理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

顔の左右対称性 おもしろ画像イタズラ

Mです。

 人の顔。二つの目がほぼ同じ高さに鼻を境に左右にくっついているのだが、実際には、それほど左右対称ではない。大きさが違うこともあれば、位置が上下にちょっとだけずれていたりする。鼻だって、まっすぐとは限らない。右に曲がっている人もいれば逆もある。口だって、左右で口角の位置が上下にずれていたり、距離が違っていることもある。そんな微妙な差をひっくるめて、人は他人の顔を眺めているわけだ。
 造形の世界では、人体のパーツ構成に対して”黄金比”なる比率を言い、ビーナス像やダビデ像はその比率になっているのだ、などと聞くけれど、顔の構造だけについてそんなことは聞いたことがない。とはいえ、世界の美女100選とか、顔の造形についての論評も沢山あるわけで、美しい顔のイメージが、各自の脳の中のどこかにできあがっているのだろう。そしてただ一つ思うのは、左右対称性の高い顔の方が、顔の造作イメージとしては「良」ととらえられている気がする、ということだ。

 そんなことを思いながら、月一回通う歯医者さんの待合室で、不思議な現象に気づいてしまった。
 待合室の一番奥に座ると、入口方面を観ることになる。左の壁は一面の鏡になっている。入り口側の壁面は玄関口があるので狭く50cmほどしかない。そこに、ホワイトニングを勧めるポスターがあって、にっこりと笑うお嬢さんが正面を向いている。すぐ左側が鏡なので、壁の端を対称線にして左右反転したポスターが左壁の鏡の中に見えている。この状態で、実に面白いことが起こったのである。

 ここでちょっとだけ、予備情報として補足しておかなければならない。
 以前、ステレオ写真について取り上げたことがある。

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 左右の目の視差を利用して立体映像を観せる仕掛けがステレオ画像なのだが、それに凝ってだいぶ立体視の練習をしてきたMは、道具を使わなくても左右二つの映像を視野の真ん中で合成することが得意である。

 何の気なしに、Mはホワイトニングお嬢さんのポスターでこれを試していた。ちょうどやりやすい位置に、鏡像関係の画像が見えてしまっていたのである。
 そして、やってみたところ・・・
  なんと、鏡で反転している女性の顔が、真ん中で元の画像とほとんど差異なく重なってしまった気がしたのだ。感覚としては、反転映像が完全合致した、という印象だったのである。
 本当に、左右対称の顔なのか!?
 思わず、ガラケーで写真を撮って持ち帰り、PCに取り込んで画像比較してみようと考えたのだった。

 ところが残念なことに、持ち帰ったガラケー画像データは、画素数不足でとても比較に耐える画質ではなかった。無念!
 でもMはあきらめない。
 ガラケー画像にあるポスターの文字情報を元に、ネット検索した結果、ようやく元の画像を見つけ出したのである。それが下のお嬢さん。

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 うーん、確かに鼻の中心線を対称に、左右が揃っている気がする。これなら、鏡に映っていた画像を重ね合わせても違和感がない感じだ。
 そこで、イタズラしてみることにした。この画像を縦に分け、右側成分で作った顔と、左側成分だけで作った顔にして、並べてみようと思ったのだ。その結果が下の2枚である。
左が右成分×2、右が左成分×2、の結果だ。

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  あれれっ! だいぶ違うじゃん!?
  結果は、最初に思ったのとはだいぶ違っていた。右成分だけだと結構強そうな印象の顔になり、左成分だけだとほんわか優しい雰囲気になった。確かに、目の位置などに大きな差がないので、左右対称性の高い顔立ちであることは間違いないが、受ける印象は大きく違ってきたのが驚きだったし、とても面白い。
 人が捉えている顔の印象というのは、やはりパーツで観ているわけではなくて全体をまとめて捉えているのだというのがよくわかった。

 そういえば、中学の頃に百科事典か何かで人の顔の対称性について論じているものを読んだ。そのなかで、人の顔は左右でかなり差があり、どちらか一方の面だけでは全く違う人相になってしまう、という記述があった。例として、故 八千草薫さんの正面写真を題材に、左右2分割画像にして反面ごとに鏡像との合成写真にしたものが載っていた。彼女の場合、最初から左右対称ではない、と感じる顔立ちなのでその差は当たり前だろう、くらいに思っていた。たしかに、本当に別人のように見えたから。
 それに比べると上の女性ははるかに対称性が高いと思っていたのに、それでさえ、片側合成の顔だと本来の顔とだいぶ違う印象になってしまうのだと知って、人の感覚なんて大して当てにはならないものだと痛感したのだった。

 熟練の刑事さんは、指名手配者を見分けるために、顔を見ているのではないだそうだ。目つきだけで判別するのだそうである。顔は、化粧したりひげをつけたりすれば全く異なった印象になってしまうが、目つきの印象だけはたとえ整形しても元の印象を保っているのだ、という。目の形、ではなくて目つき、というところに意味があるのかも知れない。素人には、ほんとかねぇ、としか思えないのだが・・・

 イタズラついでに、動物の顔で片側合成を試してみた。体毛の形や模様が違うとダメなので、ライオンの雌で正面を向いている映像を選んでみた。
 結果は、下のごとく。

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       右反面合成              左反面合成

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 これはびっくり、驚くほど差がない!、と感じる。この個体だけなのだろうか?

それとも、ライオンの顔について、見るべき差を捉えられていないだけなのだろうか?

 人の顔は、脳容積が大きくなってしまったため、解剖学的に見たとき、そのしわ寄せで顔面にゆがみが生じやすいと言われている。とすると、そのゆがみこそが、人の顔の造形を面白くしている要因だ、と捉えても良いだろう。結果として、人間たちは、いろいろにゆがんだ造形のなかから、各人が好みの顔を探していくことになる。

 結果として、人間社会では、ゆがみバンザイ、なのかも知れない。

 

新型コロナウイルスワクチン 接種1回目

Mです。

 ほんとうは、接種を受ける気なんてサラサラなかった。
 数ヶ月前に居住地の市役所から送られてきたワクチン接種券も、捨てはしないまでも、そのままほったらかしになっていた。[新型]コロナウイルスでは呼吸器系疾患が重篤化しやすい、とは言っても、全くの[新種]ウイルスということではなく、何度となく晒されてきて時々は感染成立して「風邪」に罹っていただろう相手である。全く免疫を持っていないとも思えないから、もし感染してもそこそこ抵抗できるだろうと思っていたからである。

 ところが、感染拡大の最中にオリンピックまで開催してしまうという暴挙のなか、感染の広がり方がますます強烈になってきて、ビジネス上でもその影響が顕著になり始めた。
 Mの仕事は、開発受託である。こんなのが欲しい、こういうモノを作りたい、などといったユーザーの要望を叶えるために、希望に添ったモノや仕組みを作り上げる仕事なので、現物を目の前にした打ち合わせが必須であり常でもある。ところが、対面打ち合わせを避けてリモート会議、というのが主流になると、細かな話が出来ないのである。
 それでも先月までは、アクリル板越しにモノを見ながら同じ部屋の中で相談していたのだが、それすら難しくなってきた。Y子の所属企業のように大手企業はどんどん職域接種を進めているし、若年層のワクチン接種を急遽推し進めるという方策が採られるようになると、打ち合わせに先立って「ワクチン、打ちました?」の問いが始まった。Mのような零細企業は、ほぼ100%相手企業の方が大所帯である。その相手企業内で、感染源との接触は控えろ!という号令がかかれば、当然のことながらMさんて、ワクチン打ったのかなぁ?となるのである。
 クッソ~! と思いながらも、ついに撃沈。

 ワクチン接種券を手に、事務所のある区のHPから、近場でワクチン接種をしてくれるクリニックを探した。
 運の良いことに、近場でただ一箇所の接種クリニックは、3年ほど前に喘息を起こして通院していたクリニックだった。ラッキー、と電話してみる。他所の接種券だが接種してもらえるかと聞くと、これまた運良く、OKの返事。しかも「当院最終接種の予約中」だという。9月3日が1回目で、2回目が21日のスケジュールなら可能だとのこと。是非とも、と先週金曜10時前、久しぶりのドアを開けた。
 ワクチン接種日とは言っても、それだけ限定で行っているのではなく、通常の診察と並行して接種を実施しているとわかった。クリニックに入ってみるとすでに4人が椅子にかけていたが、それらの人々は普通の通院で、Mだけがワクチン接種対象。問診票を提出して待つこと10分ほど。診察室に入り、見慣れた医師に挨拶して丸椅子に座る。
 その後、喘息症状はどうですか、と聞かれ、ボチボチですと応える。じゃ打ちましょうか、と左肩にプスリ。何で筋注なんですかねえ、と聞いてみると、皮下だとかなり腫れるそうですよ。能書にそんな記載がありましたから、との返答。よっぽど痩せた人だと困りますが、短い針での筋注は、間違いも少ないしかえってラクだ、とのことだった。接種したモノが免疫原(抗原)そのものではない今回のmRNAワクチンは、身体に入ったあとで周辺の細胞に取り込まれ、その細胞内のタンパク合成工場でウイルスタンパク質がつくられる。皮下注射は、筋肉内注射よりも早く分散して体中にまわるが、その分、分解処理も速く進む。むしろ、その場所からジワジワと時間をかけて広がって少しずつタンパク質合成に移っていってくれた方が都合が良いmRNAワクチンでは、分解されにくい筋注の方が好都合なのだろうと、その話を聞いて思った。

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 接種後30分間、急激な反応が起こったりしないことを観察することになっているので待合室で文庫本を読んでいたが、その間にワクチン希望でやってきたのは3人だった。どうやら、ワクチン接種でてんてこ舞い、というような状況は過去のものらしかった。
 幸い、接種部位の痛みもなければ発熱等も起こらないので、そのまま帰ってきた。

 ところが、である。
 当日の深夜、そろそろ寝ようかという時分になって、接種部近辺の硬化と痛みが起こり始め、表面的ではなく深部での温度上昇を感じた。あきらかに、身体の中で炎症が起こり始めている感じてある。寒気は起こらないし、Y子に聞くと見た目にも変化は無いとのこと。副反応に痛みや発熱があるのは報じられているので不思議はないが、自分自身の感覚では、単純な現象ではないような気がした。
 とはいえ、それほどのことでもないのでそのまま眠りについた。

 ↓ 厚生労働省サイトから引用

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 そして接種翌日の朝、感じていた症状は明らかに進行していた。全身の筋肉がやや緊張気味で鈍く痛んでいる。体温も平熱から比べると明らかに高い。異常と言えるほど高くはないが、たぶん37℃域には入っていただろう。何となく頭がボーっとしている感じもあり、本人の感覚としては、風邪を引いているという実感だった。

 この時に思ったのは、自分が既に新型コロナに罹っていたんじゃないか、ということ。発症もしていたかもしれないが、大きな体調変化にまでは至っていなかったから、分からないまま回復してしまったのではないか、と感じたのである。
 そもそも、新型とはいえ、コロナウイルスという奴らは大昔から人間に感染し続けている。風邪の原因ウイルスとしても、ごく当たり前のウイルスである。当然、Mも何度も罹っては治っていたはずである。そんなウイルスの仲間なのだから、全くの新顔ということでは無い。したがって、Mの身体の中には抗コロナウイルス抗体も存在していて、新型コロナに出会ったときも、全く免疫反応が起こらなかったわけではなかったはずだ。完全防御、とまでは行かないまでも、ある程度は反応する抗体なり免疫細胞があるはず。それらが防御してくれ、新たに新型コロナウイルスに対する抗体も作られていたと思う。結果として軽微な発症で収まっていたのかもしれない、と想像するのである。
 だとすると、既に新型コロナウイルスに反応しているMの免疫系は、今回のワクチン接種で作られたウイルスタンパク質に出会って、「知ってる敵」に対する反応を起こした。時間的経過からも、それが、接種当日の深夜に始まって翌日がピークとなった、ということだろうと思う。現に、体温上昇を含む反応は接種翌日には収まってしまった。敵兵撃破、撤収!、である。

 自分自身の反応を観察して思うのだが、ワクチン接種時の副反応だとして言われている現象も、実は、既知のコロナウイルスに対して持っている免疫応答が、交叉反応としてワクチン由来抗原に反応している証なのかもしれない、と感じている。それならそれで、免疫力増強の観点から、ワクチンはちゃんと効いているのだと判断出来る。

 はてさて、2回目接種時の反応が楽しみである。
 1回目の反応が既存免疫反応の呼び起こしになったのだとすると、次回は、かなりしっかりした全身反応が起こっても不思議ではない。覚悟しておく必要があるかもしれない。
 とはいえ、相手はワクチンタンパクそのものであって、増殖するウイルスではないから、怖いことは無い。せいぜい、解熱剤を必要とする程度のことだろう。サディスティックな期待をしている自分が、ちょっと可笑しい。

 ところで、今回のワクチンに関するしっかりした解説が、お上からちゃんと出されていないのは、なんとも情けないことだと思っている。ワクチンを打てと号令をかけるなら、その仕組み、性質などを、きちんと、しかも簡単に説明することが重要だと思う。しかし、それが出来ているとは思えない。メディアも、わかったようなわからないような説明に終始していて、専門家の話を画面で紹介するだけで、本質的な解説が無いように思う。

 そんな中、すばらしい解説資料を発見した。
 新潟県医師会の峰宗太郎さんという方が、医師会勉強会で用いた手作り講演資料をネット公開している。PDF資料で大きいので、PCから行くのがオススメ。
  ↓
  https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/256915.pdf

 専門知識がなくても興味があれば解りやすく、知識のある人なら尚更よくわかる解説である。パワポで作ったのであろう資料は、簡潔で明瞭。重要なページを何度も示しながら、ワクチンとしての作用がどのように生まれてくるのか、そのとき身体はどう反応するのか、どんな現象が現れるのか、等々をきちんと説明していて、副作用についても原理原則を絡めながら不安を払拭できるように作られている。

 本当は、こういうことを厚生労働省医官が行うべきだと思うが、それが出来ていない現状は何とも情けない。
  その一方で、こういうことをきちんとやってくれる医師もいるのだ、と頭が下がった。

 新型コロナの騒ぎは、たぶん年を越すと思う。とはいえ、ペストのような強烈な伝染病とは明らかに異なる相手であることも確かだ。怖がりすぎる必要もないと思う。

 ワクチンが効くこともわかっているのだから、みんながきちんと理屈を理解した上で、やってはいけないことを各自が認識し、新型コロナウイルスとの共存を落としどころにするしかないと思っている。ウイルスを消滅させるなんて、できっこないのだから。 

おもしろグッズ発見 腕時計型アルコールスプレーだってさ!

Mです。

 コロナで大騒ぎのなか、月に何度かぶらつくアキバのジャンク街で、面白い商品を見つけた。

 アキバのジャンク屋街では、必ずしもハイテク秋葉原に縁もゆかりも無いグッズが、あちらこちらの店の棚隅にチョコンと置かれていたりするのが面白い。

 先週半ば、通信ケーブル、工具、生ディスクなどを扱っている店で見つけたのは、昔懐かしいニコちゃんマークが押し型成形されている腕時計のような代物。Note PCあたりの小物で使う菊ねじ用ドライバーセットなどが置かれている棚隅で、透明プラスチック箱にそれは放り込まれていた。ブルー、ピンク、イエロー、ブラックの4色で、名前も何も書かれていない。しかも無包装。
 シリコンラバーのバンドと一体になったニコちゃんマークは、ロレックスのコスモグラフくらい大きい。そしてそのアタマからなにやら突起が出ている。

 

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 手に取ってみると、なんとその突起はスプレーノズルだった。

 ニコちゃんマークの押し型が付いた円筒部の裏を見ると、白いポリエチレン製らしき容器がベルト本体に包み込まれていて、液体が入っている。包装も何もしてないからノズルを押すことができた。ちょっと押してニオイをかいだら、それはエタノールだった。

実に笑える!
正体はなんと、携帯アルコールスプレーだったのである。

 箱には、ちぎったボール紙にマジックで350円と書いてあった。話のネタになるかな、程度の感覚で、ブラックを一個購入した。

 しかしまあ、包装されていないから何にも情報が書かれていない。よくあることだが、売っている側もあまり中身を気にしておらず、見た者が気に入れば買っていくだろう、程度の感覚だ。それでも、オモシロオカシイものは、ジャンク屋をうろつく輩には結構受けが良くて、短期間に売れてしまうこともあるのだ。ただし、安ければ、である。
 ほぼ一週間後の今日、その店を覗いてみたら、ニコちゃんマークグッズを入れてあった箱は消えていた。

 後からネット検索してみたところ、同じようなグッズは海外製の物も含めていくつも出回っているようだ。いろいろな形状があるが、眺めて比較したところでは、今回見つけたモノが、M的にはいちばん良くできていると感じた。

 取り外しできるスプレー容器は、10mlくらいの容量があり、押したときのスプレー状態も申し分ない。スプレーの方向も自由に変えられるし、シリコンゴム製と思われるベルトの感触もベタベタしないし洗いやすいのだ。

 同じ商品はどれかと探してみて、Soperfect(ソーパーフェクト)という会社が扱っている商品だとわかったが、そこにもメーカー名は書いてない。しかも、ジャンク屋で売っていた価格よりずっと高い。その値段には、少々ビックリした。ジャンク屋さんは、売れ残りかなにかを「バッタもん買い」したのだろう。なにしろ、無包装だったのだから。

 ↓ ネットショップ情報はこれ
 https://store.shopping.yahoo.co.jp/soperfect/sdsp001d.html

 出先で作業前にちょっと消毒なんて感覚で使うのも良し、工具を借りた後でシュッと一吹きして返すという心遣いにも良し。このご時世、案外受けるグッズだと思った。

 容器は清潔に保てるから、場合によっては、ウイスキーウォッカを入れておいて、消毒がてらにちょっと一口、なんていうのもイイかも知れない。
 緊張の続くコロナ禍のなか、一服の清涼剤、として捉えることもできそうだ。

驚異の生命力 イチジクの踏ん張り

Mです。

 無花果という文字を目にして、即座にイチジクと読める人はどのくらいいるだろうか。地味だけれど、食、アロマ、漢方薬など、多方面に顔を売っている不思議な植物。確かに実を食しているはずなのに、いったいどこを食べているのかさえよく分からない。紫色に熟した柔らかい実をガブリと一口すると、ほんわかと甘くてとろ~りとろける舌触りが何ともいえない。口中でプチプチする細かなつぶつぶが花なのだとは、よく観察しない限り気づかないだろう。

 このイチジク、葉からかなり強い刺激性のニオイを放散していることをご存じだろうか。ちょっとツンとくるような青臭さがあるのだ。青臭いけれど、清涼感もある不思議なニオイである。それがアロマとして好まれているらしい。
 実や葉をもいだ時に、断端から白い液がにじみ出てくるが、その液もこの青臭さを含んでいる。そして、その汁が柔らかい皮膚に付くと、しばらくして結構なかゆみを起こす。それは、汁に含まれる成分のせい。肉にイチジクを刻んでのせておくと、タンパク分解酵素の一種であるフィシンの作用で肉の繊維質がほどけて柔らかくなる。パパイヤやパイナップルを使う肉料理と同じ原理。この酵素が、皮膚の弱い部分に作用して「傷害」作用を起こすので、それがかゆみとなって現れる。子供の頃、手の甲に汁が付いてかゆくなったことをよく覚えている。
 ただ、近づいたときにツンとくるニオイの元は、この酵素ではなくフロクマリン類と呼ばれる有機化合物にある。昆虫類や動物に対する毒性を持つ物質群で、イチジクたちが害虫や害獣を避けるための忌避剤として身につけている物質だと考えられる。また、この化合物群は、他の植物たちに対して生育阻害作用をもつ。プソラレンというフロクマリン群に属する化合物がイチジクから抽出されているが、60年近く前の研究論文にそれが記されていた。
https://www.jstage.jst.go.jp 「植物の忌地性に関する生化学的研究 農芸化学 1960」
 ツンと来るあのニオイに、いろいろな研究者が興味を持っていたのだとわかって、興味深い。

 さて、昨日の昼過ぎのこと。
 西進していた京葉道路から清洲橋通りに右折して北進し、上野方面に向かってチャリをこいでいた。路面付近は明らかに40℃を超えている。普通なら腕から汗が噴き出て流れ落ちるはずなのに、あまりの熱気で汗が流れず蒸発してしまう。なるべく日陰を縫うようにして進み、総武線の高架下をくぐって50mくらい過ぎたところで、いきなりイチジクのにおいが飛んできた。エッと前を見ると、歩道端から車道側にあの特徴的な手のひらのような葉っぱがかたまりになって飛び出している。高さは3m程で小さな木だ。それでも葉が元気に茂っていて、枝には緑の実がいくつも付いている。その茂みから、あの独特のニオイが流れていたのだった。

 

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 街路樹として植えたはずはないと思うので、いったいどこから生えているのかと観察してみてビックリ。なんと、小さな鉢から幹が太く伸びてこんもりと茂っていたのである。

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 鉢の大きさは10L程度でかなり小さめ。屑籠程度だ。土がどれくらい入っているのかわからないが、鉢がほとんど幹で埋まっている感じだ。イチジクの鉢の回りには草花の鉢もいくつか置かれている。どうやら、歩道に面した古い二階建てのそば屋さんが、店先に置いているらしい。水やりはしっかりと行っているのだろう。信じられないほどの小さな土からソコソコの太さの幹に育ち、周囲に特有のニオイを振りまくほどになっているのだった。
 鉢の周りは壊れた鉢なども転がっていて、歩道のアスファルト上にそれらからこぼれた土が盛り上がって固まっている。どう考えても3mの背丈のイチジクが小さな鉢だけで生きているとも思えないから、鉢の底から飛び出た根っこが、周辺に積もった土塊や草木の朽ちた塊に広がっているのではないかと想像した。さらには、街路樹の大きな幹がすぐそばに見えるから、鉢植えを置いた下には、街路樹周りだけいくらか土の露出があるのかもしれない。だとすると、鉢から伸び出た根が周囲の土の塊を経て街路樹の根元に達し、そこから歩道下の地面にも食い込んでいる可能性がある。
 通行人の多い歩道だと苦情が出そうだが、どうやらそれほど多くの人通りがあるとは思えないから、見逃されているのだろう。

 たくさん実を付けているイチジクが、苦情が出て無残に切り取られないように祈った。
 できれば、もっとしっかり観察したかったが、打ち合わせ先に「イチジク見つけちゃったんで遅れます」とも言えず、携帯パチリで立ち去らざるを得なかった。

 可能ならば、コンクリート製ポットとかに植え替えてやりたいが、それこそ大きなお世話だろう。そば屋さん、苦情が出ないように上手くやってください。それから、道路管理者さん、どうか見逃してやってください !

Tokyo 2020 輸送・警備支援 ほんとうに お疲れ様です・・・

Mです。

 東京近辺がみんな「緊急事態宣言」下にあるなか、温暖?な気候のもと、選手の皆さんが鍛錬の結果を競い合っている。
温暖すぎる東京近辺では不可能ということで札幌に場所を移したマラソンだが、連日30℃超を続けている札幌が、果たして快走を許してくれるのかどうか、南に1,000Km離れた場所にいるMから見ても、不安が充ち満ちている。
 とにかく、早く無事に終わっていただきたいものである。

 都内を仕事で動き回っているので、オリンピックが始まってからの交通事情は、予測が付かない。場所によって予想もしない渋滞(というか、停滞)に出くわし、慌てて迂回路を探すということが何度も起こっている。幸いにして、ナビの力も借りながら抜け道を見つけることが出来ているので実害は被っていないのだが、それでもシンドイことに変わりは無い。

 そんな都内を走っていてやたら目に付くのが、パトカー。しかも、熊本県警とか長崎県警とか、とんでもなく遠くの警察車両がオリンピック関連ルート周辺を周回している。ナビがあったとしても、都内の地理に詳しいはずはないから、パトロールするだけでもひどく神経をすり減らしていると想像する。不慣れな場所というだけで、クルマの運転は疲れるのだ。実感として、それがよくわかる。
 一体どれだけの警察車両と人員が動員されているのか知らないが、派遣した地元はそれでも大丈夫なのだろうか? 空き巣狙いの楽園になっていないことを祈る。

 素人のそんな心配が、実際にけっこうな問題につながっていると、今朝のNHKラジオで知った。
 オリンピック支援で日本中から集められているバスと運転手、警察車両と警察官、それらの絡んだ交通トラブルが開催7日間で50件以上起こってしまったのだという。
 さっきネットニュースをのぞいてみたら、ANNニュースでは、100件超のトラブルがあったと報じていた。死亡事故にはつながっていないものの、物損が発生しているということだから、そこかしこでガッチャン、ドッカンが起こっているらしい。

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 選手やスタッフの輸送に当たるバスがルートを間違えたり、時間通り動いていなかったりで、外国選手からのクレームにもなっているという。それくらい無理もないことだ、とMは思うが、選手たちにとってはめちゃくちゃストレスだろうから、それくらい・・・なんて、とても言えない。
 先週初め頃だったか、地方のバス会社から派遣された運転手さんたちが、トイレも風呂もない相部屋で寝起きしているケースもあって、派遣元の会社が窮状を見かねて職員たちの寝泊まりするビジネスホテルを慌てて確保し移動させた、という報道も聞いた。かかった経費100万円超は、会社が負担するしかなかったそうだ。それに対して、タコ部屋をあてがったJOC側が、適切な施設を用意しているとコメントしたというのを聞いて、ダメだこりゃ、と、いかりや長介さんの決めぜりふが思わず口に出た。

 そんな環境で頑張っている方々には、惜しまず応援したい。
 コロナ禍で毎日必至の医療活動を続けている医療スタッフの皆さんと同じく、まさに身を粉にして業務に携わっている皆さん、くれぐれもご自愛のほどを。

 

「緊急」の大安売り 

Mです。

 今朝方、いつも通る道が異様に混んで渋滞していた。

 橋の向こうから車列が続いてしまい、なかなか動かない。みんな、ジリジリしていて、少しでも前が動くと車間を詰めようと、ほんの1mも進まないというのにジワリと進む。のんびりと「どうせたいして動かないから・・・」と進まないでいると、後ろからクラクションがプッと来る始末。仕事先に向かう作業車や運搬のトラックなどの気持ちもよくわかる。出来ればUターンして別の道を行きたいくらいである。

 じわじわ進むこと6~7分。ようやく橋を渡り終えてゆるい左カーブの先を見たら、なんと、左車線に「緊急工事」の立て看と交通整理のおじさんが立っている。そして、黒々と日焼けしたヘルメットのおじさんの前方では・・・
な、な、なんと!! 歩道脇の植え込み周りの草抜き作業!!
エエ~~~~~ッ これが緊急作業なんかい!!

 どれだけ多くのドライバーが同じ思いをしただろうか。
  道路陥没 → 確かに緊急
  水道管破裂 → ごもっとも
  ガス管破裂 → そりゃそうだ
  路肩崩壊 → あぶね~~

 でも、おばちゃんたちが手甲脚半姿で植え込みの草を抜き、電動トリマーを持ったおじさんがギュイーンと枝葉を刈り込んでいる作業の、どこが「緊急」なんだ?!
 以前は、「草刈り作業中 ご迷惑をおかけしますm(._.)m」みたいな看板だった記憶があるのだが、今や、大昇進で「緊急作業」に上り詰めていたのだった。

 迫した状態でを要する命にかかわる状態、であるはずの用語なのに、どうやら世の中は、もはや緊急という言葉に重きを置かなくなってしまったらしい。

 コロナ騒ぎで何度も出される「緊急事態宣言」。

 その中身といえば、居酒屋、飲食店いじめ以外実効性のない、「3蜜を避けてください」だけのお願い宣言。諸外国のロックダウンは日本になじまない、というおかしな理論で、なあなあの施策なのにあたかも効力が高いかのごとく、名称だけ「緊急」にされて来た。実際のところ、もう、だれも「緊急」だと思えていない。


 今や、「緊急」は、せいぜい「注意」程度の意味にしかならない。

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 <緊急事態宣言>と言っておきながら、諸外国の選手たちを招いてオリンピックを平然と開催してしまう国。


 正直、国民の一人として、穴の中に隠れてしまいたいくらい恥ずかしい。

 緊急待避してしまいたいのは、わたしだけ?

逆光写真 これで もう安心??

Mです。

 アナログカメラで、自己満足ながら結構凝って草花や生き物を撮っていた。

 最初に自己資金でカメラを手にしたのが、今から45年前。当時は札幌に住んでいて、食費を削ってようやく手に入れたのが小型軽量で名を売っていたオリンパスOM-1。標準レンズF1.8の一眼レフ。確か、\58,000だった。
 アナログカメラだから、当然、フィルム代もかかれば現像~プリントと、撮った映像を見るまでにも経費がかかる。それらの費用もバカにならないから、撮り損ねをしないように基本技術の勉強もしたし、特殊技術も本から学んだ。それらを試すためには、自然界のものを対象にするのが確実だった。ファインダー越しに観てグッとくる瞬間を待っていられるから、好都合だったのである。
 雪が融け切ると、札幌の野原は一気に花盛りになる。そんな草原に腹ばいになって、よく花の写真、花に来る虫の写真を撮った。太陽の角度や風の具合をみながら、一番映える瞬間をファインダー越しに待ってはパチリ。プリントしたときの映えが、シャッターを押した瞬間の想像と合致してくれるかどうか。ドキドキものだった。
 思い返してみて、思いどおりの画が撮れたのは3割ほどだった気がする。もう少し絞るべきだったか、とか、もう少しシャッタースピードを下げておけばわずかに揺れる風の感じを出せたはずだ、とか、足りなかった要素を見直すのも面白かった。撮影時の絞り値とシャッタースピードを記録し忘れていて悔しい思いもしたけれど、前後のコマから想像して判断したりする作業も、のちのちのためになった。
 そんな超アナログ時代に凝った撮影手法に、逆光撮りがある。敢えて太陽の光を背にした対象物を撮るのである。
 エジプトのピラミッドのてっぺんに太陽がちょこっと現れた瞬間を撮った写真は、ピラミッドの真っ黒な三角形の頂上に光り輝く太陽があり、遠景の砂漠が淡い茶色でうねっている画になる。特殊フィルターを使えば、太陽の輝きが星形になったりしてさらに映える。そんなプロの写真を見て、草花を敢えて逆光で撮り、花の色もちゃんとわかるようにするにはどのくらいの絞りにすれば良いかなど、同じ角度から絞りだけ変えて5枚くらい撮影して後から比較し、なるほど、このくらいの案配にすると面白い写真になるのか・・・などと楽しんだものである。
 観光地の記念写真を逆光で撮ってしまって大失敗、なんてことが笑い話として沢山あった。が、それも一興で、案配を考えればかえって面白い記念写真になるのだから、撮影者がそれを心得ていれば、あえて逆光の記念写真が映える画になったのだ。
 
 デジタルの時代、もはや、現像~プリントという経費をかけずに何枚でも試し撮りできる今は、逆光だろうが何だろうがバシバシ撮ってしまってから良いものだけを選び出せば良い。なんとも良い環境になったものだと思う。ただそれでも、逆光で人の顔が黒くつぶれ気味になっているが、表情はとても良い、なんて写真もあるはずだ。スマホ写真が当然のようになっている今、機械の方が逆光関知をオートでこなし、最適のバランスになるようにしてくれることもある。逆光なんて怖くない、という、撮る側にとってとても楽な時代になっている。
 ただそれでも、狙っていた画像とはちょっとかけ離れてしまっているものの捨てがたい逆光写真、ということもあるだろう。

 なかよし(?)のソースネクストさんが、先週、「さよなら逆光」というアプリの紹介メールを送ってきてくれた。
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https://www.sourcenext.com/_/C000055179-K0-se

 いろいろな場面で、ちょっと残念な逆光撮影になってしまった画を、自動で調節して「見られる」画にしてくれるのだそうである。

 風景画の修正は下のような感じだそうだ。

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 紹介サイトに行ってくれればわかるが、人物写真などの例も挙がっていて、なるほどそれなりの修正度だと思う。
 ただ、敢えて逆光写真を撮って楽しんだことを思い返すと、残念ながら、この修正アプリは、逆光の良さを活かしているものとはほど遠いと感じてしまった。
 はっきり言うと、露光不足を画全体で底上げしているため、むしろ、もともと明るかった部分も同じように明るい方向にシフトしてしまうため、明るい領域はケラれた状態(明るすぎて色が白っぽくなってしまう状態)になっている。
 ほんとうなら、暗くてちょっと・・・、と感じる領域だけAIで判断し、そこの部分だけ明るく調整する、というのが理想だろう。顔の明るさ不足だけ修正して周辺の色合いはそのままにしてくれれば、だいぶマシになると思うのだ。とはいえ、見る人によっては、そんな修正写真はかえって違和感を醸し出す可能性もある。これ合成写真?、と勘ぐる人も出てくるかも知れない。

 そう考えてみると、昨今我々が目にしているメディア提供の写真たちも、多くの場合画面映えするような修正を施してあるのが殆どなのかも知れない。プロの写真家が、芸術作品として撮った画は、計算ずくの産物で後加工しているとは思わないが、CMやニュース映像程度だと、見やすくする加工は当然のごとく行われているように思う。いや、実際はそれでかまわない、と思っている。

 一方で、こんな便利な時代なのだから、素人は写真をもっと楽しんだ方が得だ、と思っている。
 デジタル撮影機器なら、現像代を一切気にせずに撮影できるメリットを活かせる。素人であっても、絞りとシャッタースピードをマニュアルで何段階か変えて同じ対象を撮ってみる、という遊びをしてみると面白いと思う。
 ドッグランで走る犬を、シャッタースピードを落として撮ってみる。脚の動きがぶれて躍動感が出る、なんていう現象を確かめてみるのも面白い。あるいは、シャッタースピードは落とさずにカメラやスマホ自体を犬の動きに合わせてサッと動かしながら撮ってみる。すると、犬はしっかりとピントの合った状態で止まっていて背景が流れているというスピード感がアップした画になる、など、いろいろ遊べるはずだ。

 そんなことするなら、動画で撮ってしまえば良いじゃないか、といわれるかも知れない。 が、おっさんは敢えて言います。
 いいや、静止画だからこそわかる面白さがあるんだよ、と。