理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

逆光写真 これで もう安心??

Mです。

 アナログカメラで、自己満足ながら結構凝って草花や生き物を撮っていた。

 最初に自己資金でカメラを手にしたのが、今から45年前。当時は札幌に住んでいて、食費を削ってようやく手に入れたのが小型軽量で名を売っていたオリンパスOM-1。標準レンズF1.8の一眼レフ。確か、\58,000だった。
 アナログカメラだから、当然、フィルム代もかかれば現像~プリントと、撮った映像を見るまでにも経費がかかる。それらの費用もバカにならないから、撮り損ねをしないように基本技術の勉強もしたし、特殊技術も本から学んだ。それらを試すためには、自然界のものを対象にするのが確実だった。ファインダー越しに観てグッとくる瞬間を待っていられるから、好都合だったのである。
 雪が融け切ると、札幌の野原は一気に花盛りになる。そんな草原に腹ばいになって、よく花の写真、花に来る虫の写真を撮った。太陽の角度や風の具合をみながら、一番映える瞬間をファインダー越しに待ってはパチリ。プリントしたときの映えが、シャッターを押した瞬間の想像と合致してくれるかどうか。ドキドキものだった。
 思い返してみて、思いどおりの画が撮れたのは3割ほどだった気がする。もう少し絞るべきだったか、とか、もう少しシャッタースピードを下げておけばわずかに揺れる風の感じを出せたはずだ、とか、足りなかった要素を見直すのも面白かった。撮影時の絞り値とシャッタースピードを記録し忘れていて悔しい思いもしたけれど、前後のコマから想像して判断したりする作業も、のちのちのためになった。
 そんな超アナログ時代に凝った撮影手法に、逆光撮りがある。敢えて太陽の光を背にした対象物を撮るのである。
 エジプトのピラミッドのてっぺんに太陽がちょこっと現れた瞬間を撮った写真は、ピラミッドの真っ黒な三角形の頂上に光り輝く太陽があり、遠景の砂漠が淡い茶色でうねっている画になる。特殊フィルターを使えば、太陽の輝きが星形になったりしてさらに映える。そんなプロの写真を見て、草花を敢えて逆光で撮り、花の色もちゃんとわかるようにするにはどのくらいの絞りにすれば良いかなど、同じ角度から絞りだけ変えて5枚くらい撮影して後から比較し、なるほど、このくらいの案配にすると面白い写真になるのか・・・などと楽しんだものである。
 観光地の記念写真を逆光で撮ってしまって大失敗、なんてことが笑い話として沢山あった。が、それも一興で、案配を考えればかえって面白い記念写真になるのだから、撮影者がそれを心得ていれば、あえて逆光の記念写真が映える画になったのだ。
 
 デジタルの時代、もはや、現像~プリントという経費をかけずに何枚でも試し撮りできる今は、逆光だろうが何だろうがバシバシ撮ってしまってから良いものだけを選び出せば良い。なんとも良い環境になったものだと思う。ただそれでも、逆光で人の顔が黒くつぶれ気味になっているが、表情はとても良い、なんて写真もあるはずだ。スマホ写真が当然のようになっている今、機械の方が逆光関知をオートでこなし、最適のバランスになるようにしてくれることもある。逆光なんて怖くない、という、撮る側にとってとても楽な時代になっている。
 ただそれでも、狙っていた画像とはちょっとかけ離れてしまっているものの捨てがたい逆光写真、ということもあるだろう。

 なかよし(?)のソースネクストさんが、先週、「さよなら逆光」というアプリの紹介メールを送ってきてくれた。
 ↓
https://www.sourcenext.com/_/C000055179-K0-se

 いろいろな場面で、ちょっと残念な逆光撮影になってしまった画を、自動で調節して「見られる」画にしてくれるのだそうである。

 風景画の修正は下のような感じだそうだ。

   f:id:otto-M:20210718155538p:plain

 紹介サイトに行ってくれればわかるが、人物写真などの例も挙がっていて、なるほどそれなりの修正度だと思う。
 ただ、敢えて逆光写真を撮って楽しんだことを思い返すと、残念ながら、この修正アプリは、逆光の良さを活かしているものとはほど遠いと感じてしまった。
 はっきり言うと、露光不足を画全体で底上げしているため、むしろ、もともと明るかった部分も同じように明るい方向にシフトしてしまうため、明るい領域はケラれた状態(明るすぎて色が白っぽくなってしまう状態)になっている。
 ほんとうなら、暗くてちょっと・・・、と感じる領域だけAIで判断し、そこの部分だけ明るく調整する、というのが理想だろう。顔の明るさ不足だけ修正して周辺の色合いはそのままにしてくれれば、だいぶマシになると思うのだ。とはいえ、見る人によっては、そんな修正写真はかえって違和感を醸し出す可能性もある。これ合成写真?、と勘ぐる人も出てくるかも知れない。

 そう考えてみると、昨今我々が目にしているメディア提供の写真たちも、多くの場合画面映えするような修正を施してあるのが殆どなのかも知れない。プロの写真家が、芸術作品として撮った画は、計算ずくの産物で後加工しているとは思わないが、CMやニュース映像程度だと、見やすくする加工は当然のごとく行われているように思う。いや、実際はそれでかまわない、と思っている。

 一方で、こんな便利な時代なのだから、素人は写真をもっと楽しんだ方が得だ、と思っている。
 デジタル撮影機器なら、現像代を一切気にせずに撮影できるメリットを活かせる。素人であっても、絞りとシャッタースピードをマニュアルで何段階か変えて同じ対象を撮ってみる、という遊びをしてみると面白いと思う。
 ドッグランで走る犬を、シャッタースピードを落として撮ってみる。脚の動きがぶれて躍動感が出る、なんていう現象を確かめてみるのも面白い。あるいは、シャッタースピードは落とさずにカメラやスマホ自体を犬の動きに合わせてサッと動かしながら撮ってみる。すると、犬はしっかりとピントの合った状態で止まっていて背景が流れているというスピード感がアップした画になる、など、いろいろ遊べるはずだ。

 そんなことするなら、動画で撮ってしまえば良いじゃないか、といわれるかも知れない。 が、おっさんは敢えて言います。
 いいや、静止画だからこそわかる面白さがあるんだよ、と。