理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

ハイブリッド・マスクのすすめ

Mです。

 新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症で、年明け早々世界中が大わらわだ。

 2月4日時点での中国国内感染者数が、2万人を越えたという報道があった。突貫工事で千人規模収容の治療施設を作ると言って、それが明日から稼働するというニュースの一方で、1日あたりの感染者増加数がその収容数を超えているという事実を知らされると、現場の混乱はいかほどかと危惧せざるを得ない。収束までには数ヶ月を要するだろうから、とにかく個々人がしっかりと注意して生活していくしかないだろう。

 最初は、ヒト-ヒト感染が起こりにくいらしい、とか、重症化率は低そうだ、とか、あまり深刻さが無かったのに、感染者数の増加率がグングン上がってくると、そうも言っていられなくなった感がある。この増加率は、ヒトからヒトへの感染が確実に起こっていることを示していると思われる。バスの中で運転手、ガイドの両方が乗客から感染したと思われる事象を見せられると、もはや、閉じられた空間では、エアロゾル感染は確実に起こると思わざるを得ない。

 闇雲に怖がっても仕方がないものの、いまや一般的な知識になってきているインフルエンザ対策と同様に、外出時の不織布マスク着用や帰宅後の手洗いは基本事項で、外着のまま居室に入らない、など、外からは何も持ち込まない、という意識を持つしかない。手洗いだけでなくて、顔を洗うことも考えるべきだろう。とにかく、出来ることはすべてやるべきだ。

 特に、感染症にかかりやすい幼児や小児に対しては、本人が嫌がってもやるべきことを怠らないようにしなくてはならないと思う。免疫系の発達が不十分なこどもが罹患して体内でウイルスを増殖させてしまうと、増殖率が高く変異型が発生する確率も高まる可能性がある。本人だけでなく、家族にもより大きな影響を与えてしまうリスクは、そうなる前の防備にかかっていると言える。

 この感染症拡大の影響で、巷間ではドラッグストアなどでマスクの品薄状態が続いている。特に、浮遊ウイルス遮蔽能力が高いことをうたっている製品は、爆買いの対象にもなっているようだ。関連工場も厳しい状況だと推測するが、フル稼働でガンバってもらいたい。

 そんなマスクについてなのだが、Mは、ずっと前からちょっと面白い使い方をしている。

 Mがマスクを多用しているのは、東京の空気がキレイではないから。

 自転車で走り回ることが多いため、どうしても、車道でクルマの排ガスにまみれながら走ることになる。昔に比べて、車の排ガスが格段に浄化されてきたのは嬉しいことだが、車道での粉じんは排ガス由来というよりも、路面とタイヤが擦れて出来るモノとそれを舞い上げる風の影響の方が大きく、季節にかかわらず、1時間も走っているとマスク表面は色が違ってしまうほどなのだ。

 現在主流のサージカルマスク型不織布マスクが普及する前は、ガーゼマスクを何組も持っていて、毎日水洗いしながら使っていた。買ったばかりの物よりも、一度ぬらして絞った後の方が目が詰まってほこりの除去効果が高いと感じていたので、買うとすぐにしばらく水に浸しておいてガーゼの繊維を膨らませて乱す、という方法を採っていた。さらに、完全に乾かさないで、むしろ絞ったまま使うことにしていた。その方が顔の凹凸にフィットさせる効果が高く、湿っていることで粒子の吸着性も高い。チョット息苦しいのはガマンして、濡れマスクを付けて自転車移動、ということが多かった。

 今はだいぶ減ったものの、少し前まではどこもかしこもタバコの煙だらけだったが、濡れマスクはその煙にも効果てきめん。帰ってからビックリしたのは、鼻や口のあたりに、黄色い模様が出来るほどタール色が出ていたことだ。道路の粉じんでマスク表面が黒っぽくなるのもすごいことだが、タバコの煙の濾過効果が色でわかるのも、驚きと同時に、不気味だった。それを吸い込んでいたら、タバコ嫌いなのに喫煙したのと同じだと思うと、誰に向けるともなく、向かっ腹が立ったものである。

 さすがに、今使っているのは不織布マスクだ。Y子の要請もあって、しばらく前に白十字さんの不織布マスクを大箱でまとめ買いしてあって、それを週2~3枚のペースで使っている。バッグの中にも数枚入れてあって、打ち合わせ後にタバコのにおいが付いてしまったときなどは、捨てて交換できるようにしている。不織布マスクが普及して良かったのは、煙草吸いと一緒の打ち合わせのとき、そのままかけていられる雰囲気になったことだ。さすがにガーゼマスクをしている当時は、毎回、カゼですか?などと聞かれてしまうのが面倒で、付けていたかったのだが、それはガマンしていたのだ。不織布マスクが普及して、マスクをしているのが特別な状況ではなくなったのは、歓迎すべきコトだ。外国の人々から見ると、いつもマスクをしている日本人は奇異に見えるそうだが、習慣だと思ってもらえればありがたい。

 ところで、この不織布マスクとガーゼマスク、実は併用がすこぶる良いのである。

 不織布マスクは、フィルター性能が高いことで知られている。鼻に当てる部分に形状を保つための当て物を封じ込めてあって、それを曲げると、そこそこのフィット性で鼻から頬にかけての機密性を保ってくれる。蛇腹様の部分を伸ばして顎まで被うと、外気中の粉じんなどの進入を防いでくれるように感じる。が、実は、フィットしているようでそうでもない。これは、誰もが感じているのではないか、と思う。

 Mの場合、自転車で走り回っているとき呼吸が激しくなると、吐く息でマスクは浮き上がる。さらに、呼気中の水蒸気でマスク裏面が湿ると、通気性が一気に落ちて、吸ったときにマスクが鼻を塞いでしまう。これは、不織布繊維が生物繊維ではなくて合成繊維で水を吸わないことによる。つまり、不織布表面に水が結露して膜を作ってしまうような状態なのだ。こうなると、ついにはマスクを外してしまうことになって、せっかくの防塵効果も活かしようがない。

 そこで、ガーゼマスクの登場。

 Mは、ガーゼマスクを今でも時々買っていて、こちらは耳かけの紐を取り去ってしまう。ガーゼを厚く重ねた本体部分だけ残して、これを水洗いしては絞って不織布マスクの中に「装着」するのである。ただ、これだけだと、ガーゼとは言っても濡れた状態で絞るとそこそこ固くなって顔に密着しない。だから、ガーゼマスク付属のガーゼ片も濡らして鼻梁とガーゼマスクの隙間を塞ぐように使うのだ。付属のガーゼ片は、洗っているとすぐに崩れてしまうので、ドラッグストアでガーゼも別買いしてあり、それを切って折りたたんで使っている。

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 紐を取ったマスク本体に折ったガーゼを当てて不織布マスクの内側に置いて顔に当てると、だいぶ厚ぼったくなるものの、不織布マスクの中央が高く脹らんで、かえって安定した形状になる。

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 こんな風に、不織布マスク中に濡れたガーゼマスクを装着して使うと、不織布部分はしっかりとフィルターになっているし、不織布だけだと隙間がふさげない部分を、濡れた木綿繊維が塞いでくれて、これもそこそこのフィルター性能を持ってくれる。しかも、湿っていることで、冬の乾燥期は鼻や喉に優しい。自転車で走り回っていても、不織布がひっついて苦しい、ということも無いから、マスクを外して息をしなくてはならない、ということがない。

 原始的だが、道具は使いよう、の実例だと思っている。
 ガーゼマスクは、3日に一回くらいハイター処理して除菌する。その際は、しっかり濯がないと塩素臭がして息が出来ないから、処理はチョット面倒だ。

 このハイブリッド用法、個人的には非常にリーズナブルだ、と自負している。

 興味のある方は、是非お試しあれ。