理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

若返りヒイラギ 続報1

Mです。

 4月の末に、すべての葉が丸くなっているヒイラギの古木で、太い枝の切り口付近から新芽が出て、その枝についた葉は見事にトゲトゲを生やしてきたことを記した。
 昨日、同じ場所を通りかかったので、その後はどうなのかと観察しに立ち寄ってみた(左が4月末)。 若い枝は10cmくらい伸びたようで、ついている葉は先端部のごく若い葉を除いてみんなトゲトゲを持っているのが見て取れた。まだ葉として成熟していない葉も、大きくなるとトゲを出し始めているのがわかった(右写真のオレンジ丸部分)。

f:id:otto-M:20200519224814p:plain → f:id:otto-M:20200520174404j:plain

 それにしても、その他の葉がすべてトゲ無しになっているのに、大きな損傷を受けた部分でだけ若返りが起こる現象は、とても興味深い。
 古木とはいえ、幹は直径10cm程度の木である。普通なら、とても古い木には見えない。少しずつしか太くならない、年輪が密な固い材なのだろう。徐々にとはいえ、枝の先端は毎年伸びていって新しい葉をつけていく。にもかかわらず、それらはみんな丸い葉になる。木全体として己の年齢を知っているから、新しい葉といえども、もはや血気盛んな頃のトゲトゲは封じてしまう。
 なのに、太い枝を切り落とされた箇所から生まれる若枝は、全体の状況は無視して新しい世代であるかのように振る舞っているのである。

 理屈から考えれば、平穏な状態だと、全身に「老化をもたらす植物ホルモン」が行き渡っているから、新芽もその影響下でトゲトゲを作らないということなのだろう。

 しかし、大きめの枝が切られる、というような非常事態になると、切断面の外周付近にある成長する層の中で、大量の細胞分裂を起こして傷を修復しなくてはならなくなる。その時、成長ホルモンが多量に作られて、ごく近い領域だけが幼若な成長期の状態になる。そこでは、全身に回っているはずの老化シグナルも成長ホルモンたちに勝てず、組織が若返ってしまう。そんな仕組みなのだろうと想像している。

 老舗といわれる店が、時代の流れのなかで次第にこぢんまりした商売に固まっていくのはヒトの社会でよくある話。そこに奔放な跡継ぎが現れて、旧来の商い以外に全く目先の違う新しいアイテムを扱い始めて分店を出し、本店とは別の姿に変わっていく。どうもそんな風に見えるのが、とても面白い。

 老舗は老舗、新店舗は新店舗、という形でその先も生きていくのか?
 あるいは、遠くない将来に、今できた新店舗も本店に吸収されて全体がまとまっていくのか。

 ヒトの世界と比較しながら、月単位で観察してみたいと思う。