Mです。
ほぼ1年前、秋葉原付近の総武線高架下で、ヨメナが数株咲いているのを見つけたことを記した。
その場所は、清洲橋通りを総武線が跨いでいるガード東側の北面。以前見たときには路肩のコンクリート縁石が凸凹と乱れ、わずかな土が線路からの雨水でいつも湿っているという、狭小ではあるものの湿った土に何種類かの草が生えている場所だった。ところが、その記事を載せて数日後、そのわずかな環境が、縁石修理が行われて土は削り取られ、代わりに砂利投入で整地され、草が生えにくくされてしまった。当然、咲いていたヨメナは跡形も無くなっていたのである。
それから半年あまり。21年春には、その砂利面にいつの間にか少しずつ砂や泥がのっかって砂利の隙間を埋めてきていた。
そして8月。ついに、除去されてしまったはずのヨメナが、砂利の下から芽吹いて伸びてきているのを発見した。
その場所が以前見た位置から1m程離れているので、茎が刈り取られて残った根から伸びてきたのではないと思う。多分、去年Mが種取りをした時に残しておいた花から落ちた種が、整地作業で砂利にまぎれて移動していたのだろう。
さすがのヨメナも、貧相な土しかない場所ではどんどん伸びていくことはできず、ヒョロヒョロと少しずつ成長してきていた。通りかかる度にそれを観察するのが、なかなか楽しい。9月になると、3株ほど伸びてきている株の一つにつぼみが付いた。そして9月半ば、最初の花が一つ咲いたのだ。
さらに10月半ば、一番遅くにつぼみを付けた株でも開花した。
以前の記事で、しぶとくて可憐、と書いたが、本当に強い。この場所では、去年は何種類もの草が生えていたのだが、今はヨメナの他に生えてきている草がほぼ無い。それほど、痩せた土なのだ。そんな場所に生えてきたヨメナは、お世辞にもしっかりした茎とはいえない細い針金のような姿なのに、しっかりと花を咲かせたのである。徐々に株を増やしていくのだろう。観察を続けるのが、また楽しくなる。
コロナ禍でジリ貧の世相が続いている。
ゼロに近い環境で芽吹いて花を咲かせるヨメナを見ると、オレも生きているんだから前を向かなくては、と思わされた。