまり、自分自身にはデータを蓄積しない完全なクラウド型装置である。

 その利点は、各種アプリを自分自身にインストールすることを捨て去った身軽さにあり、すべての作業、データは利用者のIDで登録されたクラウド環境の中に管理されている。特別なソフトを使いたい、という個別の希望は叶えられないが、それが逆に強みで、Chromebookを使うという共通の枠に入れば、教育現場の環境がそのままChromebookの支援環境にスッポリ収まってしまう。

 ブラウザという共通環境を教室に見立て、先生と生徒が互いに同じものを見て通信し合う。もちろん音声、画像を使った疑似教室の中で、リアルタイムの授業が構築できるのである。

 米国では既にこの方式が広まってきているという。その仕組みが、コロナの閉塞環境のなかで、日本でも動き出した、ということなのだろう。

 Chromebookで検索すると、AcerASUSLenovo、HP、などなど、各社が10~15インチクラスのキーボード付きマシンを売り出している。価格は、なんと2万円台から。
 CPUはIntelCeleronクラスから i3クラスまで揃っていて、メモリーは全てDDR4世代だから、ブラウザ環境ですべて動かすのが基本のマシンとしては、不足はない。むしろ、重いアプリをいくつも抱えているNotePCよりも格段に快適なのではないかと思う。
 
 思い仕事ばかりPCに強いているMは、重い仕事を並行動作させながら、さらに軽い仕事も同時並行させているせいで熱い排気を振りまいているデスクトップに、思わずゴメンな、と心の中で呟いている。

 Chromebookは、教育現場の熱い視線と同じように、企業現場でもその価値が高まってきているようだ。

 大企業では、デスクワークする人全てにNotePCを持たせ、データはサーバーに置いてみんなが同じ土俵で作業しているのが普通になっている。そんな状況なら、もはやNotePCでなくても良い。むしろ、コスト面からもCromebookの様なハードの方が安上がりだし、ウイルス対策も中枢だけで行えばよいから、サイバーセキュリティー面からも好都合。なにしろ、Chromebookには、ウイルスが入り込む余地がない。データを自分の中に持っていないのが基本なので、ネットに繋がってはいても悪者が入り込んで巣くう危険性が低いのだ。

 スマホ全盛、とは言うけれど、やはり大きめな画面で多くの情報をまとめて視認するという作業の方が、効率は絶対良いと思う。さらに、キーボードというツールは、作業性がとても高い。

 高額でOS更新など手間も多いNotePCから、Cromebookのような特化したBook PCへ移行していく動きが、次第に進んでいくように思う。